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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第3章 暗黒都市開発編

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第41話 日中の防衛線

 敵の数を減らした事で、私達は本格的に戦いを開始する。


「って言っても最初は時間稼ぎなんだよね」


 何せ私を含めたアンデッドは日中活動できない。

 なので夜になるまでは昼間でも活動出来るダークエルフ達に任せるしかないのだ。


「でも圧倒的に数が足りないんだよね」


「ええ、ですから昼間は防壁と罠による進軍阻害がメインの戦いになりますね」


 これが大呪海だったら、背が高く密集した木々によってアンデッドも多少は活動できるんだけど、まぁ立地が悪かった。

 そして向こうもこっちを日が昇っている間に倒したいんだから本気で攻めてくる。


 とにかく相手の足を止める為に、オーク達の体力と私の魔力にあかして盛りに盛った土壁、更には岩壁というか岩を積みあげた小山が敵を迎え撃つ。


 さっそく敵はこれらを登って上からロープを垂らそうとするけれど、土の中から伸びた槍に貫かれて歩兵が犠牲になる。


「ぎゃああ!」


「ア、アンデッドだ! アンデッドが土の中に埋まっているぞ!」

「イ、

 そう、呼吸の必要ないアンデッドを土の中に埋めておくことで、機械的な罠を人力、いや死者力で再現したのである。


更に岩を積み上げた小山の中にもアンデッド達が潜んでおり、小山の上部の岩と岩の隙間の穴からアンデッド達が弓を放つ。

これは前回の日中での監視の応用だ。


「ふふ、ただの岩山じゃないんですよ。それは実質砦なんです。人間の力では持ち上げられない岩を積み上げ、隙間からは高所を取ってアンデッドが弓を放つ。まぁ半分埋もれているので狙いをつけ辛いのが難点ですが、これだけ数が居るのですから狙いを付ける必要なんてありませんね」


 アドルネルがニッコニコで岩山を褒める。


「ちゃんとした建築物を作るには技術と時間と予算がかかります。ですが時間稼ぎの為ならこれで十分。それに、この岩山はただの障害物じゃないんですよ」


 その声を合図に、岩山の頂上にオーク達が姿を現す。


「オークだ! アンデッドだけじゃなかったのか?」


「近隣の魔物を従えていたか!」


 アンデッドだけなら日中は楽勝と思っていた騎士達が警戒する。


「落ち着け、オークは魔法も弓も得意ではない。接近してくるまで攻撃はうわぁっ!?」


 冷静にオークの戦力を測っていた騎士は、次の瞬間降って来た岩の塊に度肝を抜かれる。

 オーク達が岩山の岩を上から投げたり転がしてきたからだ。


 そうなると岩山に登ろうとしていた兵士や、岩山のふもとにいた騎士達がよけきれずに岩に潰される。


「くっ、離れろ!」


 騎士達はすぐさま岩山から離れて落石から身を守る。

 時間稼ぎとしては良い感じに見えたけど、向こうはすぐに魔法使いや弓兵を射程ギリギリに出してくる。


「オーク弓兵、出てください」


 アドルネルの指示を受け、今度は弓を持ったオーク達が姿を現す。


「なんだ? オークの弓兵? 初めて見たぞ? って何だあのバカでかい弓は!?」


 騎士達が驚いたのも無理はない。

 オーク達は自分達の身長ほどもある大きな弓を取り出したからだ


 これはオーク弓といってデカくて太い木材を無理やり曲げて作った弓だ。

デカいから当然凄い威力を誇る。

なんせ100メートルは離れた木を貫通したほどだからね。


「落ち着け! 敵の弓兵は少ない! 気を付ければそうそう当たるもんじゃない!」


うん、敵の言葉は間違っていない。

 でもそれならそれでやれることをすればいいんだ。

 オーク達は矢をつがえると力いっぱい引き絞り、一斉に矢を放った。


「なっ!? 全員回避―――っ!」


 騎士達が慌てて回避を命じたのも無理はない。

 オーク達が放った矢が、空中で分裂したからだ。

 一本の矢が一瞬で十倍になり、それが何十ものオークによって何百もの数へと膨れ上がる。

 当然天から大量に降り注ぐ矢を避けきれず兵士達は無残な死を遂げた。

 さて、今の不可解な攻撃はなんだったのか?

