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~最初に作るのは嫁とかいてヒロインと読む~

守るだけのゴーレムっていうのも芸がないので、守られる、一緒に戦ってくれるゴーレムとかいいじゃないですか。

しかもそれが可愛くて柔らかいならなおのこと。

ゴーレム=硬い。

そんなイメージなくせたらいいよなーと。

レーザーが飛び交い光で出来た剣を持ったロボットそして巨大な戦艦を真っ二つにする。

そして繰り広げられるパイロット同士の会話。

宇宙空間、地球問わずに行われる戦いの様子にテレビ越しでありながら心が躍る。

「すっげぇよなぁ… こういうの作ってみたいよなぁ…」

その様子が映されているテレビのアニメを見て世羅明は目を輝かす。

このアニメはシリーズもので30年以上前から放送されており、今では世界的に人気な作品だ。

また、その作品に登場したロボットや戦艦のプロモデルも販売されている。

もちろん明もそれを買って組み立てているくらいのファンだ。

最近はその人気の高さから、大きさまで再現したものが建造され、各地に飾られているほどの人気だ。

だが、あくまで大きさだけ再現したのみでアニメのように動いている様子はまだ見ることはできていない。

「やっぱりアニメはアニメ、現実は現実って割り切らないとだめなのか。でも、せっかくなら一度でもいいから

自分の手で作ったロボットが自由に動いて、戦わせたりしてみたいよなぁ」

そうぼやきながら、アニメのスタッフロールを眺める。

一度の放送も30分ほどで終わるがあっという間だ。

SNSを眺めてみると、アニメの感想や、ロボットの動き方、登場人物のビジュアルを褒めるものがたくさん並んでいる。

ここまで人気ならば、もしかすると続編があるかもしれない、と期待したくなるのはファンの性だろう。

「あー。早くこいつもプラモデルで出てくれないかなぁ。そういえば詰んだままのやつがあったな」

視線を背後に動かすと天井に差し掛かるくらいのプラモデルの箱が目に入る。

このロボットアニメ以外にも、市販されている車両や、動物の形をしたものなどがある。

ただ好きなものを組み立ててばかりでは、柔軟な発想ができないため、様々なものを組み立てなければと思うのだが、

なかなか組み立てれずにいる。

「えーっと、どれを組み立てようかな… ん、こんなの買ったっけ?」

ロボットの型番がアルファベットで書かれた箱や動物の写真が書かれた箱の中に見慣れない文字や幾何学模様の書かれた箱を見つけた。

だが、タワーになっている箱からそれを抜き出そうとした時だった。

その箱が光り始めたのだ。

そして光ったことで驚いた明はその箱を思い切り抜いてしまったため、タワーが崩れ始めてしまったのだ。

「うわああ!?」

そのタワーが崩れると同時に、足元が崩れるような錯覚を覚えたが、それを確かめる前に明の頭に複数の箱が当たり、意識を失ってしまった。


意識を取り戻すと、天井が広がっていた。

だが、その天井は見慣れた明の部屋とは違うものだった。

木造の天井で、ところどころ朽ちている。

それどころか雨漏りの形跡もあるくらいだ。

「ここ、どこだ…? 俺の部屋じゃないみたいだけど…」

あたりを見渡してみると、古い山小屋のようだ。

薄いが、毛布がかけられており、どうやら意識を失っていた明を誰かが見つけ保護してくれたのだろう。

頭の横には、取り出そうとした時に光った箱があった。

「この箱、なんでここにあるんだ?」

今は光ってないが、書かれている文様からあの箱に間違いないだろう。

そしてその箱を振ってみるとカラカラ音がする。

「中身、見てみるか? って指輪…?」

箱を開けてみると、そこには銀色の指輪が入っていた。

しかし明には指輪を買った記憶は一切ない。

指輪を買うくらいならプラモデルや塗料を買うからだ。

その指輪を手に取り、明は指に無警戒にはめる。

「お、ぴったりだ… サイズまで合っているんだからやっぱり俺が注文したのかなぁ」

頭をかきながら指で銀色に光る指輪を見つめる。

その時だった。

「あ、起きた? あんなところで寝てたら泥狼に食べてくださいって言っているようなものよ?」

耳に届く声の方向へ視線を移すと、そこには大海のような髪の色の少女だった。

学生服のような服を着ているので、年齢は同じだとは思う。

