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転生コウモリちゃんは吸血姫になりました~領地を広げて死者(私)の楽園を作りますね!~  作者: 十一屋 翠
第2章 領地タワーディフェンス編

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第19話 無人の町、姿なき死者達

「人間に見られた人挙手~」


「「「バババッ」」」


 町の門を開けっぱなしにしていた事をすっかり忘れていた私はアンデッド達に日中人間に目撃されたか確認をとる。

 すると数体のアンデッドが手を挙げた。

 彼等は日が昇ると共に家の中の暗い場所に隠れていたんだけど、やって来た旅人が町に人が居ないことを不審に思って近くの家を見て回り運悪く彼らが隠れている場所を見られてしまったのだという。


 更にマズい事に、アンデッド達は人間が近づいた事で彼等を本能的に襲おうとしたらしいんだけど、人間達は日の光の中に逃げ込んでしまい追いかける事が出来なかったのだという。


「あっちゃー、完全に人間達にバレちゃったよ」


 しまった、町を占拠した時に門を閉めるように指示しておけば、朝になっても門が開かないことを不審に思われてもごまかしようがあったのに。


「「「ショボーン」」」


 アンデッド達から申し訳なさそうな感情が伝わってくる。

 まぁ不可抗力だからしょうがないよ。

 正直言えば、寝る前にちゃんと門を閉めておくように指示し忘れた私のミスなんだし。


「でもヤバいなぁ。間違いなく逃げた旅人達の通報を受けて他の町から討伐隊が来るよね」


 ワンチャン最初は情報の真偽を確認する為の偵察隊程度かもしれないけど、それを全滅させたら今度こそ討伐隊が来てしまう。


「しかも討伐に来るなら間違いなく昼間に来るよね。こっちが抵抗できないタイミングで攻めて来られたら戦力激減だよ! それどころか町の被害を無視して建物ごと攻撃されたら日光から身を守る方法すらなく焼け死んじゃうよ」


 うわぁぁぁぁ! このままじゃせっかく町を制圧したのになす術もなくやられちゃうよ!


「うう、大呪海と違って広く迷いやすい森もないし、魔物が天然の護衛になってくれることも無い。何で人間はこんな何もないところに住めるの!?」


「あの、お姉様、寧ろ何もいないから私達は安全に暮らせるんですけど」


 あ、うん。そうだね。人間はそうだよね。

 私もすっかり魔物の感覚が染みついちゃってたわ。


「とにかく、このままだと最悪寝ている間に襲われちゃうよ!」


棺桶でグーグー寝ている間に心臓に杭を打ち込まれて退治されるなんて間抜けにもほどがある!


「うーん、何かいい作戦はないものか……」


 ダンジョンみたいなでっかい地下施設でもあればなぁ。

 この世界、ファンタジーな世界だけあってゲームみたいなダンジョンがそこら中にあるって話だし。

 あー、そういうところを領地にした方がよかったかも。


「あの、お姉様」


 とアドルネルがおずおずと手を上げる。


「何? アドルネル」


「ええと、ですね。そもそも町にこだわらなくてもよろしいのでは?」


「……え?」


 そりゃどういう意味で?


 ◆救援部隊の冒険者達◆



「ようやく到着したな」


 夜中に冒険者ギルドから強制招集を受けた俺達は、ギルド長直々の説明を聞いて仰天した。

 なにしろフェネシアの町が無数のアンデッドの群れに襲われたっていうんだからな。

 俺達は夜中に町を出発させられた。

 幸い他の冒険者達も一緒に出発した為、野盗や魔物の襲撃を恐れずに済んだのは幸いか。


 そして2日目の昼、何やら慌てるように走る馬車が俺達の向かう方角からやってきた。


「フェネシアの町はアンデッドに襲われたんじゃないのか?」


 俺達は情報を得る為、馬車に止まるよう指示を出す。

 馬車を走らせていた商人は俺達を昼間から襲ってきた野盗かと疑ったが、こちらが冒険者ギルドの指示で動いている冒険者だと説明するとようやく安心してくれ会話に応じてくれた。

 そしてフェネシアの町について尋ねると、驚くべき答えが返ってきた。


「あの町はヤバイ! 町の中がアンデッドの巣窟になってるんだ!」


「本当か!?」


「ああ、町の入り口は門番も居ないのに開けっ放しになっていた。不審に思いながら町に入ったら人っ子一人いやしない。しかもそこかしこに血の跡があって気味が悪いったらなかった。盗賊に襲われたにしろ魔物に襲われたにしろ死体が無いのは不自然だろ」


