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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第3章 暗黒都市開発編

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第30話 淀んだ町と都市開発

 ブンッ、ブンッ!


ミイラ一号君が中庭で素振りをしている。

その手には前の戦いで折れた剣ではなく、豪奢な装飾の施された高そうな剣。


「……えいっ」


 私はそんなミイラ一号君に大きな庭石をぶん投げる。


「っ!」


 刹那、私の投げた岩は細かな賽の目状に切断された。

 ガンガンガンバチンバチンバチン。


「っっっ!!」


 ああうん、細かく切っても運動エネルギーは無くならないよね。

 無数の小石がミイラ一号君に降りかかって憐れ彼は小石の山に埋もれてしまった。


「でも凄い切れ味だね」


 ミイラ一号君が振るっていた剣は、王国戦勢騎士団のゴロウヴァが使っていた魔剣だ。

 あの戦いでゴロウヴァを倒した私は、戦利品としてミイラ一号君に与えたのである。


「アドルネルを守ってくれたしね。ご褒美って事で」


 実際魔剣の切れ味はすさまじく、ミイラ一号君の剣技がさらに増したようにすら思えた。


「だけど性能的には前に持ってたあの剣の方が凄そうなんだよね」


 今はお父様のものになったミイラ一号君の本当の剣。

 ゴロウヴァはこの剣をあれと同等かそれ以上と言っていたけど、どうにもそうは思えないんだよね。


「まぁ今はもう無いし、別にいっか」


 ミイラ一号君も新しい剣を手に入れてご満悦だしね。


「それにしても、あの時はハッタリが上手くいって良かったよ」


 私はカームウェル達を倒した後のことを思い出す。

 彼等を倒した後、私は自分達の今後の身の振り方を考えた。

 夜の闇に紛れて逃げるか、それとも戦いを続けるか。


 正直動物アンデッドとダンジョン内に潜ませていた騎士や町の住人のアンデッドの多くがカームウェル達によって焼き尽くされてしまったので、戦力が不安だったんだよね。

 幸い、私達から離れた場所に待機させていたアンデッド達は無事だったけど。


 で、逃げるとしてもアドルネルとミイラ一号君くらいなら一緒に逃げられるけど他のアンデッド達は見捨てざるを得ない。

 だってたくさんいたら隠密行動にならないからね。


 それももったいないと思った私は、賭けに出る事にした。

 あえて姿をさらす事で、相手に撤退を持ち掛けてみようと。

何しろこちらは相手の最強戦力を撃破したんだからね。交渉材料の一つにはなるかもしれない。


「それでダメなら空から攻撃を仕掛けて囮になっている間に逃がせるだけアンデッドを逃がせばいいや」


 結果は大成功、自分達の最強戦力が負けた事はこちらが思った以上にショックだったらしく、騎士達は我先にと逃げ出して私達は見事勝利を勝ち取ったのだった。


「毒蛇達による執拗な攻撃で精神が参っている状況で王国最強の戦力までも倒されたと知って、彼等の士気は最低まで落ち切ったのでしょうね」


 と、後で事の経緯を聞いたアドルネルはアレが原因で騎士達の心が折れたのだろうと語った。

 そんな訳でようやく私はこのフェネシアの町を制圧する事に成功したのである。


 ◆


「そーれ、皆働けー!」


 あれから数週間、私は新たにアンデッドを増やして領地の開発にいそしんでいた。


不眠不休で働けるアンデッド達の特性を活かし、町を覆うように何重にも土壁を作ったり、逆にその際に出来た穴をつなげて堀を作ったりして軍隊の侵入を拒む地形を構築していたのだ。


「自然の地形もまた陣地構築の一環ですから」


 この地形構築の良いところは、外から人を受け入れる必要のない環境だからという部分が大きかった。

 人間達の町なら旅人が町に来てお金や物資を落としていくけれど、ここはアンデッドの町、アドルネルの生活物資以外は何も必要ないからね。


 更に改めてアンデッド達が日中暮らす為の地下空間や地下通路を作り、籠城や脱出も出来るようにする。


「地下通路の出口は侵入者対策にあえて埋めてあります。脱出時には事前にアンデッド達に命じて全力で脱出路を掘らせタイミングを合わせて開通して脱出します」


 あー、確かに普段から出口が外と繋がってたら、見つかったときに侵入され放題でマズいもんね。

 こうしてフェネシアの町は巨大な防衛都市として生まれ変わりつつあった。


 さて、それ以外に起きた事として、一つ大きな変化があった。

 私が領地にしたフェネシアの町とその周辺に奇妙な靄が発生するようになったのだ。

 そしてその靄の中にいた死体達が起き上がり、何もしていないのにアンデッドとなって活動を始めたのである。


「何もしてないのに死体がアンデッドになった!」


「お姉様、それは何かした人間の発言ですよ」


 正直驚いた。だって私が眷属を増やすには自分で相手の血を吸うか、私が血を吸った眷属に血を吸われなければアンデッド化しない筈だったからだ。


「これは瘴気ですね」


「瘴気?」


 書庫から持ってきた本を片手にアドルネルが語る。


「はい、高位のアンデッドなどの不浄な存在に支配された土地に生まれる邪悪な空気の事です。この瘴気が充満する土地で死んだ者はアンデッドとなって復活し生者を襲うようになるそうです」


 つまり、私の戦力増強で最大のネックだった、殺したらアンデッドに出来ないと言う問題が解決したって事か。


「有名なのは呪海大公の領地である大呪海の森だそうです」


 言われてみれば、お父様の森はいつもどんよりしていた気がする。


「なるほど、つまりこれが領地を得るって事なんだね」


 こうして戦力増強に関して問題は解決したんだけど、ここで問題というか注意点が生まれた。

 というのも……


「アンデッドの性能が違う?」


「はい、お姉様が直々に眷属にしたアンデッドとそれ以外のアンデッドは明らかに性能が違います。具体的には、身体能力以外に判断力も違うようです」


「判断力って?」


「命令を受けた際に、言われた事を愚直におこなってイレギュラーが起きた際に対応できず無意味な行動を続けるものと、自分で解決策を考えて命令を完遂する者に別れました」


 なるほど、それは確かに性能が違うわ。


「便宜的にお姉様の直接の眷属は上位アンデッド、眷属に襲われて増えたアンデッドと自然発生したアンデッドは下位アンデッドと呼称を分ける事にしたいと思います」


 うん、区別がつかないといざという時困りそうだしね。


「でも性能の違いなんてあるんだね」


「私もこんな違いがあるなんて初めて知りました。本には書いてなかったので」


 こういう違い、お父様は知っていたのかな?

 意外と先生に習ってない事が多いなぁ。それともこの程度は自分で学べってことなんだろうか。


「自分の力についても分かってない事が多いし、もっといろんな事を学ばないとだなぁ」


 どうやらやらなきゃいけない事は山盛りみたいだね。


「キュルル……」


 うう、不安要素が山盛りでお腹が痛くなってきたよ。

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、「楽しい!」などの感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びやる気が出ます。

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