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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第3章 暗黒都市開発編

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第37話 卵が沢山欲しいんですよ

「すっかり町も綺麗になったねぇ」


 月明かりの下、戦いでボロボロになっていたフェネシアの町はすっかり綺麗になっていた。

 新たにやって来た住人たちの住居として再利用する為に改築されたのだ。

 既に各種族は改築した家に住み、商売すら始めていた。

 最初はダークエルフだけだったけれど、興味を持ったゴブリンとオーク達も物々交換で商売を始めお互いが欲する物を交換するようになっていた。


「原始的だけど経済が回ってるのは面白いねぇ」


「そうですね。魔物と同一視される種族は経済を理解できないと思われていましたが、こうしてみると知らないだけで理解する地頭はあるようです。何よりこうして交流が深まる事で、他種族への理解が深まるのが今後の戦いを考えると良いですね」


 確かに、お互いの事を知らずに集まった者同士だといざと言う時お互いを信用できなくなって戦いでピンチになった時に瓦解しかねない。


「っっっ!」


「っっ!!」


 けれどやっぱり感情を持った生き物同士だとどうしてもぶつかる事もある。

 何かの理由で口論が始まり、剣呑な空気になった異種族達の姿が見えた。


「ソルフィ、近くにいる衛兵隊に仲裁する様に伝えて」


「まかせるでちゅ!」


 命令を受けたソルフィが私の肩から飛び立つと、上空から現場の近くにいるアンデッド衛兵達に指示を伝える。

 するとアンデッド衛兵達はすぐさま現場に直行する。


「運用してみて分かったけど、アンデッドの衛兵ってかなり便利だよね」


「そうですね。私も想像以上に有用で驚きました。疲れないと言うのがあそこまで便利とか思いませんでしたね」


 そうなのだ。アンデッド達は疲れを感じない。何より魂が無いから心が疲弊しない。だから一日中労働しても効率が下がらないのだ。


「常に体力が尽きる心配がないので全力で走っても現場に着いた時に息切れする事がありませんし、興奮した住民に殴られても怪我をしないのが良いですね。オークの腕力を抑えるのは大変ですから」