 確かにそうだ。金目当ての野盗が派手に町を襲ったのならわざわざ手間をかけて死体を隠すとは思えないし、魔物ならその場で獲物を喰らうだろうからな。


「あんまりにも不気味でもう宿に泊まるのは止めて町を出ようと思ったんだが、そん時ガタンという音が聞こえてよ。誰かいるのかと思って近くの家に入ってみたんだ。もし誰かが住んでたんなら謝ればいいと思って。そしたら家の奥の暗い場所に血まみれの親子がボーっとした顔で突っ立ってたんだよ。あまりにも気味が悪くて悲鳴を上げちまったよ」


 確かに、そんな異様な光景を見せられたら悲鳴を上げたくなるのも仕方ない。


「そしたらその家族一斉にこっちを見てよ、アーアー言いながらこっちに向かってきたんだ。コイツ等どう考えても普通じゃねぇって思って慌てて逃げだしたよ。それが良かったんだな。連中俺が外に逃げ出したら、家の中の暗がりで止まってそれ以上おっかけてこなかったんだ。それでああ、あれがアンデッドかって気付いて心底驚いたよ」


「そりゃあ大変だったな」


 普通に生きている分にはアンデッドに遭遇する機会なんてそうないからな。

 そういうのに慣れてるのは俺達冒険者くらいだ。


 ともあれ町に着く前に多少なりとも情報が手に入ったのはありがたかった。

 同じ救援部隊として同行していたパーティの一つがアンデッドの情報は本当だったことを報告する為に戻る事になり、俺達はこのまま町へ向かうことになった。


 ◆


「よし、昼間のうちに生き残りを探すぞ」


「「「「おおっ!!」」」」


危険なアンデッドも昼間は活動しない。

だから俺達は町から離れた場所で一夜を明かし、朝日が昇ると共に町の捜索を開始した。


「おーい! 誰かいないか―!」


 声を上げて生き残りを探す。

 アンデッドが潜んでいるとしても日中なら外に出てこないから大声を上げても大丈夫だ。

 だがどれだけ声を張り上げて町の中を歩き回っても、生き残りが姿を現す気配はなかった。


「本当に死体が無いな。そこら中に戦闘の跡があるから、戦いがあったのは間違いないんだが」


 町の中は酷い有様だった。そこかしこが血にまみれていたからだ。

 なのに死体はどこにもないという不気味さ。まるでこの町に全ての人間が食われてしまったのではと錯覚してしまう。

 そうしてなんの成果も得られないまま、俺達は他のパーティと情報を交換する為に町の入り口に戻る事になった。


「おーい、そっちはどうだった?」


「駄目だ。誰も居ない」


「こっちもだ。領主の館に行ってみたが門番の姿も無し。屋敷の外から声を掛けてみたが、返事はなかった。流石に中に入るのは危険だからやめておいたがな」


「それが正解だ。まだ何が起きたのかもわからんからな」


 もしアンデッドが潜んでいるとしたら、町で一番大きく手頑丈な領主の館の中が一番ヤバいだろう。


「俺達は教会を調べてみたが酷いもんだった」


「そんなに激しい戦いだったのか?」


 教会はアンデッドの専門家だからな。住民はそこに逃げ込み、神聖魔法を使える神官達が必死で撃退していたのかもしれん。


「激しいなんてもんじゃない。完全に瓦礫の山になってたぜ」


「瓦礫の山!? どういう事だ? この町を襲ったのはアンデッドなんだろ?」


 教会が瓦礫の山だと!? 相手はアンデッドだろ? 巨体の魔物のオーガが群れで襲ってきたってんなら分かるが、ゾンビやグールにそんな馬鹿力はないはずだ。


「俺達に聞くなよ。こっちも分かんねぇんだ。分かったのはこの町の教会が粉々に壊されて、瓦礫の山になってるって事だ。生き残りは居なかった。がれきの下には生き残りだった人間がいるかもしれないがね」


「粉々って、一体この町で何が起きたんだ?」


 訳が分からん。アンデッド以外の魔物も居たって事か?


「俺達からも報告だ。町の周囲を調べてみたんだが無数の獣の足跡があった。それも異常な数のだ」


 町の周辺を調査したパーティからは更に混乱する情報が寄せられる。教会を粉々に破壊した魔物の次は無数の獣の足跡? だから何でアンデッドに襲撃された町にそんなものがあるんだよ!?


