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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第4章 吸血鬼大戦編

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第52話 裏側の事情と秘密の命令

「ご主人ちゃまー、調べてきたでちゅよー」


 調査に向かっていた眷属達の報告をソルフィが持ってくる。


「ご苦労様」


「ふぇ~」


 ご褒美に額をコリコリしてあげると、ソルフィは気持ちよさそうに目を細める。


「……やはり今回の商人達も裏社会の人間だったみたいですね」


 報告書を受け取ったアドルネルがやって来た商人達の裏取りを読み上げる。

 あれから、何組もの商人が私達の国で商売がしたいとやってきた。


「ただし今回の商人は裏で国の暗部と繋がっていたようです」


「暗部かー、そういうのって実在するんだねぇ」


 でもさ、まだ私達の国は建国式典もやってないから、国ですらないんだよね。

 なのに彼等が商売をしたいと言ってくるのは、つまりそういう事なんだ。


「国と繋がっているもの、偽装した国の密偵、国にうまく誘導されて来たものと、大半は国が関わっていますね。あとは純粋に裏社会の組織の関係者と。中には独自のルートで情報を手に入れて商売敵に先んじようとやってきた国とは関係ない者もいますが、まぁこちらも裏社会の人間とどっぷり関わっているようなので似たようなものですね」


 なので私達は眷属である吸血コウモリ達にやって来た商人達の調査をさせた。

 静かに追跡し、たどり着いた彼等の町にコウモリ達を潜ませ会話に耳を澄ませる。

 そうやってポロっと商人達が口を滑らせるの待っていたのだ。


「流石にこれ以上深い調査はコウモリ達が気づかれてしまうので出来ませんでしたが、関係者であると分かっただけ収穫かと」


「そうだね」


 吸血コウモリ達は魔物としては最下級の存在だ。

 戦闘能力は低いし、気配を察知する事に優れた人間に見つかったら命はない。

 うーん、我ながらよくそんなザコザコな生き物として生きてこれたなぁ。


「どうなさいますか? 潰しますか? それとも警告として何人か始末しますか?」


「なんでそんなヤクザ的思考なのさ。まだ何もしてきてないんだから、何もしないよ。それに貢物をくれるんだから、放置でいいでしょ」


「そうですね。外の国との交易という意味では本来の建国目的ですし」


「でも取り扱う品には気を付けてね。特にヤバい物をうちの国民に売るのは絶対取り締まってね」


「かしこまりました」


 うん、悪党同士で取引する場所として使う分にはいいけど、ヤバい品をうちの子達の間で蔓延させるのだけは避けたい。

 皆にも変なものを貰ったらすぐに私に言うように注意を呼びかけないとね。


「それと、連れてこられた奴隷達ですが……」


 と、アドルネルが話題を変える。


「あー、あの人間達ね。どうしてる?」


「いまだに私達に怯えていますが、最初に比べたら落ち着いてきていますね」


 うん、実はここにくる商人達って結構な確率で貢物として奴隷を連れてくるんだよね。

 私のご飯として。

 でもさ、彼等の連れてくる奴隷って見た目だけは綺麗にしてあるけど、いまいち食欲がわかないんだよね。

 劣悪な環境で飼育した動物を出荷するときだけキレイにしたみたいな取り繕いを感じるんだ。

 多分これは吸血鬼特有の嗅覚の様なものなんだろうね。


 でもせっかくくれたものを捨てるのももったいないので、人間の感性を持った労働力として使うことしたって訳。


「十分な食事を与えられることと、個室とベッドを用意した事でかなり安心しているようです。以前はもっと劣悪な環境に押し込められていたようですね」


「まぁ奴隷だもんね」


「ただ、彼女達は奴隷です。魔法契約によって使役されている以上どんな強制契約が仕込まれているか分かりません」


 と、アドルネルは奴隷達に警戒を強める。


「なんだっけ、条件を満たしたら強制的に従わせる命令だっけ」


「はい。奴隷は魔法契約によって主の命令に絶対服従します。通常は奴隷契約書の所有者の命令に絶対服従しますが、偽装書類による簡易契約も存在しますので」



 偽装契約とは、まず奴隷商人が捕まえた奴隷に契約させて自分が主になる。

 その後偽の奴隷契約書を用意し、事前にあの人間を主としていう事を聞くようにと自分の命令権を残した状態で奴隷を他人に譲り渡す方法だ。


 なんでそんな事をするのかって? そりゃあ裏切らせるためだよ。

 暗殺とか、秘密を奪う為とか、物を盗ませる為とか、まぁまともな事に使われる方法じゃないよね。


「偽装書類はそれ自体が本物と疑われないように魔法的な細工がしてありますから、専門家が居ない状況では真贋が確認できないのが問題ですね」


 という訳でアドルネルは奴隷達が本当に私達に譲渡されたものなのか疑っていたわけだ。


「んー、でもさ、それなら奴隷契約を破棄しちゃえばいいんじゃない? そうすれば隠していた命令を放棄させられるし、自由の身になったとしても、身一つじゃ逃げようもないし」


 何せこの国にはウルちゃんズが衛兵代わりにそこらじゅうを歩き回っているので、人間が走って逃げたりこっそり隠れながら逃げ出すなんて無理なのだ。


「ですが契約を破棄させるにもやはり専門家が必要です。ダークエルフ達の魔法とはまた違う系統ですし、下手に解呪しようとすると逃亡対策の術式が発動して身体が酷い事になるらしいのです」


 あー成程、確かにそんな魔法があるなら解除できないようにもしてあるか。


「でもまぁ、私なら何とかなると思うよ。だってこれでも高位吸血鬼だし」


「え? そうなんですか!?」


 結果から言えば出来ました。

 試しに呼んだ奴隷の体を調べたところ、彼女の中にどんよりした魔力が渦巻いているのを発見した私は、それをふんっと体内に魔力を流し込んでぶっ壊したのである。

 まぁちょっと痛がってたけど、それでキレイさっぱり魔力はなくなった。


「じゃあ確認だけど、君、元の主人に何か命令を強制されてる? そうなら教えて」


で、本当に魔法契約を破壊出来たのか確認する為、試しに何か内緒の命令を受けていたんじゃないかと聞いてみたら……


「わ、私は、貴方様が油断するよう従順に従い、信用を得たところで戦争が起きた際にはこの国に毒をバラまきアンデッド以外を始末するように命じられていました……あ、あれ?」


 すると、思った以上にヤバイ命令内容が出てきた。


「嘘、命令を喋れた? 何で」


 そして秘密の命令を喋れたことに驚く奴隷。


「うん、魔法契約、ぶっ壊せるね」


 これなら他の奴隷達の契約もぶっ壊して不安要素を無くせそうだよ。


「普通はそんな事出来ないんですけどねぇ……わたし、お姉様の力ってもっと物理的なものだと思っていました」


 それは私が力づくで破壊するしか能のない脳筋って言いたいのかな、アドルネル?


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