顔立ちは整っており、アイドルとしてやっていけるくらいだろう。

胸は残念だが。

「え、ああ、これって君が?」

明は自分にかけられた毛布をつまみあげると、少女は笑顔でうなずく。

「ありがとう。ところでここどこなんだ? 俺、自分の部屋にいたはずなんだけど…」

「どこって、それはどこから答えればいいのかしら…?」

「どこって… そんな遠いところなのか? ブラジルか?」

「ぶらじる…? そんなところないけど…」

日本にさっきまでいたのだから、直線的な距離で最も遠い場所とすれば真裏のブラジルだろう。

だが、少女の反応を見る限り、ここがブラジルではないことは確かなようだ。

「ぶらじるっていうのは知らないけど、ここはイプラド王国領だけど。わからない?」

イプラド王国という耳慣れない言葉に明は首をかしげる。

そのような地名があるとは聞いたこともない。

「えっと、ここって地球だよな?」

もしかすると、という嫌な予感がよぎり、その言葉で問いかける。

だが、返ってきた反応はその最悪の予想通りだった。

「地球? 地属性のゴーレムを作るための素材の名前かしら?」

地球という名前すら知らないという様子に、明は一つの可能性を、そして信じたくない事実に気づいてしまった。


「異世界」

その言葉が相応しいということに。


「なにか、落ち込んでるけど、どうしたの?」

落ち込んでいる理由を伝えても少女に納得をしてもらえるとは思えない。

自分が違う世界から来た、といえば間違いなく、頭のおかしい病人としか見られなくなってしまうだろう。

「あ、ああ、ごめんごめん。多分さっき気絶した時に頭を打ったから、ちょっと頭が混乱していて」

「なーんだ。あそこで寝てたのは頭を打って気絶していただけだったのね」

「そ、そうそう、そうなんだよ! ちょっと足を滑らせてさ!」

明の簡単な嘘に騙されてくれる少女への罪悪感で胸が痛むが、それを気取られないよう笑顔に務める。

「そういえば、名前教えていなかったわね、私、ラビ・キシュラ。イプラド国立魔術学院の生徒よ」

「魔術学院…? 魔術って手のひらから火の玉を作る、あれ?」

「そういうこともする人はいるけど、そんな魔術を使う人なんて、指で数えるくらいしかいないわよ」

そう言いながらラビは指で数を数える。

恐らく、知っている限りのそのような魔術を使う人間を思い出しながら数えているのだろう。

「それに、今メインなのはこっち、よ」

指を鳴らすと、扉の奥から、人間の子供サイズの土塊が食べ物を運んできた。

「これが、今イプラド王国、ううん、この世界全体の主流のゴーレムよ。こうやって家事手伝いをさせてもよし、戦闘をさせてもよし。

最高の魔術なの」

メイドロボみたいにゴーレムを使うという感じなのだろう。

土塊であるはずのゴーレムには、エプロンのような前掛けの細工がされている。

恐らく、家事手伝いのゴーレムという位置づけなのだろう。

「便利なものだな…」

「でも、ゴーレムは維持するためには質の高い炉心でないと、長時間動かないし、低品質な材料で身体を作ると、炉心からの魔力

の巡りが悪くなるから大変なのよ」

この子達は、さっき作ったばかりだから心配ないけどね、とラビはウインクする。

「それにしても、貴方こんな事も知らないのね。そういえば貴方の名前は?」

「そういえば自己紹介してなかったな。俺は世良明。その、助けてくれてありがとな、ラビさん」

「ラビでいいわよ。そのかわり、私も貴方のことアキラって呼ぶから」

フルネームで名乗ってしまったため、怪しまれると思ったが、ラビはそんな事を気にせず

「あぁ。それにしてもゴーレムか。魔術っていうから空を飛んだりとか、自律的に行動をするとかできるのかと思ったけど、

そういうことはできないだろ」

「学院のお偉いさん達も研究してるけど、できてないみたいね」

ラビは首を横に振りながら、子供サイズのゴーレムが運んできたマグカップを受け取る。

同じくして明の前にもゴーレムがマグカップを持ってくる。

そこには湯気の立った飲み物が入っている。

色は不気味な青色をしており、少なくとも飲みたいと思うような色ではない。

そばに茶菓子でもあればこの不気味な青さを気にせずにのめそうなのだが、そんなものはない。

