表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第2章 領地タワーディフェンス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/61

第27話 魔剣対剣、魔法対魔法

 アドルネルの絶体絶命の危機を救ったのはミイラ一号君だった。


「なんだぁこのグールは? 剣なんざもって一端の剣士気取りかよ?」


 そんな事を言いつつ、男の視線はミイラ一号君の剣に釘付けだ。

 明らかに警戒しているのが見て取れる。


「だがっ! 人質が居ることを忘れてんじゃねぇよ!」


 再び男がアドルネルに剣を突き刺そうとする。


「っ!」


 しかしミイラ一号君の放った剣が男の剣の軌跡をずらしアドルネルには当たらない。

 けれどミイラ一号君の剣が大きく欠けてしまう。


「ちっ! うっとうしいんだよ! だが俺の剣は魔剣だ! そんじょそこらの剣じゃ相手にもならねぇぜ!」


 魔剣! ミイラ一号くんが持っていたあの剣みたいなやつか!


「おら! 女もろとも真っ二つにしてやるぜ!」


 男は猛烈な速度でアドルネルへ刃を突き立てようとするが、またしてもミイラ一号君に防がれる。

 剣が更に欠ける。

 けれど男はそれで終わることなく何度もアドルネルを狙い続けた。


「やるなぁ。だがその剣でどこまで耐えられる!」


 男は執拗にアドルネルを狙いミイラ一号君はなおも退け続ける。


「コ、コイツ!?」


「し、信じられん! ゴロウヴァの剣を凌いでいるだと!? それもただの剣で魔剣の猛攻を!?」


「こ、こいつ、この速度で俺の剣の軌道を逸らしているのか!? 最小限の負担で!?」


「一体あのグールは何者なのだ!?」


 ミイラ一号君の剣技にカームウェル達が驚きの声をあげる。

 いや正直私も驚いてる。国の秘密兵器と呼ばれた騎士団の攻撃をミイラ一号君は難なく捌き続けているのだから。

 いやホント何者なんだろミイラ一号君。

 以前出会った冒険者の話だと剣……


「チラッ」


 と、そんな戦いの中でミイラ一号君がチラリと私を見た気がした。


「チラチラッ」


 あっ、気のせいじゃない。


「クイックィッ」


 なんか合図もされてる。

 あっ、そっか。今がチャンスなんだ。


 ただ私の方も今は動けない。カームウェル達の牽制に回らないといけないからだ。

 でも急がないとミイラ一号君の剣が保たない。


だから私はアンデッド達に無言で指示を送る。

 アンデッド達の意志を感じ取れるようになったからか、私は言葉を発せずとも彼等に命令を下せるようになっていた。

 指示を受けたアンデッド達が、ゴロウヴァと呼ばれていた男の背後からそっと近づく。


「ゴロウヴァ後ろだ!」


「っ!」


 すぐさまゴロウヴァがアンデッド達を切り捨てるけれど、そこにミイラ一号君が飛び込む。


「このっ!」


 ギリギリでミイラ一号君の剣を受け取めたゴロウヴァだったけれど、そこに隙が生まれアンデッド達にアドルネルを奪い返されてしまう。


「くそっ!」


 しかし代償は大きかった。

 ミイラ一号君剣は最後の切り合いで遂に音を立てて砕かれ、彼の動きが目に見えて落ちる。


「お姉様!」


「アドルネル!」


 私は駆け寄って来たアドルネルを抱きしめると、彼女に怪我が無いか核にする。


「良かった。怪我はないみたい。ありがと、ミイラ一号君!」


「ありがとうございます」


 私達から感謝の言葉を受けたミイラ一号君は、大したことじゃないと軽く手を振ると再びゴロウヴァに半ばから折れた剣を向ける。

 悪いけどアイツはミイラ一号君に任せよう。念のためアンデッド達に援護するように指示を出しておく。


 問題はカームウェル達だ。コイツ等の実力は全然分からない。

 でも国の秘密兵器になるくらいだからきっとすごく強いのは間違いない。

 うん、やっぱり隙を見て逃げる方向で行こう。


 残ったアンデッド達を連中にけしかけて、その隙に逃げよう。


「行くよアドルネル!」


「え? あ、はい!」


 私はアンデッド達をカームウェル達に殺到させると同時に、アドルネルを連れて複数ある通路に向かう。


「逃さんよ!」


 後ろから聞こえた声に危険を感じ、アドルネルを抱えて真横に跳ぶ。

 直後、地下にあり得ない風を感じると共に、アンデッド達が全身をぐちゃぐちゃに切り裂かれながら私達の居た場所を通り過ぎ、壁に叩きつけられた。


「魔法!? しかもかなり強力な風の魔法!」


壁に叩きつけられたアンデッド達はまるでミンチにあったかのような悲惨な有り様になっていた。


「攻撃を続けろ!」


 私達目掛けて次々に魔法が放たれる。

 うわわ、ヤバいヤバいヤバい!


