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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第4章 吸血鬼大戦編

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第55話 秘密の会談

確定申告に勝ちました。

 いよいよ建国式典が始まる時がやって来た。

 といっても式典までまだ一週間はあるんだけどね。

 けれど、私達にとっては既に式典は始まっていた。


「お姉様ケンタウロス族の使者がやって参りました」


「じゃあ予定通り宿舎に案内してあげて」


「畏まりました」


 式典まではまだ日があるけれど、それに参加する使者達は余裕をもって何日も前に現地入りするからだ。

 前世のように飛行機や新幹線で当日に参加とはいかないのが異世界の悲しいところ。

 馬車は遅いし盗賊や魔物にも襲われる。

さらに言えばカーナビなんてのもないから、初めての土地で迷う危険だってある。


「まあ我が国は街道の設置も頑張ったから、よっぽど僻地の村でもないと道に迷う事なんてないけど」


 そんな感じで建国式典への参加を表明した各国、各種族の使者が集まるのを私達は待っていた。

 ただ待っていただけじゃないけどね。


「この度は式典前に謁見の許可を頂き誠に感謝いたします女王陛下」


「はははっ、非公式の会談だから楽にして良いですよ」


 と、私はケンタウロス族の使者達に気楽にするよう勧める。


「いえ、族長の名代として無礼な真似は出来ません」


 生真面目だなぁ。とはいえ、彼等の状況を鑑みれば万が一の失敗も許されないのだから仕方ない。


「じゃあ先に難しい話をしちゃいましょうか。貴方がたの要求はカーマンタ国とタルコルヤ国の戦争に巻き込まれないようにしたい、ですね?」


「何故それを!?」


 自分から切り出す前に本題を言い当てられ動揺するケンタウロス達。

 私は式典に参加する為やって来た使者達と非公式の会談を行っていた。

 しかし行うのは参加を表明した国や種族の中でも早くに現地入りした種族のみ。


 つまりは決断の速かった者達、そして私達の存在を重視する者達へのサービスだ。

 こうする事で使者達の間に序列と危機感を植え付ける作戦なのである。


「ふふ、私達に協力してくれる者は意外と多いのですよ」


 本当は吸血コウモリ達に集めて貰った情報なんだけどね。

 でもせっかくなので水面下では味方が多くいると思わせようって話になったんだよね。

 なにせ人間に敵対する種族の国なんて警戒されるに決まってるし、いつ人間達に襲われるかもわからない国と表立って交友を広めるのも危険が伴う。

 だからこっそり協力してくれる味方が多いんだよってアピールをするわけだ。


「おっしゃる通りです。我等ケンタウロス族の集落は二つの国の国境沿いに位置しています。その所為で人間達の争いに協力するように脅され続けていたのです」


「確か位置的にはカーマンタ国の領土内なんでしたっけ?」


「ええ、元々は我等ケンタウロス族が暮らしていた土地なのですが、気が付けば人間達が自分達の領地だから国民にならないのなら出ていけと言ってきまして」


「で、断ったら武力を見せつけられて従わないと不味い状況なんですよね」


「はい。個の戦力なら我々に分があるのですが、罠を張って軍勢で攻められるといかに我々といえど不利は免れず……」


 ケンタウロス族は下半身が馬で上半身が人間の種族だ。

 下半身が馬なだけに彼等はとても速い。しかも文字通りに馬力があるからパワーも侮れない。

 そんな体なので、馬上で弓を撃つ行為が人間よりも遥かに安定していると来たもんだ。

 当然そんな生まれながらの騎兵種族を欲しがらない国はない。

 単純な戦力だけじゃなく、伝令役としても役に立つしね。


 そんな彼等の里と隣接する二つの国家がケンタウロスの郷に対し、自分達に従えと圧力をかけてきたのだそうな。

 でも片方に味方するともう片方から恨まれる。せめてどちらかの領地の奥に住んでいて、もう片方から離れた位置に暮らせていれば良かったんだけどね。


「我々が暮らしている土地は食料が豊富な草原なので、あそこから離れて暮らすのも大変なんです。しかも草原はタルコルヤ国の支配地にも広がっていて……」


元々彼等は草原を巡回して暮らす遊牧民みたいな生活をしていたらしい。

食料が減ってはこんどはあっちへ、そこでなくなったらまた向こうに戻ってみたいな感じで。


「今まではどうやって両国を誤魔化してきたんですか?」


「過去の族長の策で村を二つに分けて、二つの部族が暮らしているように見せかけ両国に従ってきたんです」


 へぇ、上手く考えたもんだね。


「それで同族同士と戦う時だけ上手く手心を加えて犠牲を減らしてきたんですが……長く誤魔化していた所為で同族同士での戦いがなぁなぁになってしまい、その戦いを人間達に疑われてしまったんです」


