表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

ミドリの一日。〜薄い長話を添えて〜

えー、連続で二話投稿されておりますが、

中途半端な長さだったために一話を分割しております。

あらかじめご了承ねがいます。

_(._.)_

「『謹慎中だから外出は禁止だ!』とか寒いこと言われてさ、そりゃあもう引きこもり生活を送ってたわけよ。

 いや、スマホとかパソコンとかがあっから、ネトゲやらSNSやら時間つぶす方法はいくらでもあんだけどな。そーゆうのに飽きてきたら勉強もしたりしてさ、これがいい気分転換になんだよなー。

 今のオレならワタルよりもテストの成績良かったりするかもな。割とマジで。


 親はオレのことを諦めてるっつーか、他人――いや、空気みたいなもんだと思ってるみたいで、一切オレにかかわろうとはしてこねぇんだよ。だからオレも自由にできるわけだけど。

 うちのことはどうでもいいか。

 なんつーか、そうやってまぁ毎日をオレなりには平和に過ごしてきたわけ。

 んで、ほんの数時間前の昼過ぎに、滅多に鳴らないオレのスマホに電話がかかってきたんだけどな、誰からだったと思う?

 それがな、聞いて驚くなよ? 校長だぜ? オレらんとこの高校の校長からだったんだよ。

 最初は知らねぇおじさんの間違い電話としか感じなかったし、そもそも校長の声なんて覚えてねぇし、あんた誰って言っちまったし。名前も言ってたような気はするけどピンと来なくてよー、

『君の在籍する不二峰ふじみね高等学校の校長だよ、私は』って言われてようやく思い出せたんだ。

 まぁ、あんな事件起こしちまったし、卒業まで停学ってこともないだろうから、校長直々に退学しろとでも言うつもりなんだなって察したね。オレってば謙虚だからさ。

 ん? 何だよ、その目。

 わざわざ校長がかけてきたんだ、悪い知らせとしか思えねぇだろ?

 ところがどっこい、

『校長室まで来なさい』とだけしか言われなくてさ、すぐに切られちまったんだわ。わけわかんなかったけど、来いって言うんなら行ってやるよ、みたいな?

 久しぶりに外の空気でも吸うか、みたいな感じで、一年ぶりに登校したんだ。


 一年経ったからって、懐かしさとかそーゆうのは感じなかったぜ。授業中らしかったから、みんな頑張れーって応援しといてやったよ。嘘だけど。

 校長室に入ったのは初だったけど、想像してたより狭くて何にもなかったな。広さは教室の半分もないんじゃね? でっけー椅子と机が置いてあった以外はほんと何にもなかった。よくあんなところで働けるなって感心したよ。

 校長の顔も記憶からすっかり消えてたし、あーこんなヤツだったかな、くらいな感じ。そもそも教師とかに興味もたねぇし。

 なんか長々とはなしされた記憶はあんだけどなー、退屈だったことしか頭に残ってねぇんだよなー。

 要するにさ、頼みごとされたんだわ。校長さま直々に。

緑枝あおえだくん、君の無茶振りを見込んで頼みがある。私の娘を見守ってやってほしい』だってさ。

 この生活にも飽きてきたし、学校に戻れるならいっかなって。つっても、娘の名前なんて忘れたけどな。

 適当に相槌あいづち打ってごまかしてたからさ、正直な話、ほとんど聞いてなかったし。

 よろしく頼むとか何とか言われて、校長室を出たら放課後になってたな。

 廊下をぶらぶら歩いてたら、生徒には会わなかったけど、教師には何人か会ったぞ? オレの顔見ても大して驚かなかったから、みんな事情を知ってたんだな。校長が前もって知らせてたのかもな。

 校長に会って用事が済んで他にすることなんてなかったし、その後は普通に帰ったよ。

 ん? 違う違う。ワタルに会うのはもうちょい後。その時はちゃんと家に帰ったって。オレが今まで嘘ついたことあったか? ――いや、あるけどさ。少しくらい親友のこと信じてやってもいいじゃんか。

