生きてる価値
私は、兄に連れられ、冴子の病室に行った。病室からは、冴子の両親の声がする。
「失礼します…………」
兄はそう言って私の手を引いて病室に入った。病室に入った途端、私は冴子の母親から胸ぐらを掴まれた。
「冴子の声を返せ!貴様みたいな奴には声も生きてる価値も無いのよっ!!」
冴子の母親の言葉に私は涙目になって
「そ……んな………私だって……わざとじゃな……い………」
と、言うが冴子の母親の耳には聞こえてない。
「冴子の声を奪いやがって…貴様の声と命では足りないぐらい重たい罪なのよ!」
今の一言に、兄は怒りをあらわにした
「ハクだってわざとやったわけじゃないのに!生きてる価値がないとか重い罪とか、フザケたこと言いやがって!人は平等だろうが!」
冴子の母親は兄の言葉に
「あなたは何を言ってるの?冴子とそのガキが平等だ?どこをどう見ればそんなこと言えるの?」
と言った。
兄は言い返さなかった。
「あら?言い返さないってことは認めたってことね?まぁ、言い返せるわけ無いでしょ?おほほほほほ!」
冴子の母親は高笑いしている。
違う。兄はわざと言い返さなかった…言っても無意味だと思ったからだ。
「さぁ。ガキ。今ここで死になさい。」
そんな事も知らずに冴子の母親は私にむかって言った。
「い……………いや……」
私は声を震わせて首を振った。
「ほらっ!さっさと死になさい!」
冴子の母親は果物ナイフを突きつけてきた。
「あっ……………嫌だ………怖い……………」
涙をボロボロ流しながら言うが冴子の母親はどんどん私に近づいてくる。
「やめろ!」
兄は私をかばう
「どかないならあんたも一緒に死ね!」
冴子の母親がナイフを振り下ろした。次の瞬間記憶が飛んだ。
記憶が戻った時には冴子の母親は私を見て震えだした。
「兄さん………帰ろ………怖いよ」
「そうだな」
そして、足早に病室を出て行った。