「マナリーフから淹れたお茶よ。ゴーレムの維持には魔力が必要だから、喉を潤すついでに魔力も補給できて一石二鳥なのよ」

そう言いながらマナリーフという葉から淹れられたらしいお茶を飲み干す。

あれだけ湯気が立っているので熱いはずなのだが、そんなことも気にしていないようだった。

「あっつ! まだ温度調節はゴーレムに任せちゃダメね…」

どうやら熱かったらしい。

その熱そうに、ゴーレムに冷水を持ってくるよう指示を出しているのを見る限りとても熱いことがわかったので明は息を吹きかけながら

飲むことにするのだった。


マナリーフで淹れたお茶を飲んだあとに、ラビという少女から情報を収集したところ、どうやらここは地球とは違う世界ではあること、

そしてここは魔法があるということ。

そしてその魔法は明のいた世界の魔法とは異なり、ゴーレムに重きが置かれている、ということやゴーレムを使った戦争などを

しているということだった。

話をしている間に夜も深まり、話の勢いでラビが明にゴーレム作成のセンスが見てくれるか教えれくれることを約束してくれた。

「ゴーレムねぇ…プラモデルは作ったことあるけど、そもそも魔力なんて持ってるわけがない俺が作れるのかね」

だが、そんな不安は翌朝に消し飛ぶのだった。


「ゴーレムの作成は、まずどのようなゴーレムを作りたいか、ということを頭の中に浮かべることを忘れないこと。そして材料に魔力を

流し込む。流し込む時に、素材達が抵抗するからその時素材達の声に耳を傾ける。その時素材達を脅したり、素材達の声にまけないよう

にすること。もし負けてしまえば非協力的になってどれだけいい素材を使ってもボロボロのゴーレムになっちゃうから。

初めてだし、今回は材料の土はその辺の土だから抵抗することもないから安心なさい」

ラビ先生の簡単な理論講義を聞きながら、明の知っているゴーレムとは随分と異なる作り方をするものだと関心した。

てっきり材料をこねたりするものだと思うが、素材の声を聞くなど随分と精神論じみているような気もするが。

(だが、その理論だと土とか金属以外にもゴーレムが作れそうだよな。もし作れたら面白そうだけど。これが終わったらラビに聞いてみるか)

「じゃあ、アキラ土に手をかざして」

土の上にかざしていたアキラの手の上にラビの手が重ねられる。

異性の体温にドキッとしてしまうが、その緊張が伝わらないように歯を噛みしめる。

集中するように、目を閉じる。

そうして、目の前の土の山に意識を集中する。

だが、何を作り上げようかと言う時に、昨日ラビが見せてくれた家事手伝いのゴーレムを思い返していた。

あのような顔のない荷運びするだけのゴーレムにお世話をされるよりも、可愛い女の子に家事手伝いをしてもらいたいよなぁ

などと明はつい考えてしまっていた。

その雑念がラビのいう素材の抵抗に繋がらないかと不安に思い頭から振り払おうとする。

振り払うイメージをした時に豊かに揺れる胸のイメージが浮かぶ。

ラビには失礼だと思ったが。

「そんなに緊張しなくてもって、何!?」

ラビの驚いた声に目を見開く。

素人のアキラがそんな驚くようなものを作り上げたのかと思い目を開けるとそこには、

「おんな、のこ…?」

そこにはラビとは違う姿の裸の少女がいた。

否、ラビとは圧倒的に違うのは胸だが。

「起動。マスターネーム。認識。セラアキラ。ご命令を」

「うそ、喋った…? しゃべるゴーレムなんて、聞いたこともない! それにここまで人間みたいな、人間みたいな…」

驚きの声に満ちていたラビの声がどんどん小さくなるのは、きっと豊かな胸を見て自分の残念さに自信喪失をしているのだろう。

だが、ラビのフォローをする前に、目の前の少女は明に抱きつき、

「マスター。申し訳ありません。最初の命令を実行する前に、マスターから…を ご供給を…」

というやいなや、柔らかい幸せな感触を感じさせたまま、目を閉じてしまうのだった。


ゴーレムの美少女化ってないよなーって。

ゴーレムって大体岩だから美少女にしにくいんだろうかとか思い、じゃあ美少女にしたろと。

明が土以外のものもできるんじゃないかーと言っているのは伏線です。

土や金属だけじゃできる範囲限られてしまうので。

後ヒロインの名前は次回投稿時に決める予定です。

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