表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第2章 領地タワーディフェンス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/61

第25話 他愛なき刺客

 夜、双方の兵が互いの陣に下がりつかの間の休息をとる。

 この時間でも活動している者達はいるけれど、大半の兵は傷と疲れを癒す為に陣に籠っていた。


「痛っ!」


 そんな中、一人の兵が痛みを訴える。


「どうした?」


「いや、急に手が痛んでな」


「なんだ、怪我でもしてたのか? 明日の戦いに影響が出る前に治療兵に治して貰ったらどうだ?」


「バカいえ、こんなかすり傷で行ったら尻蹴飛ばされて追い返されるってーの」


「はは、ちがいねぇ!」


 けれど彼は異変を感じた時に治療して貰いに行くべきだった。


「うっうう……」


 ドサッという音と共に先ほどの兵士が倒れる。


「おい、どうした!?」


 異変はその兵だけじゃなかった。

 他の兵達も次々にふらついたり倒れたりし始めたのだ。


「おい! 誰か! 誰か治療兵を連れてきてくれ!」


 突然の異常事態に治療兵がやって来る。


「症状は? 急に苦しみだして倒れたんだ」


「それだけじゃ分からん。何か症状について聞いてないのか?」


「ええと、めまいがするとか、胸が苦しいとか、寒気がするとかだな」


「病気か? だがこれだけの人間が一斉に発症するとは思えんし、他に何か言ってなかったか?」

 治療兵に問われた兵士が首をひねって唸る。


「そうだ、手を怪我したとか言ってたな」


「手?」


 怪訝そうな声をあげつつも、他に役に立ちそうな情報が無い為治療兵は倒れた兵の手を見る。


「これは……細く小さい傷痕か。これは切り傷や擦り傷じゃないな。と言う事は噛み傷か」


「噛み傷ってまさか吸血鬼か!? 今回の騒動ってアンデッドが原因なんだろ?」


「吸血鬼の噛み痕ならもっと大きくなる。これはおそらく蛇だな」


「じゃあ毒か!」


「ああ。穢れたる流れを清浄たるものに戻せ、キュアヒール!」


 治療兵が魔法を唱えると、苦しんでいた兵が穏やかな呼吸になる。


「よし、効果がある! 蛇毒だ! 解毒魔法が利くぞ! 解毒ポーションを用意しろ!」


 原因が分かるとすぐさま治療兵達は解毒ポーションを使って倒れた兵達を治療していった。


「それにしてもこれだけの兵がやられるとは、この辺りは毒蛇が多いのか?」


「そんな話は聞いた事ないんだがなぁ」


 こうして、問題は解決したと思われたのだが……


「ぐぅっ!」


「がっ!」


 夜の闇の中ではどれだけ気を付けていても忍び寄る毒蛇を防ぐ事は出来ず、更に蛇の牙を通さない頑丈な金属鎧を着た騎士であっても、頑丈故に肌の感覚が鈍ってしまい、鎧を伝って登って来る蛇に気付かず首筋を噛まれてしまう。


「解毒をしてくれ!」


「早く!」


 毒蛇に噛まれた兵達が治療兵に殺到する。

 中には毒蛇ではなくとがった石や折れた枝が引っかかっただけの者もいたが、これだけの数の人間が蛇の毒でやられるという異常事態になっていた為、冷静さを失っていた。


「これ以上は明日の治療に差し障る! 解毒魔法は使うな! 解毒ポーションを使え!」


 結果、治療兵達は魔力を無駄に消耗し、物資にあった解毒ポーションも大幅に数を減らしたのだった。


「もうそろそろ夜明けだし、蛇達を帰還させるよ」


「はい、お疲れ様です」


私は蛇達に合図を出し、帰還を命じる。

そう、兵達を襲っていた毒蛇は私の眷属なのです。


「まさか毒蛇がこんなに役に立つなんてね」


「細く小さくどこにでも潜り込める蛇は夜の暗殺者に最適ですから」


 アドルネルに人間以外の兵を集めて欲しいと言われた私は、最優先で蛇を眷属にする事になった。

 その理由はこれである。

 夜の暗闇に潜んで人間達を襲い、毒で命を脅かす事で治療兵の魔力と治療物資を無駄に消耗させようと言う作戦だったのである。


「これを続ければ解毒ポーションが足りなくなる為、近隣の町に物資の補給に行く兵を出すでしょう。お姉様にはそれを襲ってもらい、物資が届かない様にしてもらいます」


 昼間に出発されても空を飛んでいけば夜明け前に追いつけるからね。


「はい。解毒ポーションが無くなれば解毒魔法に頼るしかありませんが、魔法を使い過ぎれば治癒魔法を使う為に魔力を確保できません。最終的には毒か傷を受けた味方を見捨てるしかありません」