 その点アンデッド達は痛みを感じないので何度殴られても臆することなく捕獲に挑める。

 相手が疲れるまで相手をさせるもよし、そうして他のアンデッド達が来たら数の力で制圧できる。


「下級のアンデッドだからこそ力を発揮する使いどころがあると実際に運用してみて初めて理解しました。私もまだまだ本で得た知識ばかりですね」


 と、アドルネルは実際に町の運営をすることの難しさを語る。

 でもねアドルネル。その若さで初めて一緒に暮らすことになった複数の種族をこの程度の騒動程度でまとめられてるのは凄いと思うんだよ私。


 やっぱこの子領主の才能あるわ。


「うんうん、アドルネルは一杯頑張ってるね。偉い偉い」


「きゃっ!? きゅ、急に何ですかお姉様? あっ、もっと続けてください」


 驚きつつもナデナデの延長はしっかりしてくるアドルネル。

 ちゃっかりしてるぅ。


「ただいまでちゅー!」


 アドルネルをなでなでしていたらソルティが帰って来る。


「バッチリお仕事してきたでちゅ!」


「ソルティもお疲れ様」


 帰って来たソルティの額を指でコリコリしてやると、ソルティがあっという間に溶ける。

 悲報、コウモリは液体だった。


「あー、これこれ、仕事終わりのコリコリが堪らないでちゅー」


 とはいえ確かにソルティの仕事は多い。

 私もアンデッド達に指示を飛ばす事は出来るけど、あまり遠い位置にいるアンデッドに意志で指示を出すのは面倒なんだよね。

 なので空を飛べるソルティに現場まで言ってもらうのが一番確実に命令を伝える事が出来る。

 けれどソルティは一人。幾つも指示を飛ばしたい時にはどうしても時間のロスが発生してしまうのだ。他の種族の伝令だと地上を走る事になるからね。


「もっと伝令用の吸血コウモリが欲しいなぁ」


 でもあの便秘状態を味わうのは辛い。

 そう考えると、大量の吸血コウモリを従えていたお父様って凄い吸血鬼だったんだな。

 猛烈な便秘に耐えて大量の卵を産むイケオジ吸血鬼、凄い絵面だ。


「いや、でももしかしたらもっと楽に生み出す方法があるのかな?」


 流石に毎回あの苦しみを味わいながら強いわけでもない吸血コウモリを産み出すのは現実的じゃない。

 私が気付いてないだけの可能性の方が高いんじゃないだろうか。


 私達吸血鬼は体の大半が魔力で出来た生き物だと先生は言った。

 という事は私の産んだ卵も魔力で出来た卵のような物なのかもしれない。


「ちょっくら試してみようかな」


 私は自分の意志で吸血コウモリを増やせるのか試してみる事にする。


「まずはエネルギー補給として血を沢山吸わないとね」


 という訳で補給するならやっぱ動物よりも人間だよね。

 私は空高く飛び上がると、街道沿いに跳んで行く。


 暫く飛ぶと、街道沿いに町。ではなく城のような建物が見えて来た。

 ただしその建物には優雅な装飾などはなく、無骨なつくりをしている。


「んー、城って言うには物々しいねぇ。あれが報告に会った砦かな」


 ゴブリンとウルちゃんズを組ませた騎馬兵ならぬ騎狼兵からの報告にあった建物がこれだろう。

 アドルネルの予想だと、私を見張る為に作った拠点じゃないかとのことだった。


 私はこの砦を越え、更にその先へと向かう。

 すると町が見えて来た。


「あれがカロマナの町だね」


 でも今回はカロマナの町を越えて更に街道を進む。

 すると街道沿いに小さな焚火の灯りが見えて来た。


「あったあった」


 私はその灯りの上空までくると、真上から降り立った。


「ふぁ~、この時間の見張りはキツイぜ」


「しょうがないだろ、勝負に負けたんだからよ」


 どうやら見張りの二人は何かの勝負に負けて見張りをすることになったらしい。


「じゃあ私が変わってあげるから二人は寝たら?」


「お、いいのか?」


「悪いな……って、え?」


 私の申し出に振り向いた二人は、見知らぬ娘がいる事に目を丸くする。


「白い女……?」


「サイレンス」


 私は周囲の音を消すイメージと共に魔力を放つ。

 すると世界から音が消えた。


「うん、成功。先生に教わった通り、吸血鬼の魔法って何でも出来て凄いなぁ」


 正直便利過ぎると思う。

 そりゃお父様がめっちゃ恐れられる訳だわ。


「っ!?」


「~~~!?」


 見張り達は突然音が聞こえなくなったことでパニックに陥る。

 その隙に片方の見張りの首筋に噛み付いて血を吸う。


「カプッ」


 うーん、焼き肉味。

 でも前に吸った見張りの血の方が美味しかったな。

この辺りは個人の血の質が影響してるんだろう。


「っっ!!」


仲間が襲われた事で残った見張りが剣を抜いて攻撃してくる。

 でもウルちゃんズよりも遅い攻撃なんて避けるのは簡単。

 血を吸いながら攻撃を回避すると、私は襲ってきた見張りを地面に叩きつけて拘束する。

 そうして見張りの血を吸いつくすと、もう一人の首筋に噛み付く。


「ふぅ、それじゃ寝てる人達の血も貰おうかな」


こうして私は街道沿いの旅人達の血を吸ってお腹を膨らませてゆく。


「そろそろエネルギー補給は十分かな」


 血を吸って眷属にした旅人達はカロマナの町と砦を大きく迂回しながらフェネシアの町に向かうよう命じると、一足先に町へと戻って来る。


「よし、それじゃあ安全な場所で試してみよう」


 私は地面に座ると、目を閉じてイメージを作る。

眷属である吸血コウモリが産まれるイメージを。

タマゴを割って私に忠実なコウモリ達が産まれてくる光景を。


すると、沢山の血を吸って膨れていたお腹が引っ込む感覚を覚える。

同時に、コロンコロンと目の前に小さな卵がいくつも転がり落ちた。


「出来た!?」


眷属が産まれた!?

タマゴを見守っていると、コツコツという音が聞こえてくる。

 そして卵がグラグラと揺れ、音は大きくなる。

 そうして、卵の殻が割れると、中からコウモリ達が姿を現した。


「おおー! 生まれた!」


「「「「ごちゅじんちゃまー!」」」」


 喋った! ちゃんと吸血コウモリだ!

 こうして、私は自分の意志で眷属を産み出す事に成功したのだった。

 やったね、これで伝令役が増えるよ!

それに偵察にも使えるだろうからアドルネルも大喜びだ!


「お、お姉様に隠し子がーーーーーーーーーっっっ!?」


 何でそうなるのさ。

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、「楽しい!」などの感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びやる気が出ます。

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― 新着の感想 ―
相手が付かれるまで相手をさせるもよし →疲れる の間違いだと思われます
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