風華の約束

都内でOLとして働く畑山翠は、物心ついた頃から繰り返し同じ夢を見る。それはある女性の生涯の追体験であった。

貴族の使用人として仕える彼女は、その人生のすべてを主人の娘に注ぎ、最期は一人生涯を終える。
そんな女性にも密かに心寄せる相手がいたが、その想いを胸に秘めたまま、彼女は死んだのだった。

夢は夢と割り切りながら日々仕事に追われる翠だったが、ある日本社から出向でやってきた青年を見て驚く。彼は、夢の中で思いを寄せていた相手に瓜二つだったからだ。

世話係に任命された彼女は戸惑いながらも平静を装い彼の面倒を見ていると、向こうから夢の内容を示唆してきて…。