記憶59 ハイドアンドシーク
「どこに行くのかな?」
優香里は包丁を振り回しながら追いかけてくる。
「落ち着け!こんなことしなくても俺は黙ってるって!」
「うるさいな~・・・今すぐ黙らせてあげるからおいで」
「誰が素直にいくかよ!」
頼斗はサロンの奥へと逃げると突き当たりに差し掛かる。
「行き止まり!?」
「あれ?もうおいかけっこ終わり?」
頼斗が周りを見渡すと扉があり、扉には「スタッフルームにつき関係者以外立入禁止」と書いてある。
頼斗はすぐにスタッフルームに入ると中から鍵をかける。
ドン
外から優香里が扉を蹴る。
「往生際が悪いよ!」
ドン
優香里が扉を蹴る度に扉のドアノブがガチャガチャと揺れる。
「何処か隠れるところ・・・」
頼斗は周りを見ると、両際の壁にロッカーが並んでおり、真ん中にはベンチが置いてあった。
「ロッカー以外ないよな」
扉の外では優香里が何回も扉を蹴っていた。
「早く出ておいで。そうすれば苦しまずに楽に殺してあげるから」
ドン
「あー!もう!」
ドン
バガン
ドアノブが壊れて扉が開く。
「・・・ロッカーに隠れたね。・・・ロッカーの数は・・・20か」
頼斗はロッカーの中で息を殺していた。
外からは優香里の声が聞こえる。
「かくれんぼなら私得意だよ。・・・そうだ!私が開けてもいいロッカーの数を決めよう!そして、その数以内に見つけれなかったら諦める!」
頼斗は必死にロッカーの中で物音をたてないようにじっとしている。
「うーん、開けるロッカーの数は・・・3ね!」
頼斗は少しその言葉を聞いて安心した。
(3つだけなら大丈夫だろ・・・)
ガァン
「!?」
突然ロッカーが強く叩かれるような音が聞こえる。
ガァン
ガァン
(あいつ!ロッカーを叩いて調べてやがる!)
ガァン
音はドンドン頼斗が入っているロッカーに近づいてくる。
ガァン
音が止まる。
(ん?)
ガァン
大きな音と共に頼斗の鼻先に包丁が見える。
(っ!?)
「あれ?こっちにはいないのか」
優香里は反対側のロッカーも同じようにして調べる。
(一個一個のロッカーに包丁を突き立てて調べている!?下手したら見つける前に死ぬぞ!?)
すると、音が再び止まる。
「さーて、開けていきますかな」
優香里はロッカーを一つ開ける。
ガチャッ
「ハズレー」
ガチャッ
「またハズレ・・・あーヤバイ、あと一個だよ」
頼斗はロッカーの中で必死に祈っていた。
(頼む!開けるな!)
ガチャッ
「あーあ、はずしちゃった。まあ、これも決めたことだししょうがないね」
優香里はロッカーを閉めると扉に向かう。
ガチャッ
バタン
(行ったか?)
頼斗は優香里がロッカーに包丁を突き刺したときに出来た穴から外を見るが、優香里の姿は見えなかった。
「ふ~」
頼斗は息を吐きながらロッカーを開ける。
「ハロー」
頼斗がロッカーを開けて外に出ると優香里が待っていた。
「う・・・え・・・あえ・・・!?」
頼斗は驚きのあまり声が上手く出ない。
「こんにちは。そして、サヨウナラ」
優香里は包丁を振り上げる。




