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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第4章 吸血鬼大戦編

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第53話 ところでこの子達どうしよう?

 結論から言うと偽装契約をされていた奴隷達はごく一部だった。


「本命を隠すために残りは本当に使役契約を委譲された奴隷だったのでしょうね」


 なるほど、美味しいご飯の中に、たった一粒の米だけが毒入りだったみたいな感じかぁ。


「奴隷の主たちをリストアップしておきました。大半が一人か二人だけ本命を仕込んでいたようですが、中には全員が偽装奴隷だった悪質な商人も居ますね」


 全力で裏切る気満々じゃん。いや少人数の商人も裏切る気満々だけど。


「とりあえず悪質な者は見せしめに潰しましょう。少人数の者はあえて見逃して気付いていないと安心させましょう」


「とっくにバレてるんじゃって疑われない?」


「それはそれで向こうも迂闊な行動が出来なくなります。それに、向こうはお姉様が魔法契約を破壊できると知りません。命令を仕込まれた奴隷が生きてさえいればチャンスはあると考えるでしょう。彼等にとって文字通り奴隷は使い捨ての駒なのですから」


 なるほどねぇ。となるとここに来た商人達も死んでもいい部下だったってことか。


「じゃあ見せしめしちゃおっか」


「はい、まずはじっくり調べて支店や隠れ家があるかも調査しましょう」


 とそんな感じで私達は悪質な商人の見せしめを決定した……のだけれど。


「それはそれとしてあの奴隷達どうしようねぇ」


「労働力として置いておけば良いのでは? お姉様の食事は私の役目ですけど」


「いや、アドルネルの血ばかり吸い過ぎたら貧血になっちゃうでしょ」


「私は構いませんよ。お姉様の手で命の危機に晒されても」


 あかんあかん。この子の倫理観と危機感がバグってる。


「話は戻すけど、この国の住人って人間と敵対してたり追われてる種族ばかりでしょ。アドルネルだけならともかく、普通の人間を置いてたら襲われるんじゃないかなって」


「ああ、それはありそうですね。ならいっそ血を吸って眷属にしてしまえばいいじゃないですか」


「あっ、そっか」


 そうだった。私は吸血鬼なんだもん。人間なんてご飯兼新しいアンデッド労働力だったわ。

 アドルネルが特別なんだよ。この子の血はめちゃくちゃ美味しいから。


「偽装契約の件ですっかり忘れてたわ」


 という訳で私は奴隷達の血を美味しく戴いて眷属にする為、彼等を纏めて集める。


「「「「……」」」」


 奴隷達はこれから何が起きるのかと不安げだ。

 奴隷契約が破棄されたとは言え、ここはアンデッドと魔物の巣窟。

 いつ殺されたとしてもおかしくはないのだから。


「あ、あの、一体なんの御用なのでしょう……か?」


 奴隷の中でも一番年上(それでも若いけど)が勇気を出して尋ねてくる。


「うん、君達には私のご飯になってもらいます」


「「「「っ!」」」」


 吸血鬼のご飯、つまり血を吸われると言われ、彼女達に恐怖の感情が走る。


「私達死んじゃうんだ……」


 小さな奴隷の子供がプルプルと震えながら涙を流す。


「そうだね。私は君達の血を吸いつくして殺す。そして私の眷属になってもらうよ」


「……眷属?」


 血を吸って殺すと言われたのに眷属にすると言われ、首をかしげる奴隷達。


「あっ、そういえば吸血鬼って血を吸って仲間を増やすって」


 おっ、恐怖で怯えていた頭が疑問を覚えた事でようやく回り始めたらしい。


「そう。君達は今日からアンデッドに生まれ変わってもらうよ。勿論拒否権なんてない。ここで死んで、私の忠実な僕になるのだ!」


 と、わざとらしく悪役ムーヴをかます。

 これから殺されて永遠に私にこき使われるんだからね。

 恨み言くらいは聞いてあげようって訳だ。


「……わかりました」


 けれど以外にも奴隷達はおとなしく死を受け入れた。

 あっれー、なんか予想外の展開。

 普通はこう、いやだー、死にたくない! 吸血鬼の仲間になんてなりたくない! って暴れたり逃げようとすると思ったのに。


「元々使い捨ての駒として送り込まれた私達です。このまま生きていてもいつかはご主人様を裏切る命令に従わされ、裏切者として殺される予定でしたから」


 そうだね。裏切りを実行していたら、たとえ私が許したとしても住民達が許さないだろう。

 この子達の死は確定だ。裏切りを命令されていなかった奴隷達も、コイツも何か裏切りを命じられているに違いないって思われて殺されるだろうしね。


「なので、ただ死ぬくらいならアンデッドになって私達を陥れ奴隷にした者達に復讐がしたいです」


 彼女の言葉に、他の奴隷達も「そうだね、どうせ死ぬなら」「うん、アイツ等を道連れにしたい」と同調し始める。

 そんな彼女たちのその目は暗い悦びと期待に満ちていた。

 ふむ、どうせ死ぬならお前らも道連れじゃーの精神って事ね。悪くないんじゃないかな。


「いいよ、その覚悟があるのなら、君達がそんな立場になった連中を始末する時にやらせてあげる」


「「「「ありがとうございます!」」」」


 んじゃ頂きまーす!


「カプッ」


「っ!!」


 奴隷達の血はほろ苦いコーヒー味だった。

 カプチーノの様な苦み。

 まるでこの子達の苦しみが血に浸み込んだような味わいだ。

 でもその中にかすかな甘みが感じられる。まるで絶望の中に見える小さな希望のように。


「ぷはっ」


 そうして、血を吸われた奴隷が倒れる。

 あとはグールとして動き出すのを待つだけ。


「……っ」


 ゆらりと、動く死体になった奴隷が起き上がり、顔を上げる。

 その目は、喜びに満ちていて……


「ああ、これがアンデッドになるという事なのですね」


 なんか流暢に喋った。

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