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リアル キール~デッド アイランド~  作者: タコ中
うみほたる島立中央公園
11/68

記憶11 液体バージョンの湿布

北エリアで二台の車が海水を掻き分けながら走っていた。


「しつこいな!」


和花がハンドルを切って路地にはいる。

しかし、路地にも帯広の運転する車は追いかけてくる。


「ちょっ・・・狭い道は・・・」

「黙ってて!舌噛むよ!」

「舌なんて噛ま・・ぐっ・・・」


頼斗は舌噛んでしまった。


ドン


帯広の運転する車が何度も追突してくる。

車は北エリアの広めの道に出た。

すると、帯広の車は和花の運転する車の横にぴったりくっつく。


「やられてばっかじゃ無いわよ!」


和花が帯広の車に体当たりする。


ドン


車内に凄い衝撃が走る。


「わぁぁ!」

「きゃぁぁ!」

「ひぃっ!」


帯広の車は制御を失い街灯に激突する。


ガシャァン


「っしゃぁ!」


和花はバックミラーで確認してガッツポーズを決める。


「前!先輩!」


優衣が慌てた様子で前を指差す。

和花が前を見ると、道を塞ぐようにしてトラックが止まっていた。


「わぁぁぁぁぁぁ!」


和花はハンドルを右に切る。

車は通りにあったスーパーに突っ込む。


ガシャン


スーパーのレジの台や商品棚を蹴散らしながら進む。

車の右側前輪後輪が浮き上がる。


「何かに掴まって!」


和花がそう言ったときには車の中では天変地異が起こっていた。









「う・・・」


目を覚ましたのは亜理砂だった。


「いてぇ・・・」


横の頼斗も意識があった。

二人はシートベルトをしてなかったので車の天井に寝ている状態だった。

和花と優衣はシートベルトをしていたので髪の毛や腕がだらしなくぶら下がっていた。


ガチャッ


車の後部のドアが開く。

とっさに亜理砂は気絶した振りをした。

亜理砂はうっすらと目を開けると、頭から血を流した帯広が立っていた。


「さっさと出てこい!」


帯広は亜理砂には目もくれずに頼斗の髪を引っ張って車から引きずり出した。


「いてててて!」


帯広はすぐ近くの商品棚に頼斗を叩きつける。


ガシャン


調味料の瓶が何個も落ちてくる。

帯広は頼斗が刺された場所を蹴る。


ドガッ


「うぐぁっ・・・」


頼斗は腹を押さえる。


「まだくたばるなよ」


帯広は調味料の醤油の一生瓶を掴むと、頼斗の頭に叩きつける。


バリィン


「っーーーーー!」


頼斗は声にならない悲鳴をあげている。

頼斗は全身醤油まみれになる。


(助けないと・・・)


亜理砂は車内から見ていて助けないといけない事は分かっていたが怖くて体が動かなかった。


(ここで行かないと斎藤さんが・・・)


亜理砂は周りを見ると、すぐ近くに医薬品コーナー(熱冷ましシートや、湿布等しか売ってない)が目にはいる。


(あれを使えば!)


亜理砂は車からこっそり出て医薬品コーナーに向かった。

その間も頼斗は帯広に殴る蹴るの暴行を受けていた。

亜理砂は医薬品コーナーからあるものを取ると、頼斗のところに向かった。


「おい!」


亜理砂が言うと、帯広が振り向く。


バシャッ


「ぶっ・・・なんだこの液体・・・スースーするな・・・」


帯広はかけられた液体を気にしている。


「おい・・・何をかけた?・・・答えろぉぉ!」

「この液体バージョンの湿布よ!」


亜理砂は帯広に空の湿布の容器を見せる。


「はっ!逆にスースーしてありがてぇぜ!」

「それはどうかしら?」


亜理砂はニヤリと笑う。

すると、帯広の体に異変が起こり始める。


「なんだ・・・液体がかかったところが痒くなって熱を・・・うわぁぁ!熱い!熱い!」


帯広は走り出してどこかにいってしまった。

それを確認してから亜理砂は頼斗のところに向かった。


「大丈夫ですか?」

「頭が少し痛いな・・・」

「少しって・・・」

「俺の頭は石頭だからな」

「そんなもんですか?」

「それより、あいつはどこいった?」

「多分飲み物の売り場だと思います」

「何であんな風になったんだ?」

「あれはですね、よくわからないんですけど、昔熱いからあれを塗ったらスースーして気持ちいかな~と思って腕全体に塗ったら火傷みたいな症状が出てすぐにシャワーで洗い流したのを思い出して」

「意外とバカなんだな・・・あと、説明ありがと」


バン!


いきなり横転している車のドアが開く。


「いって~」


和花が車から這い出してきた。


「いててて・・・」


同じように優衣も這い出してきた。

頼斗と亜理砂が近寄る。


「醤油臭っ!」

「え・・・あはは・・・そうですね」

「何でそんなに醤油まみれなの?」

「色々ありまして・・・」

「それ以上聞かないわ。何か長くなりそうだから」

「そうですか・・・ちょっと手錠貸してくれませんか?」

「何で?」

「あいつに使うからです」


頼斗は優衣から手錠を貰った。

そのまま飲料コーナーに向かった。

飲料コーナーでは、手当たり次第に飲み物を頭からかぶっている帯広がいた。


「くそっ!まだ痛ぇ!」


帯広はコーラのペットボトルを投げ捨てると、スポーツドリンクを取って頭からかぶり始めた。


「あーあ、勿体ねぇな」


頼斗の言葉は帯広には届いてなかった。


「聴こえてないか・・・」


頼斗は手錠を商品棚にかけると、もう片一方を帯広の腕にかけた。


「何しやがる!」


帯広が手を伸ばすが手錠で繋がれていて頼斗には届かない。


「くそ餓鬼が!」


帯広は近くのコーラを投げる。


パシッ


「サンキュー、調度喉が乾いてたんだよ」


プシッ


頼斗はコーラを開けて飲み始める。


「次はお茶がいいな~」

「ふざけんな!」

「・・・んだよ、その態度は」

「うるせぇ!」

「はぁー・・・お前、ここで一生反省してろ」


頼斗はコーラを投げ捨てて横転している車に向かった。

湿布の塗るタイプの正式な言い方がわかりませんでした。

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