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ミロの絵と警備員さん

作者: 橘 みとせ

20代の頃、

しんちゃんで有名な春日部に住んでいた。

仕事帰りに近くの百貨店に立ち寄ると、3階の展示スペースで絵画展が開かれていた。

入場は無料だったので中に入ってみると、ジョアン・ミロの「ユビュ王」という連作の前で足がとまった。

物語のテーマは良くわからない抽象画だったが、なにかしら強く惹きつけられるものがあり、あくる日もまた、仕事帰りに見に行った。


しばらくその絵の前に立っていると、じわっと温かいものが伝わってきて、涙腺がゆるんだ。

これまで本や音楽で涙することはあっても、絵を見て涙したのは初めてのこと。

まして、抽象画を見て涙するとは思ってもみなかった。


3日ほど通っただろうか。

絵画展の最終日、展示場の隅に立っていた警備員さんに、そっと声をかけられた。

警備服を着た、年配の男性だったと記憶している。


「たくさんの来場者がありましたが、本当に絵を見ていたのは、あなたと、もうひとり、お二人だけでした。」というようなこと。そして、

「芸術というのは、日常の、生活の中にあるものなんですよ。」

「ほら、そこを歩いている男の子。あの子の着ている服を見てごらんなさい。」


そう言われて、警備員さんの視線の先にふと目を向けると、お母さんに連れられた5歳くらいの男の子の後ろ姿があった。

男の子は、ミロの絵とそっくりな、三色のジャンパーを着ていた。

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