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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第4章 吸血鬼大戦編

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第57話 女帝誕生

 正直、めっちゃ緊張する。

 沢山の人達の視線に晒されながら長々と式典に参加し続けると精神がゴリゴリと削られる。

 校長先生とかよくもまぁ全校生徒の前で長々と眠くなるお話しできるよ。アレはアレで凄い才能だったのかもしれない。

 くっ、一度くらい校長先生を経験しておけばよかった!


 幸いアドルネルは最後の建国宣言をする時以外は玉座でふんぞり返って笑っていれば良いと言っていたので、言われた通りに笑顔を張り付けておく。

 ちゃんと笑えてるよね? 


「それでは、女王陛下による建国宣言を行って頂きます」


「ん?」


 あっ、やべ。もう私の番か。いや、やっとと言うべきか。

 私は玉座から立ち上がると、アドルネルから建国宣言の文言が掛かれた宣誓書のようなものを受け取ると、小難しい事が書かれた内容を読み上げてゆく。

 そうして最後の一文を読み上げれば、式典は終わったも同然だ。


「ここに白夜王国の建国を宣言するっ!!」


「「「「おおおおおおおおっ」」」」


 式典会場から拍手と歓声があがる。

 我が国の国民が雄たけびをあげ、翼を羽ばたかせ、蹄を地面に叩きつけ、様々な音を響かせる。

 そして式典に参加した使者達と、言葉を話す事の出来ないグール達が拍手で歓声にリズムを加える。

こうして建国式典は滞りなく終わっ……


「異議ありっっっっっ!!」


 その時だった。式典会場全体に響き渡る様な声が、歓声をかき消したのである。


「なにっ!?」


 突然の大音響の物言いに私は驚きつつも会場を見回す。

 参加した使者の誰かの発言かと思ったんだけど、彼等は目を丸くして驚いている者ばかりで、物言いをしてきたとは思えない様子だ。

 なら国民の誰かかと思ったんだけど、そもそも彼等が物言いをする意味がない。

 じゃあ一体誰が?


「はははっ、流石は同類。俺の声を喰らってまともに動けるか」


「上っ!?」


 再び聞こえてきた声が上から響いてきた事に気付いた私は上を見る。

 するとそこには翼を生やした異形の姿があった。


「あれは……何?」


 空に浮かんでいたのは、鳥ではなかった。勿論コウモリでもない。

 そこにいたのは、いくつもの動物が塊になったかのような奇妙な姿だったのだ。


「何とは御挨拶だな。同じ吸血鬼なのによう!」


「吸血鬼!? 君が!?」


 嘘でしょ? 吸血鬼って言ったらこう、白い肌と真っ赤な目、鋭く伸びた牙、そしてシュッとした外見のイケメンや美女じゃないの!?


「そうよ、俺は最強の吸血キメラ! その名もコンゴウル!!」


「最強のキメラ……?」


 ええとキメラってなんだっけ。なんか聞いた覚えがあるんだけど……


「キメ……ラ? あれが? しかも吸血鬼の?」


 と、我を取り戻したらしいアドルネルが困惑の声を上げる。


「アドルネル知ってるの?」


「は、はい。複数の動物の体の部位を併せ持った非常に奇妙かつ強力な魔獣と魔物について書かれた書物にありました」


「あっ、それだ。キメラ!」


 そうだ、確か前世で通っていた学校の休み時間に、クラスの男子達がボスが強くて倒せないって言ってた敵キャラの名前だ。

 あとからそのゲームの絵を見る機会があったんだけど、その時は確かライオンの頭と体にヤギの頭、大きなコウモリの翼、そしての頭と体が尻尾としてお尻にくっついている子供の考えた最強モンスターの落書きみたいなヤツだったっけ。


「でもキメラの吸血鬼なんて聞いた事も……」


「でも実際にいるしねぇ」


 よくよく考えると私も動物吸血鬼を量産していたので、キメラの吸血鬼が居てもおかしくないだろう。


「はははっ、そういうこった! 俺が居るのは間違いのない事実! それをどうこう言ったところで、お前等が死ぬことに変わりはねぇっての!」


「っ!!」


 私は反射的に魔法で壁を生み出す。


「遅ぇぜ!」


 しかし相手の方が動きが早く、私の壁が完成する前に破壊されてしまう。


「くっ!」


 ギリギリでアドルネルを庇って横に飛ぶことで直撃を避ける。


「はっ、避けたかよ。まぁ挨拶で死なれたら興ざめだしな」


 勝手な事を言いながら、コンゴウルと名乗った吸血キメラは空へと舞い上がる。


「それにそこのグール、手前ぇもやるじゃねぇか」


 その言葉に視線を横にズラすと、そこには剣を抜いたミイラ一号君の姿があった。

 しかしおめかしの為に着ていた式典用の正装が無残な姿になっている。


「俺の突撃を受け流すとは大した奴だぜ」


 どうやらコンゴウルが攻撃してきた瞬間にミイラ一号君が割って入った事でダメージを軽減させてくれていたらしい。

 偉いぞミイラ一号君! 相も変わらず、戦闘の時はビックリするくらい有能よ。


「いいぜいいぜ! 楽しくなってきやがった! やっぱ戦いってのはこうでなくっちゃなぁ! 雑魚を蹴散らすのも楽しいが、強い奴とヒリヒリした戦いをするのも楽しいぜ!」


「いや、そう言うのは戦いたい人同士でしてくれないかなぁ。私はそう言うの良いから」


「そんなつれない事言うなよ! 折角ご主人から同格相手に戦う許可を貰ったんだぜ! 楽しませてくれよ!」


 誰だよその迷惑な飼い主。


「はははははっ! それじゃあ本気出してくぜぇぇぇぇぇ!」


 こうして、突然現れた吸血キメラとの戦いが、なし崩しで始まったのだった。

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