 答えは簡単。兵の数が少ないなら、一気に大量に矢を放てばいいんだ。


 普通の弓なら一度に何本も放とうとしたら矢は明後日の方向に飛ぶし、何なら上手く飛ばずにすぐ落ちてしまう。


「でもオーク弓ならパワーが凄いから、狙いさえ考えなければ何十本でも矢を飛ばせる」


 実はオークって弓が下手なんだよね。

これはアドルネルが彼等に弓の練習をさせて初めて発覚した事だった。

というのもどうやらオークは種族的に目があまり良くないみたいで、簡単な視力検査をしたらあまりダークエルフやゴブリンよりも目が悪かったんだ。

変わりに鼻が利くらしいけど。


そうした理由もあってからオーク達の間で弓は流行らず、それなら近づいて殴った方が早いと接近戦を好むようになっていったみたいだ。

 これがオークに弓兵が居ない真相だったりする。


「ですが、その問題は解決しました」


 そこでアドルネルが考えたのが、矢を大量に放つ為の補助具だった。

 それは丸く削った木の板に半分だけ穴をあけて矢の後端を差し込む事で何本もの矢を装填できる道具だ。

 アクション映画でリボルバー拳銃の弾を素早く入れ替えるリローダーって道具をイメージして欲しい。

 あれに穴をあけて弓の弦に通す事で簡単に大量の矢を撃てるようにしたのだ。

 名付けてリボルバー弓。

 いや、一気に撃つからショットガン弓かな?

 ちなみに普通の矢と少し違っていて、リローダーに刺し込む為に矢の風切羽の後ろにはみ出る感じで棒が伸びてるんだよね。


「これぞオーク弓戦術! オーク達の弓の腕が悪いのなら、一度に何発もの矢を撃てるように改良して戦力を増やせばよいのです!」

 

