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幽霊


映し出された謎の文字列。



その文字を頭の中で

何度も読み返すが、何のことだか

まるで分からない。


そもそもコレに意味などあるのか……

故障による単なる文字化けかも。



そう考えている数十秒後、

やがて電源までも落ちてしまった。





広がる闇、豪雨、雷鳴と蛍の群生。




どれをとっても異様で不気味で

それでいて壮絶な程の幻想的で。



暫し呆けたようにその様子を見ていると

目の端で何かが動いた気がした。



キリト?それとも他の誰かか?



「オイ!?誰かいるのか?」



そちらを目を凝らしてみるが

何も発見できなかった。



見間違いかもしれない。

大体、この暗さでモノなど見えるはずが

ないのに……



「…………!」



いや、いる。



蛍でも雷鳴に反射した木々とか

気のせいだとかでは無く。



何かがいる!




――何故この暗闇で見えるか?




それは、


ソイツが発光してるから

に他ならない。



煌々と明るい訳じゃなく

白くぼんやりと光っている物体が

ゆらゆらと現れては消えるそんな感じで

存在していた。


不規則な点滅を繰り返しすソレは

極度に不安を煽る。


しかも瞬きをする度、次第にこちらに

近づいて来ているように思える

から尚の事。


やがて遠くに見えていた時は

分らなかったがその形は

明らかに人型を成しており

身体を左右に大きく揺らしてように

ブレながら……確実に視界に大きく

映るさまに恐怖は増悪化していく。



ここにきてやっと目と脳と身体が

一つとなった時、跳ね上がる心拍数と

直感的にヤバイと後ずさりを

試みるも肝心な体が動かない。



直視してはいけないと

いくら頭で分っていても目を背ける事も

ましてや逃げる事もままならず

セキはその場に仁王立ちした状態で、

全身の毛穴という毛穴から汗が

吹き出すような嫌な感覚が止まらなかった。



“ヤバイ――”




『幽霊が出るらしいのよ』




コレが幽霊だって?




“ヤバイ”



違う、幽霊なんか見たことないが

そんな生半可なモノじゃない気がする。



人の形をした白い影は

俺と同じくらいの高さで

顔らしきものは見当たらない。



“ヤバイっ!”



そう思うが、どうしても

体は一向に動かない。





五メートル……三メートル……

もう、すぐそこに。



瞬きすら怖くて出来ず

度を超えた恐怖で発狂しそうだ。





だが――



あと数歩という所で

いきなりソイツは忽然と消えた。





――消えた?



消えた??



嘘だ、今すぐ目の前まで

来ていたのに。



何故だ?何故、突然。



理由が分からない、

理由は分からないがソレは

視界からいなくなってしまった。



周りを恐る恐る何度も見渡し確かめる、

が……間違いない。


やはり……いない、ようだ。



漸く安堵し雨でぬかるんだその場に

へたり込んでしまった。



「……良かった、いない」



アレは何だったんだ?



この雨といい、まだ飛び続けている蛍も

いま消えた得体の知れない何かも

一体何が起こっているんだ?


今すぐ此処を離れたいが

如何せん友人達を残してはいない。


セキは項垂れて息を整えながら

冷静さを取り戻そうと必死に

考えていた、その時。




《上》




「?」



頭の中に直接、

声が聞こえた気がした。



しかも……上?



座ったままの格好で

ゆっくりと顔だけを上げる。



「!?」



有り得ないほど至近距離に

さっきのソレの顔があった。


表情?そんなの確かめる余裕など

あろう筈がない。

驚きと恐怖で声にすらならないと

いう状況下で……



「―――!!!!!」



セキは言葉にならない声を

絶叫し気を失ってしまった。



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