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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第2章 領地タワーディフェンス編

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第20話 欲望のぶつかり合い

「我々はレキサランの町の騎士団である!  フェネシアの町から救援要請を受けて来た。貴公らは即刻立ち去るが良い!」


 後から来た騎士団はそんな事を言いだし、先に来て調査をしていた冒険者達と騎士団を追い出そうとしだした。


「うーん、なんか凄いことになってきたなぁ」


その光景を私達は岩の隙間からこっそり覗いていた。

はい、町の中からではなく、町の外、町を監視していた冒険者を更に外から監視していたのです。

というのもアドルネルの一言が理由だった。


「町を襲った事が知られて危険なら、逆に町を囮にして後ろから襲撃すればよいのでは?」


まさに目から鱗。

身を守る為の場所、奪われないように防衛する為の場所を捨てて囮にしようと言い出したのだ。

いわゆる空城の計って奴だね。違うか?


「お姉様は人間と違って遥かに強いですし、アンデッド達も個々では弱いですが圧倒的な数で圧殺できます。なら、わざわざ居場所を教えるよりも相手を油断させたところで不意を撃てば一発だと思います。それを繰り返してアンデッド達の数を増やせば、おいそれとは手出しはできなくなるかと」


 おお、凄いよこの子。なんか凄く軍師みたいな作戦を提案してくれた。


「次期領主として色々詰め込まれましたので。自分が指揮する事はなくとも過去の戦いの事は覚えておきなさいと5歳の時に……」


 え? 待って、五歳で過去にどんな戦いがあったかとか覚えたの? 凄すぎないこの子?

 そして同時に思い出すあの子供。アドルネルの弟は6歳くらいだったと思うけど、あの口ぶりだとそんな難しい勉強をしていたとは思えないんだよなぁ。

 もしかして待望の、『瞳の色が普通な』跡継ぎが生まれたからって喜びすぎて甘やかしまくったのか?

 そりゃああんなわがままで空気の読めない性格にもなるよね。


 ともあれ私はアドルネルのアドバイスの通りにアンデッド達を町から避難させる事にした。


「避難場所は近くの森などはどうでしょう。木々がうっそうとした場所なら日の光から隠れる事の出来る場所もあると思います」


「うーん、いや、それは止めておこう。相手も考える事は同じだろうから」


 私はアンデッドを森に隠す事を止め、代わりに町を遠目から監視できる位置に大きな穴をあけて、そこにアンデッド達を隠すことにした。

ただしただ隠すだけじゃない。監視の意味も込めてだ。


 アンデッド達を穴に入れたら太陽光を遮る為に近くの岩場を破壊して持ってきた大きな岩を穴の屋根代わりに乗せる。

これで日差しから隠れる事が出来るし、隙間から町を見張る事も出来る。

アンデッドはとっくに死んでいるから、姿勢の悪さから来る腰の痛みや身動きできない辛さも気にしなくていいからね。


「そのせいで狭くなっちゃったけど、アドルネルは大丈夫?」


一応私達の隠れる穴は深くて広いものにしたけど、それでもワンルームサイズだから手狭には違いない。


「はい、寧ろ狭いお陰でお姉様と合法的に密着できて最高です」


 うん、まぁ文句が無いならいいや。

 などという事があり、私達はやって来た冒険者達を監視していた訳だ。


 そして彼等が何の成果も得られなかった事に落ち込んで撤収しようとしたところで、彼等と縁のあるらしい騎士団がやってきたんだけど、まさか更にもう一つ別の騎士団が来るとは思わなかった。


「レキサランの町ってどこ?」


「どちらも隣の領地の町ですね。ただ二つの領地は仲が悪く、昔から何かある度にウチが仲介していたそうです」


「つまり仲介役を助ける為に来てくれたと?」


 しかしアドルネルは首を横に振る。


「いえ、どちらの領主も強欲な人物だったそうですから、救援の名目でお父……領主の弱みを握ろうとしているのかと」


 あー、なるほどね。仲介役の弱みを握れたのなら、気に入らないライバル相手に圧倒的優位に立てるもんね。


「あわよくば恩を盾にウチの領地を削って自分のものしたいと思っているんでしょう」


「え!? そんなことしちゃうの!? 仲介役なんでしょ!?」


 そんなことしたら仲介役と仲が悪くなっちゃうじゃん! 仲介して貰えなくなるよ!?


「寧ろウチが無くなればお互いに戦争を仕掛ける事が容易になりますから」


 あー、相手とやり合うにはむしろ邪魔って事かぁ。なるほどねぇ。

 私達が話し合っている間にも彼等の会話は続いており、どっちが先に来た、救援は自分達が行うから出て行けとお互いに譲らない。


 空気はどんどん険悪になっていき、今にも剣を抜いて殺し合いが始まりそうな空気になっていく。


「これは労せずして敵を減らせる?」


「いえ、流石にそこまで短絡的ではないと思います。精々嫌味を言い合って相手の調査の妨害をするくらいでしょうね」


 それはそれで時間を稼げそうだなぁ。


「待ってください。そろそろ日が落ちます。街中にアンデッドが潜んでいるならいつ襲ってきてもおかしくはありません。一旦安全な場所まで引いて翌朝調査を再開しましょう」


 と、あきれた様子で言い争いを見守っていた冒険者が口出しをする。

 彼等は町にアンデッドが居ない事を確認していたにも関わらず、この場を収める為にわざとアンデッドが襲ってくるかもしれないと警告した。


 そして平民ごときが貴族に口出しするなと怒られるんじゃないかと思ったんだけど、意外にも彼等はあっさり同意した。


「確かにな。夜にアンデッドの群れと戦うほど愚かなことはない。我々はあらかじめ準備しておいた拠点に戻って明日に備えるとしよう」


「ふん、貴公らの領地では騎士よりも平民の方が知恵が回ると見える。我々もアンデッド対策を施した拠点に戻ることにしよう」


 お互いに俺達は野営の準備してるけどお前等は? とマウントを取り合いながら彼等は去って行った。

 うーん、争わないと生きていけない生き物なのかな?

 そんな彼等の背中を見て溜息を吐く冒険者達。

 そして彼等のリーダーらしき冒険者は反対方向に去って行った騎士団に振り向くと人間には聞こえない声で小さく呟いた。


「連中、俺達が調査しているのを見て確認したうえで拠点の設置を優先してやがったのか」


 どうやら向こうの騎士団は冒険者達に危険な調査を任せて、自分達は安全な拠点作りに専念していたらしい。


 ともあれこれで町の近くから人目が無くなったね。

 でも、ここを見張ってる人は別にいるだろうね。

 アンデッドが居ないと分かっても警戒しない理由は無いし。


「んじゃ、私達も動こうか」


 二つの騎士団がきたことで私はある作戦を実行に移すことにした。


「名付けて敵の敵は味方作戦!」

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、「楽しい!」などの感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びやる気が出ます。

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