「足跡はおそらくサウザンドウルフだ。これは町の中にもあった」


「サウザンドウルフ!?」


 足跡の主の名を聞いて俺達は仰天する。

 サウザンドウルフと言えば文字通り千匹単位で群れを作るヤバい魔物だ。

 こいつに襲われたら村なんて数時間で滅ぼされちまう。

冒険者だって数十単位のパーティが集まって大規模な討伐隊を組まなきゃまともに戦えない。

不幸中の幸いは連中は自分達の縄張りから出る事はめったにない事なんだが、それなのにこんな人里に来たのか!?


「それが町を襲ったってのか?」


 もう訳が分からん。一体どうなってるんだ。


「とにかく情報が足りなさすぎる。午後からは建物の中も探そう。アンデッドが潜んでいる可能性が高い。皆気を付けてくれ」


「分かった」


「日が落ちる前に門の前で集合だ。いいな」


 そして俺達は再び調査に戻る。生き残りが居ないか、そして何か有益な情報が得られないかを探す為に。


 だが結果は散々なものだった。

 何もなかったのだ。

 本当に情報どころか生き残り、それどころか……


「どういう事だ? アンデッドなんてどこにもいなかったぞ」


 そう、居なかったのだ。何も。

 商人から聞いた筈のアンデッドの姿すらなかったのだ。

 この町は無人、完全な無人の町だった。


「一体ここで何が起きたんだ?」


 調べれば調べるほど分からない事ばかりが増える。

 もうどうすりゃいいんだ。いっそ魔物の群れでも待ち構えてくれていればまだわかりやすかったのに。


 あまりにも情報が無さすぎて頭を抱えていた俺達だったが、このまま日が暮れては危険と判断し、いったん町から離れた野営場所に戻ろうとした。その時だった。


「おい、何か来るぞ!」


 俺達がやって来たカロマナの町の方角から、無数の馬に乗った集団が近づいてきてきたんだ。


「あれは……領主の騎士団か!?」


 おいおい、アイツ等今頃になってきやがったのか。

 まるで俺達の調査が終わったころを見計らったかのようなタイミングで現れた事に俺達はうんざりした気分になる。

 仮の宿に戻って疲れをいやそうと思ってたのに、ここからさらに疲れる事になるのかよ。


「そこの平民共、我々はカロマナ騎士団である! お前達は何者だ!」


 何者もなにも、冒険者ギルドが救援部隊を送った事は聞いてるだろうに。


「俺達は冒険者ギルドから指示を受けてフェネシアの町の救助に来た冒険者です」


「ああ、貴様らが冒険者か。ご苦労。状況を報告せよ」


 何が報告せよだ。俺達はお前の部下じゃねぇってぇの。

 とはいえ騎士団と事を構えるのはマズい。

 ここは素直に報告しておこう。どうせ報告する内容も碌にないしな。


「町を調査したところ生き残りはいませんでした。また町を襲ったとされるアンデッドの姿もありませんでした」


「何? アンデッドの姿もなかったのか? それは誠か?」


「はい。ゾンビの一体も居ませんでした」


 すると騎士はククッと嫌な笑い声をあげる。


「成程な! 我々の到着を恐れてアンデッド共は逃げ出したと見える! はははははっ!」


 そんな訳あるか! ゾンビやグールにそんな知恵がある訳ないだろ!

 もし逃げたとすれば、それはゾンビやグールを従えるだけの力をもった存在だ。

 それも町を一夜で壊滅させられるような力をもったとんでもないな。


「よし、何もいないのならすぐに町を制圧するぞ!」


 は? 何言ってんだコイツ!?


「危険です! もう夜になります。アンデッド達が動き出す時間ですよ!」


「何を言う。アンデッドはどこにもいないのだろう? ならば恐れる必要もあるまい!」


 いやそれでも万が一って事があろうだろうが!

 この町は門を閉めていたのに襲われたんだぞ!?


 だが騎士団は俺達の制止も聞かず町へ入ってゆく。その時だった。

 ヒヒーンと、遠くから馬の鳴き声が聞こえていたのである。

 騎士団の馬じゃない。方角が違う。

 

「これは町の反対側か?」


 そしてそいつらは姿を現した。

 無数の馬に乗った鎧の集団が。


「あれは騎士団か?」


 だが鎧の形が違う。別の騎士団か?


「我々はレキサランの町の騎士団! 貴公等は何者か! この町は我らが救援の要請を受けて保護しにきた! 即刻立ち去られよ!」


「レキサラン!?」


 なんと、突然現れた騎士団はフェネシアの町の向こうにあるレキサランの町の騎士団だったのだ。


「おいおい、勘弁してくれよ。絶対碌でもないことになるぞ……」


 何故なら、レキサランの町の領主と言えば、俺達が拠点にしているカロマナの町の領主と犬猿の仲と有名だったからだ。

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