 うーん、めっちゃえげつない作戦。

 でも滅茶苦茶有効なんだよね。

 見た目は本当にただの蛇だから、裏でアンデッドが動いているとは思われないのは本当に便利だ。


「でもアンデッドが戦場に出ないとレキサランとカロマナがアンデッドを従えているんじゃないのかって疑われない?」


「アンデッドが戦場に現れてどちらかの勢力に味方したら、味方されなかった方の領主の言い分が正しかったことになってしまいますから。そうなったら全ての貴族と兵達からアンデッドに味方された貴族が襲われます。そうなると共倒れを狙って兵力を削る作戦に支障が出てしまいます」


 そっか、私達としてはなるべく戦いを長引かせたいんだもんね。

 その為にもレキサランとカロマナには力を隠していると思わせた方がいいわけだ。


「そう言う意味でも蛇達にはもう少し頑張ってもらいましょう」


 翌日の夜、両軍の陣営には変化が起きていた。


「なんか壁が出来てる」


 双方の軍の陣地は、土で出来た壁によって囲まれていた。


「魔法で作ったのかな?」


壁は上に行くにつれて反り返っていて、あの壁を登っても途中で体を支えきれなくなって落ちてしまう構造になっていた。


「成る程、あれで蛇の侵入を防ぐって寸法か」


 一晩で考えたなぁ。


「でも、それじゃあ地面からやって来る蛇は防げないんだよなぁ」


 壁の内側から蛇に噛まれた人間達の悲鳴があがる。


「馬鹿な! 何故蛇除けが効かない!?」


 うん、ゴメンね。もうその対策はアドルネルが予想済みだったんだ。

 敵が何らかの方法で蛇が近づけなくなった時の為に、陣地が敷かれるであろう場所に蛇が通るための地下通路をあらかじめ作っておいたんだ。

 ちなみに作ってくれたのはモグラアンデッドです。

 モグラってね、土を掘り進めやすいようにか、毛がすっごくサラサラフサフサでとっても触り心地が良いんだよね。

 生まれて初めてモグラを触った時は感動しちゃったよ。

 あと地上を歩く姿がユーモラスで可愛いの。


 おっと、いけない脱線した。

 そんな訳で身を護る為にせっかく作った壁も逆に自分達を閉じ込める檻になってしまったのだった。


 ◆


「ええい、いつになったら解毒ポーションは届くのだ!」


 戦場で毒蛇が猛威を振るい出してから数日、そろそろ帰ってこないとおかしいにも関わらず、物資の補給に向かった部隊は戻ってこなかった。


「もしかしたら待ち伏せをしていた敵にやられたのかもしれません」


「毒蛇の事を知っていて罠にかけたという事か! なら何故レキサランの領主はこの辺りが毒蛇の巣窟だと我々に伝えなかったのだ!」


 そら私達がでっち上げたものだからね。レキサランの領主も初耳だったでしょうよ。

 ちなみにそれはカロマナ側も一緒。向こうも毒蛇に襲われてヒーヒー言ってます。


「やむを得ん。戦闘能力の高い部隊を補給に向かわせろ」


「戦力が低下しますね」


「毒で治療に支障が出るよりはマシだ。それに向こうも補給部隊を襲撃するために能力の高い部隊を配置するような真似はせんだろう。確実に物資の補給をする事が最優先だ」


 と、指揮官は確実性の高い作戦を遂行したんだけど、残念ながらその部隊も戻って来る事は無かった。

 戦闘能力に優れ速度にも優れた騎馬部隊は、あらかじめ配置しておいたウルちゃんズの襲撃によって全滅したのである。


「うわぁぁぁ! 何だコイツ等!? 何でこんな所にこれ程の魔物が居るんだ!?」


「魔物だけじゃない、獣まで居るぞ!? どういう群れなんだ!!」


 ウルちゃんズは同胞であるサウザンドウルフや多種の魔物のアンデッドだけではなく、野犬や狼、それに狐やタヌキ、なんなら熊などもアンデッドにして戦力を増やしていたのである。


「戦争は数ってホントだよね」


 ここまで言えばお気づきかもしれないけど、蛇やモグラをアンデッドにするのを手伝ってくれたのはウルちゃんズです。

 彼等が群れの力で獲物を追い詰め、逃げ場が無くなった所で私が噛み付いてアンデッドにして行ったのです。

 勿論ウルちゃんズに襲われてアンデッドになった動物も多いので、この辺りの魔物や動物の大半がアンデッドになってるんじゃないかな。


 勿論強い魔物はそう簡単にアンデッドに出来ないから弱い生き物ばかりだけど、それでも数にあかせて襲えば損害は大きかったけど、それなりに強い魔物もアンデッドに出来た。


「そして腕利きの騎士のアンデッドも頂きまーす」


 さーて、そろそろ戦いを次の段階に進める頃合いかな。

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、「楽しい!」などの感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びやる気が出ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