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怪しいサイト


「うわ~~~本当にあった!」



って、やっぱりその程度の

情報だったんだなと呆れてしまうが

実際、目の前に存在した以上

殊更責める気もならず、池へと

足を差し向けた。



木々に囲まれたその小さな池は

登山ルートからはやや外れた北側に

位置しており、情報でも無ければ

まず気付くことはないだろう。


それくらい奥まった場所にあった。



木漏れ日が僅かに差し込んではいるが

その光を受けてさえ深い深い緑色。


水深がどれくらいかなど

その色からは推測のしようがない程の

不透明。



「宝石みたいな緑色ね」



「ん?ああ、そうも……見えなくも

無いような……無いような?」




コウ……甘すぎる。



単に澱んでるだけでは?

と、喉元まででかかったが

恋人同士の間に波風を立てる気は

サラサラ無い。



優しくて気弱なこの男は

いつも周りに合わせる傾向がある。


それはそれで良いのかもしれないが

言うべき時はちゃんと言わないと

度々助言したところで、



「でしょう~コウもそう思うよね」



「う、うん」


こうやって

大抵は彼女に押し切られている。




「ぶぁぁーーーーーか!

どっからどう見たって

澱んでるじゃん、節穴か?お前ら」



あーあ、言っちゃったか。



セキが言わなかったのはどうせ

このキリトが代わりに絶対言うだろ

と思ったからだ。



キリトはこれまたコウとは真逆で

思ったことはハッキリと口に出すタイプ。


歯に衣着せぬ性格の上、

曲がった事が嫌いな実直な人間だ。


ものの言い方はぞんざいだが

その分、裏表のない所が彼の長所

でもあるワケなんだが。


如何せん、よく知らない人が聞くと

やはりキツく感じるため

もうちょっとだけ柔らかく

言えないものかと周囲をハラハラ

させてしまう。




そしてセキはというと、



「何よ、この神秘的な色が

キリトには解らないの?」


「どこが神秘だよ、ただの池だろ。

お前が変な噂信じてるから

そんな風に見えるだけだ」



「ハイハイ、そこまで!

折角、噂の池が目の前あるんだから

本当かどうか調べてみれば良いんじゃない?


例え色が変わっても変わらなくても

どっちでも俺らが喧嘩する理由には

ならないだろ?な?」



何時もこうやって二人の間に入っては

仲裁役に回る平和主義者。



というか、これってお前の役目

なんだがな、とコウに目を遣ると

ヘラヘラ笑っている。



「ケンカするほど仲良いんだよ。

論文の共同作業効率は二人が

ダントツだっただろう?

互の興味がない分野に関してのみ

こうやって衝突する……それだけの話だよ」



だから放置ってワケか。



……一番の観察眼と平和主義者は

案外この男かもしれないと

妙に感心してしまった。






池の外周を回るが精々直径百メートル

ぐらいしかないので簡単に一周してしまった。


が、これといって何も無い。



「特に何も無いな、魚も見えないし」


「うーん、そうね。

条件に満たってないからかなぁ」



「条件?何だそれ」



トウコは端末機を取り出すと

それを読み出した。



「不可思議な現象が起きるには

幾つかの条件がありそれが全て

揃う事によって起こるとされている。


1新月の夜、2雨、3蛍。


いずれが欠けても異変は起こらない、って」



言い終わるやいなや早速キリトが、



「待て待て、新月の夜に蛍は迄は良い。


蛍が出現は月明かりが無く雨上がりの

むっとするような蒸し暑い夏の日が

定番だしな。


じゃ今日はどうだよ?


まず季節が違う、夜でもなければ

この時期は雨季でもない限り

雨なんか降らないだろうが。

何一つ条件に見合うものが無いじゃん。


極めつけに月もない夜に雨まで降ってて

何で池が透明になったってわざわざ

確かめに来るアホがいるんだよ?このバカ。


あーあ、

これを無駄足と言わずして何と言う」



まさしく正論だとセキは思う。



「それだけじゃないもん、

プラス幽霊も出るんだからね!」



「……話にならん、戻るぞ」



トウコの全然負け惜しみすらなっていない

言い返しに、キリトも含め男達は全員

半ば呆れ気味に溜息をついた。



「だって別に夜じゃなくっても

良いって書いてあるんだもん」



「夜じゃなくって良いって

条件の一つなんだろ?おかしくない?

ちょっとソレ見せてくれる?」



彼女からハイと渡された端末機。



サイトの名前はない?


……よくこんな怪しいページ

開こうと思うな、セキュリティは

ちゃんとしてるのだろうか?


些か心配になってきた。


トウコによればネットサーフィンを

した際に偶然発見してそのまま

お気に入り登録しておいたのだと言う。


しげしげと内容を見ると

そこにはさっき聞いた内容が

確かに書いてある。



そして“ただし……”と始まる

文章が随分下方にあった。



“ただし、新月の夜以外にも例外はある

ようだ、新月の日には変わりないが

昼間でも他の条件が同じなら……”



情報サイトというより誰かのメモ

みたいだ、そう思った瞬間だった。




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