 だから、その目をやめろ。そんな嘘ついたって話が長くなるだけだろーが。ワタルは黙ってオレの話を聞いとけって。


 えーっと、どこからだったっけな……。

 あぁ、家に着いてからか。

 何もすることなくてぼうっとしてたら、愛美まなみから、

『遅くなりそうだから今月の別マ買っといて』ってメッセが来て――。

 忘れたのかよ、オレの姉貴だよ。まなねぇまな姉ってワタルがくっつき回ってたオレの姉貴だよ。今はご立派に社会人の皮被ってるみたいだぜ。

 で、面倒だけど愛美(おこ)らせる方がダルいし、学校行けるってことは謹慎も解けたってことだろうしで、近くのコンビニへ行くかってなったんだな。

 その途中だよ、ワタルが倒れてるっつーから公園に来てみれば、鼻血まみれのお前がベンチで寝てたんだ。

 せっかく介抱してやってたのに頭突きかましやがって、ほんと恩知らずだな。

 起きれるか? 血も止まったみてーだし、もう大丈夫だろ。

 とりあえず、うち来いよ。

 傷だらけだし、背中とかどろっどろだし、ワタルんちより家の方が近いだろ。風呂くらいなら貸してやんよ。

 中学生なって落ちついたのかーって思ってたけど、まだバカやってたのかよ。変わんねぇな、お前も。この場合、高校生から小学生に縮んじまったのか? 見ためは大人、頭脳は子どもっつーて。

 冗談だよ、冗談。

 歩けるか? よし、じゃっ、行くか。

 ん? どーした?」



「話がっ、長いわっ!」


 渾身の力を込めたストレートがあっさり避けられる。それが余計にしゃくに障り、僕はミドリの胸ぐらを掴んだ。


「僕は、お前が、どうしてここにいるのかを訊いたんだ! お前の今日一日なんて全く興味ないし、誰がそんなこと訊いたんだよ!

 今の、『停学がなくなって、まな姉に頼まれたお使いの途中で、僕を見つけた』で済む話だっただろうが!

 ぐだぐだぐだぐだ聞きたくもない話を続けやがって、もう周り真っ暗じゃん!」


「悪かったな、お詫びにちゃんとキスしてやっから」


「だから僕にっ、男にけがされる趣味なんてねぇえっ!!」


「ンガッ!」


 悪びれることもなく、しれっと、想像したくもない冗談(ミドリは冗談のつもりで言ってるんだよな? 本気じゃあないよな?)をほざいたミドリのアゴめがけ頭突きをかます。

 もともと石頭なのか、それとも今までのあれやこれやで痛覚が麻痺してしまったのか、頭突き程度じゃあ僕は痛みを感じないらしい。

 不幸中のさいわい……とは言えない……。不幸の割合が大きすぎて、しかもその見返りが痛みに鈍い身体なんて……。そんなの、嬉しくも何ともない。


「あぁ、一日が無駄に長い気がする……。お前の話が長いせいでなおさら疲れた……」


 思い返せば波瀾な一日だったなぁ。

 薔子さんに振られ、浜永はまなさんとのデートの後は薔子さんちでカレーを食べて。そこでまた鷹嶺たかねにぶっ飛ばされたかと思えば、起きたらミドリの停学が解けていて、二度もミドリにキスされそうになった。

 僕、呪われてるのかもな……。


「なあ、ミドリ。今日お前んちに泊まらせてくれないか。色々あってマジで疲れたし、ミドリの家の方が近いだろうしさ」


 正直、今日は家に帰りたくない。

 帰ったところで、遊園地帰りの妹が自慢話をしてくるだけだろう。うざったいし、今日のことを思い出して泣きそうになるかもしれない。

 こんなことになるのなら僕も連れていってほしかったよ。

 ミドリと一晩中話し込めば、少しくらいなら気が紛れるんじゃないかな。

 断られたらそれはそれでいいやと考えていたのだけれど、ミドリの答えは予想の斜め上というか下ネタというか、とにかく疲れるものだった。


「オレは別にいいけど……襲うなよ?」


 しおらしげな声音と上目遣い――まさに気持ち悪さのミックスで、こんな身体じゃなかったら本当に襲っていたかもしれなかった。

 もちろん、暴力的な意味で。

かなり時間が空きましたね……。

とりあえず、後書きらしきものは次話にて……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