記憶1 非常事態宣言
石川県封鎖・隔離から4年
東京湾に出来た「うみほたる島」は東京湾アクアラインにあるサービスエリアの「海ほたる」の周りに作られた人工島で、人口は30万人を超えている。
その、うみほたる島の特徴は二つの島に別れており、真ん中には東京湾アクアラインが通っている。
南エリアには商業、工場エリアがあり、北エリアは居住エリアがある。
「あっつー」
一台のミニパトが南エリアを走っている。
「先輩・・・」
ミニパトを運転しているのは小笠原 優衣(おがさわら ゆい)だ。
「もう帰りたい~~」
その横では田原 和花(たはら わか)が文句を言ってる。
「先輩・・・仕事中ですよ」
「わかってるって」
(本当に人任せなんだから・・・よく首にならないな・・・)
「今、悪口考えた?」
「え!?か、考えるわけないじゃないですか!」
「へぇ~」
和花は外を眺めたままだ。
「そ、それにしても変わりましたね」
「何が?」
「警察の装備ですよ」
「あ~、これね」
「わ!先輩!出したら駄目ですよ!」
和花はM1911の日本改良版M2013を取り出している。
M2013は装弾数は変わらないがフルオート機能が加わっている。
「要らない機能ね・・・」
「そうですね・・・」
「さらに後ろにはショットガンも載ってますしね」
「あれは対ゾンビ用で載せられた物じゃん」
それぞれパトカーには一丁ずつ上下二連式散弾銃が乗っている。
すると、和花の目に一台の路上駐車の車が目にはいる。
「あ、駐禁とるよ。」
「あの白いワンボックスですか」
ミニパトを白いワンボックスカーの後ろに停める。
「ったく・・・堂々と商業エリアの大通りに停めなくても・・・」
「愚痴ってないで手伝ってください」
「はいはい」
テキパキと手続きを進めていく。
その中で和花があることに気がつく。
「この車・・・銃置いてあるけど放置して良いかな?」
「え?・・・本当だ・・・刑事課に連絡しますね」
優衣はミニパトに戻る。
「はぁ~、見逃せば良かった・・・」
和花は目の前のビルを見る。
「ファッションビルか・・・」
「先輩、3分で来るそうです」
「そう・・・」
ファッションビルから夏なのにコートを着た男が出てきた。
そして和花と優衣を見てファッションビルに引き返した。
「優衣、あんたはここで刑事課の連中が来るまでここで待ったなさい」
「え?どうしたんですか?」
「たぶんこの車の持ち主がいた」
和花はファッションビルに入る。
ファッションビルに入ると、ホールを走るコートを着た男を発見する。
「待ちなさい!」
男は階段を上り上へ上がる。
それを和花は追いかける。
二人はファッションビルの真ん中の14階まで着た。
男は足を滑らせ派手に転んだ。
「観念しなさい!」
和花が取り押さえる。
しかし、男は抵抗する素振りも見せずに大人しくしている。
「やけに大人しいわね・・・」
「・・・・の終演の・・・だ」
「ん?なんか言った?」
「世界の終演の始まりだ!」
その言葉と同時にフロア全体に爆音と熱風が響き渡る。
同時刻、東京湾アクアライン(海底トンネル)
東京アクアライン(海底トンネル)を走る大型タンクローリーが突然道を塞ぐようにして停まる。
同じようなことがもう一方でも起きていた。
それにより海底トンネル、橋共に渋滞が出来ていた。
そして、海底トンネル、橋で爆発が起こる。
東京湾アクアラインの海底トンネルの方は天井が崩れ大量の海水が海底トンネルに流れ込む。
もう一方は橋が崩落する。
「う・・・ぐ・・・」
「ここは・・・?」
和花が起き上がり周りを見るとそこにはショッピングを楽しんでいた人達が倒れていた。
「大丈夫ですか?」
近くのうつ伏せになっている男性に声をかけるが返答がない。
「優衣!聞こえる!?」
『どうしたんですか!?さっきビルで爆発が起こりましたけど・・・』
「救急車と消防車をありったけ持ってこいって無線で言え!」
『分かりました!』
和花は生存者を探し始めるが、倒れている人はどれも虫の息でもう死んでしまっている人も少なくはなかった。
『駄目です!先輩!』
「何がよ!」
『東京湾アクアラインでも大規模な事故があってすべての緊急車両を出払ってるみたいなんです!』
「な!?」
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
『何ですか今の悲鳴!?』
「見てくるから誰もビルに入れるな!」
『はい!』
和花は悲鳴のした方に進んでいく。
「だれか要るんですか?」
そして、ある光景を見てしまう。
「っーーーーー!!」
人が人を喰ってる・・・
和花はその場で吐いてしまう。
「うっ!おげぇぇぇ」
和花はすぐに無線で優衣に伝える。
「優衣!非常事態宣言をうみほたる島全域に出して!バイオハザードよ!」
『はい!分かりました!』
その数秒後にうみほたる島全域にサイレンが鳴り響く。
ゾンビはいきなり立ち上がると和花に向かってきた。
和花はM2013を取り出すと、ゾンビに向ける。
「良いですか?それ以上近づくのであれば発砲しますよ!今、非常事態宣言が出されたので警察の発砲許可も出たんですよ!」
しかし、ゾンビは近づいてくる。
「くっ・・・」
ダラララララ
ゾンビはその場で倒れる。
すると後ろからも数体のゾンビが向かってきていた。
和花はすぐにビルから出ることにした。
これからよろしくお願いします。




