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1-8-7

 アインザッツグルッペンは数ヵ所に分かれ、各々道路を見張る。アイギスの占領下で兵を分けられるとは大したものだ。


「4番隊より入電! マウスを発見とのこと!」


「やっと来たか。全軍集結。奴を捕える」


「「はっ!」」


 集結とは言っても、部隊は2ヵ所に集まる。マウスが進んでくると思われる道の左右だ。


 それが合図で同時に飛び出し、マウスを包囲、奴の主砲をへし折ると言う作戦だ。


「護衛の数は?」


「戦車型が84、歩兵型が260、と言ったところです」


「奴らも、本気のようだな……」


 氷室中佐は望遠鏡越しにアイギスの部隊を睨み付けた。


 普通に考えれば、精々千程度の部隊が勝てる筈がない。だがアインザッツグルッペンにはAÄ彈がある。


「間違えて通常弾を装填してる馬鹿はいないな?」


「そのような者、我が隊にはおりませんよ」


 吉川大尉に続いて、兵士達は頼もしく頷いた。流石は帝國の最精鋭部隊である。


「ティーガーⅡ、準備はいいか?」


 まあ、彼女に準備など要らないだろうが。


「無論だ。いつでもいける」


「パンター、お前は大丈夫か?」


 氷室中佐は対岸にいるパンターに尋ねた。パンターとティーガーⅡはそれぞれ違う翼に配置されている。


「大丈夫だよ。準備万端!」


「それはよかった。皆、覚悟はいいな?」


「「おう!!」」


「では行くぞ!奴を叩き潰せ!作戦開始!」


 作戦開始。その合図と共に、左右両翼の車列が飛び出した。


「AÄ彈斉射!」


 各々の装甲車の天蓋には重機関銃が3基ばかり備え付けられている。そしてそれら全てにはAÄ彈が詰まっている。


 それは人間を相手にしているようだった。


 脆い。アイギスの装甲も、人類の叡智の結晶の前には紙っぺら同然なのだ。


 政策と同時にバタバタと倒れていくマウスの護衛。射程ではこちらが上であり、一方的な戦闘が繰り広げられる。


「人類も、やるものだな」


 ティーガーⅡは素直に感心していた。いや、或いは少々恐れを抱いていたのかもしれない。


「まあ、これが全部の前線に行き渡ったら、人類は3日で勝てるんだがな」


「ふむ、人類が負け続けていることが、この弾の生産能力の低さの証か」


「そう言うことだ」


 こんな雑談が出来るほどには、戦況は一方的だ。最早、ティーガーⅡやパンターの主砲を使うまでもない。


 ただ一両を除いては。


「チッ。奴にはこれも効かねえか……」


 氷室中佐の恨み節が漏れ出ている。マウスだけは、傷の一つがつく様子すらなかった。


「やはりか。マウスはAM(アーエム)Barriere(バリエル)(對金属障壁)などなくても、地上で最高級の防御力を持っているからな」


「だから白兵攻撃なん……」


「ライ。マウスが動くぞ」


 奴の主砲が旋回を始めた。どうやらこっち側を狙うつもりらしい。


「総員! 奴の主砲を躱せ!」


 氷室中佐の号令で、装甲車は散開し、ティーガーⅡもそれに倣って隊伍を崩した。


 そしてマウスは発砲。僅かに遅れて立ち昇る土煙。状況はよく分からない。


「通信機は全部生きているな!」


 直撃は免れていると言うことだ。しかし……


「ひっくり返っているな、あれは」


「どうしてお前はやけに冷静なんだ……」


 直撃した訳でもないのに、その爆風だけで装甲車がひっくり返っている。砲兵の攻撃ですらないのに、だ。


 それはつまり、直撃など喰らおうものならいかなる車両とて粉々にされると言うことだ。


 その割にティーガーⅡは落ち着いてるのだが。


「私はあのスカスカの装甲車より重たいからな。ひっくり返ったりはしない」


「それはそうだろうが……」


 戦車と装甲車だ。そもそも格が違う。


「そして、直撃もしない。奴の弾道は簡単に読めるからな」


「ん? 何だって?」


 そんな芸当があるのならどうして言わないんだ?


「弾道は読めると言った」


「何でそれを今まで言わなかったんだ?」


「私が分かったところで伝える手段がない。なれば、要らん詮索は招かない方がいい」


「間違ってはいないが……」


 まあいい。実際、弾道を処理出来るようなシステムは帝國にはないし、ティーガーⅡの言っていることは正しい。


 それよりは目の前のことに集中しよう。


「第二射、来るぞ」


「適当に避けてくれ」


「無論だ」


 またこちら側を狙ってくる。片側を潰して逃げるつもりだろうか。


 とは言え、あれの連射速度ではもう間に合わない。


 また一両、装甲車が行動不能になったが、問題はない。


 しかし、俺の仕事がなさ過ぎて暇だ。わざわざ俺が出張って狙撃する必要もないし。


 その後も何度か撃たれたが、目標の密度が下がれば命中率も下がるもの。目立った損害は出なかった。


 まあ、こちらも撃ち返してもみたが、効果は絶無。


 であれば、このまま白兵攻撃を実行するしかない。


「ティーガーⅡ、そのまま行けるか?」


 氷室中佐からの問い。


「ああ。簡単なことだ」


 ティーガーⅡの明快な答え。


「頼んだ」


「ああ。ライ、衝撃に備えろ」


「了か……」


 まただ。


 ティーガーⅡは、注意を促してからそれが実際に来るまでの猶予時間が2秒くらいしかない。


 まあ兎も角、ティーガーⅡはマウスに取り付けたようだ。


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