僕の孤独を隠す十二単
いつも嘆いていた。
どうしてこの僕が、いつも、ずっとそう思っていた。
生き抜いて、耐え抜いて、一族を残していくためなのだから、それくらいの恥は忍ばなければならないのだということもわかる。
その我慢が必要なのだということがわかる。
わかってはいるが、嘆かわしい。
父も兄も殺されて、母と姉は強引に妾にさせられた。
本来ならば僕もそこで死ぬはずだったのだけれど、化粧をさせられて、女性のふりをさせられた。
話に聞く、姉は情事の中で殺され、それを知った母は自害したのだという。
我が家の人たちも必死に庇ってくれたもので、どうにか僕は姉と同じ道を辿ることを免れたわけで、今も一人生き長らえているわけである。
あの趣味の悪い下衆男が、いつ僕を見ることかわかりやしない。
守ってはもらっているけれど、姉のときのように、強引に攫われないとも限ったものではない。
僕が男だと知られたなら、騙していたことが知られたら、更に何をされたものかわからない。
いつも嘆いていた。
救われた存在なのだから、喜ばなければいけないのだろうけれど、僕の嘆きは収まるところを知らなかった。
怨みさえ持っていない。
怨むべき相手を持っていないからだろう。
間違えなく恨めしいあの下衆男を怨んでしまっては、もう、僕の運命は切れてしまうことではないか。
生きさせてもらっていることを、感謝しなければいけないのだ。
確実に自分を苦しめることだけれど、嗚呼、騙せてしまえたらよかったものを。
あの大きな大陸へと逃げられはしないものだろうか。
この国からも逃げ出して、自由な空へと羽搏けないものだろうか。
女性ものの重い着物に、潰されてしまいそうなほど心は限界を訴えていて、だれも僕のことなど知らない遠い異国へと早く逃げ出したかった。
恐かった。ただ、怖かった。