 オーク達が新たな矢を弓につがえて放つ。

 すると再び数百の矢が天に舞い、地上の敵を討ち貫く。


 こうして戦場は膠着状態に陥った。

 近づけば落石で潰され、撃ちあいをすれば連合軍が無視できない量の矢が飛んでくる。


「まぁそれでも焼け石に水なんだけどね」


 作戦は上手くいっていたけれど、それでも矢の数には限界がある。

 ゴブリン達を総動員して作らせたんだけど、まぁ消耗品だから。

 夜になったらアンデッド達に回収させないと。


 で、落石の方もあんまり投げるとそもそもの防壁が低くなっちゃうのでこちらも乱用は出来ないの。


 結果こちらの攻撃はじりじりと減っていき、更には連合軍の破城槌によって岩山の一部が崩壊。

騎士達が数人巻き込まれたりしたものの、敵が抜ける穴が出来てしまった。

 こうなると他の場所でも同じような穴が開いていき、これ以上の戦線維持は無理と私はオーク達に撤退を命じた。


「大シテ役ニタタズ申シ訳ナイ」


「いやいや、かなり善戦したよ。お疲れ様。今のうちに休んでおいて」


 次に連合軍を待ち構えていたのはお城の防衛のお約束、掘だ。


「むっ、今度は堀か」


 土壁と岩山を作る際に掘った穴を繋げてそこに水をぶち込んで堀にしたのである。

 結構な深さで幅も割とあるから、金属鎧でここを通り抜けるのは厳しいだろう。


「魔法部隊! 堀を埋めろ!」


「お、おお!?」


 けれど魔法使い達によって堀の一部に土が盛られ、あっというまに道が出来上がってしまった。


「って、だめじゃん!」


 うわー、せっかく作ったのに!」


「いえ、大丈夫です。ダークエルフ部隊おねがいします」


 アドルネルの号令に今度はダークエルフ達が動きだす。


「土の精霊よ、繋がれた手を放し、自由になりたまえ」


 穴を掘って作った塹壕に隠れていたダークエルフ達が地面に手をついて魔力を込めると、その先にある土壁がボロボロ

と崩れだした。


「うわぁーっ!」


 崩壊に巻き込まれた騎士や貴族が堀の中へと落ちてゆく。


「ガボッ、た、助けてくれ」


「くっ、向こうにも魔法使いがいるのか! もっと大量に埋めたてろ! 木を切って丸太も放り込め! 岩を投げ入れろ!」


 ダークエルフ達の魔法に対抗する為、何人もの魔法使いが追加で動員されて埋め立ての速度を増す。

 けれどダークエルフ達の魔法の方が強いのか、土の橋はどんどん崩されてゆく。


「ダークエルフ達はエルフと同じく精霊魔法の使い手ですからね。Bランク冒険者ともやり合えるのですから、並の魔法使いでは数を揃えないと対応できませんよ。対応されても魔力の消費を期待できますし」


 ダークエルフ達のお陰でさらに時間が稼げたけど、それでもまだまだ夜には遠い。

 結局掘も物量で押しきられてしまった。


「も、申し訳ありません」


「いいよ、十分時間を稼いでくれたから。こっちの被害も大してないしね」


どのみちここまではアドルネルの計算通りだからね。


「次は罠を仕掛けた平原です。シンプルに敵の足を止める事が出来ます」


 確かに罠があると分かればそれを警戒して速度が遅くなるもんね。

 そして予定通り、最前線の歩兵達が罠にかかる。


「罠があるぞ! 魔法部隊、罠を破壊しろ!」


「あれ?」


 そしたら連合軍は魔法使い達に命令して、魔法で地面を攻撃しだした。

 彼等の放った範囲魔法は威力こそ低いものの、その衝撃で罠を空振りさせ無効化してゆく。 


「げげっ、あんな魔法の使い方あり!?」


 やばい、このままだと予定よりも早く罠のエリアを突破される!


「まさかこんな対応法があったなんて。やっぱり実戦を経験しないと勉強だけじゃこういうところでヘマをするわね」


 アドルネルがちょっとだけ悔しそうに顔をしかめる。


「でもこちらも素直に通すつもりはないのよ!」


 こちらの対応はシンプルだった。罠エリアの向こうから、オークとゴブリンが姿を見せ、一斉に矢を放つ。

 更にダークエルフ達が物陰から魔法を放って敵の魔法使いを狙ってゆく。


「魔法使いが狙われているぞ! 盾兵守れ!」


 すぐさま大きな盾を持った騎士が前に出て魔法使い達を矢から守る。

 けれど自分達が狙われている事で魔法使いも狙いがつけ辛くなり、攻撃の手が緩まる。

 騎士達が突撃して風穴を開けたくても、罠があるのでどうしても罠を解除してからでなと無駄な犠牲が出るだけなのでやはり動かない。


 こうして、予定よりは速いものの罠エリアでの時間稼ぎは終わった。

 でもホント物量って厄介だなぁ。結局兵の数で押し切られてしまった。

 いつもは私達がやってる事なのにね。


「敵の軍勢がだいぶ近づいてきたね」


「はい、ですがもう時間切れです」


 既に太陽はオレンジ色になって大地に接しようとしている。


「ここからが本番だね」


 暗闇に隠れていたアンデッド達が、一斉に動き出す時間だよ。

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>「ア、アンデッドだ! アンデッドが土の中に埋まっているぞ!」 「イ、  そう、呼吸の必要ないアンデッドを土の中に埋めておくことで、機械的な罠を人力、いや死者力で再現したのである。 エディタの自動イ…
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