「あー」


 仲間同士での戦いに慣れちゃってうっかり気が抜けてたって訳かぁ。


「それで次の戦いでは相手を殺して本気で戦っていると証明しろと言われて」


 なるほどねぇ。


「しかし村を分けたとはいえ、同族を他種族の権力争いの為に殺したりはしたくない。それで女王陛下に知恵をお借りしたく……」


 なかなか無茶ぶり来たなぁ。

 とはいえ、こういう人間と敵対していないけどいつ立場が崩れるか微妙な種族というのはぜひ味方にしておきたい。

 人間社会に溶け込んで色々便宜を図ってもらえるし、彼等の立場に決定的な何かがあった時こっちの戦力に組み込めるからね。 

 というか今がまさにその万が一の時なんだけど。

 なのでここはアンデッドらしい解決策を提示してあげよう。


「それなら……アンデッドに殺し合いをさせたらどうかな?」


「アンデッドに……ですか?」


 そう、なるべく、最近死んだ死体を墓から掘り起こして、その死体を私の国の瘴気に当ててアンデッドケンタウロスにする。

 そして戦場でアンデッドケンタウロスを倒させれば人間達をごまかす事が出来ると思うよ。


「おおっ! そんな方法が!」


 人間達をごまかせる画期的な方法だとケンタウロス達が歓声を上げる。


「しかし死体を掘り起こして傷つけるのは先祖に対する冒涜じゃないのか?」


 しかしそんな中、ケンタウロスの一部に死体を戦争に利用する事は人の道に外れていないかと眉を顰める者達も居た。


「それはそうかもしれんが、部族全体の問題なんだぞ。もしバレたら人間達に滅ぼされるか捕まって奴隷にされるかもしれんのだ」


「分かっているがしかし……」


 まぁ身内の死体をひどい目に遭わせるのが嫌ってのは分からなくもないけど、グダグダと悩むのは勘弁願いたい。


「皆さま、長くなるのでしたらそういったご相談は宿舎に帰ってからにしてください」


 と、アドルネルが凛とした声でケンタウロス達の口論を遮る。


「謁見を望む方々は他にもいますので」


 言外に私と関係を結びたいのはお前達だけじゃないんだぞ。グダグダ言うならさっさと帰れとキツい発言をするアドルネル。


「っ!? す、すまない、失礼した……」


 察しの良い使者がそれに気づき、慌てて謝罪するとまだ気づいていない仲間にも頭を下げさせる。

 そんなやりとりもありつつ、ケンタウロスは一度この話を故郷に持ち帰って相談し、改めてアンデッド作戦を行うか決めたいという話になった。


「戦争が始まる前に決まると良いですね」


「すぐに使いを出しますので、式典が終わるころには答えを出せるかと!」


 アドルネルからダラダラしてたら見捨てるぞと言われ、ケンタウロス達は急いで使いを送ると言って慌てて去っていった。


「交渉内容を決断できる権力者を送ってこないのは減点ですね。まぁそんなだからグダグダになっていたんでしょうけど」


 アドルネルが厳しーい。


「次は小人族ですね。彼等は人間にも友好的な種族ですが、手先が非常に器用なのと体の大きさ故の非力さから人間以外の種族や国家に利用されることも多い種族です。ですので面会の目的は保護、臣従、同族の救出と候補が絞り切れませんね」


 逆に言えばそのどれにもつながるほど事件が起きてる種族ってことかぁ。厄介だなぁ。

 でも手先が凄く器用っていうのは便利で良いよね。

 うちに移住するなら喜んで保護してあげよう。


「んじゃ呼んできてー」


 そんな感じで、私達は式典が始まる前から根回しに勤しむのだった。

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