「キャァァァァ!」


 しかもこっちにはアドルネルが居る。この子を守らないと!


「っ! 娘の方だ! あの吸血鬼は娘を守っている! 娘の方を狙え! 威力よりも魔法の展開速度を優先しろ!」


「なっ!?」


 コイツ等マジか!? アドルネルは本当にただの人間なんだぞ!

 私はアドルネルに攻撃が当たらない様に大きく攻撃を回避する。


ガクン!


「なっ!?」


 突然足が重くなり、一体何がと足元を見れば、私の足に黒い靄が絡みついていた。


「何これ!?」


「速度を落とす妨害魔法ですお姉様!」


「そんな魔法もあるの!?」


 魔法って攻撃魔法と回復魔法だけじゃなかったんだ。

 くっ、これは厄介だよ。アドルネルに万が一の事が無いように余裕をもって避けたいのに。

 この子は一発当たったら終わりになっちゃうかもしれないんだぞ!


「くっ!」


 私はアドルネルを覆い隠すように彼女を抱きしめる。


「お姉様何を!?」


「大丈夫、威力が低いから大したことないよ」


 実際、速度重視と言っていただけあってあまりダメージはない。

 カームウェルの言葉を信じて一か八か試した甲斐があったよ。

 吸血鬼の頑丈さ様々だ。

 この頑丈さを活かしてさっさと逃げよう。


 けれど事はそう甘くはなかった。

 猛烈な熱気が私の背後からしてきたからだ。

 振り返れば、そこにはギラギラと太陽みたいに光るオレンジ色の矢が生まれていた。


「何あれ」


 物凄い熱さと魔力を感じる。


「限界まで魔力を込めてた炎の矢、それを魔杖によって更に威力を増幅したものです。日に弱いアンデッドがこれを打ち込まれれば、たとえ吸血鬼と言えどタダでは済みませんよ!」


 しまった、弱い攻撃はブラフか!

 あの一撃を準備する為のカモフラージュだったんだ。


「メルティングアロー!」


 矢が放たれた。

 私はアドルネルを抱いたまま全力で通路に飛び込む。


「無駄です! その矢はどこまでも貴方を追う追尾魔法! 我々がただの魔法の矢を放つとは思わないでいただきたい!」


 駄目だ、通路を飛び跳ねて位置を変えても魔法使いの言った通りこっち目掛けて軌道修正してくる。


「なら!」


「お姉様!?」


 私はアドルネルを通路の端にそっと転がすと、彼女と反対側の壁に跳ぶ。

 すると炎の矢は私に軌道を変えてきた。


「よし!」


 やっぱり私を狙ってきた!


「ならこっちも魔法で!」


 私は眼前に迫った魔法の前に手をかざすと、氷の矢を放つ。

 吸血鬼は生きた魔法、だから魔法を使うのに呪文なんていらない! こうなれって思うだけで発動する! だから!


「氷の矢出ろ!」


 私は炎に対して氷の矢を生み出すと、それを炎の矢目掛けて放つ。

 炎を氷で相殺する! 軌道はばっちり!


 スルンッ。


「え?」


 なんという事だろう、炎の矢は氷の矢が当たる直前、するりと私の矢を回避したのだ。


「って、ええーっ!?」


 しまった、向こうは矢が動くんだった。

 ヤバイヤバイ! 避ける矢なんて反則だよ。


「こうなったら!」


こんどはおなじみの吹雪を通路内にイメージする。

 けれど吹雪は威力が拡散されるのか、炎の矢に近づくことも出来ず溶けてゆく。


「もっと狭く!」


 後ろに飛び退きながら吹雪を凝縮し、小さく小さく、炎の矢の周りだけに集中してゆく。

 溶けた吹雪が炎の矢に触れて一瞬で蒸発する。

 けれど私は吹雪を小さくしながら作り続ける。

 魔力はそのまま、いやもっと込めて。

 すると炎の矢が溶けた水を蒸発させるスピードが間に合わずお湯に包まれてゆくことになる。

 超限定的な吹雪を全体に浴び続ける炎の矢。

 そうなると炎の矢はどんどん追加される吹雪でお湯の温度を下げされ、ついには蒸発できなくなって消えたのだった。


「はぁー、成功」


 危なかったー。なんとかうまくいったよ。


「よし、アドルネルを回収してさっさと逃げよう」


 あれだけの魔法を使ったんだから、相手も魔力切れでしょ。

 と思った視線に先に、いくつものオレンジ色の光が灯る。


「え?」


 吸血鬼の視力がその光景をはっきり確認する。

 そこには、青白い光を放つ杖を掲げたカームウェル達。

 その前には何本ものオレンジの炎の矢。

 そしてその足元には、何本もの小瓶。


「もしかして魔力回復ポーション!?」


 ゲームでよくある奴だ! ズルい!


「あれを耐えたのは流石だ。しかし、この数は耐えられるかな?」


 極細に凝縮された太陽の輝きが、私に向けて放たれたのだった。

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、「楽しい!」などの感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びやる気が出ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