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飛ばされた最強の魔法騎士 とっても自分の星に帰りたいのだが……  作者: 季山水晶
第五章 混沌を引き起こす者

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63.追いつめられたロバーツ

 レアの質問に対してロバーツは相変わらずうつむきながら独り言の様に話し続ける。


「そ、素材と言いますのは……光の浄化魔法を施したアースドラゴンの卵の卵黄の部分と、75.8パーセントまで削ったユニコーンの角の中心部分と、ホワイトキスゲの純度100パーセントの蜜を8対3対3で掛け合わせ……」


 ああ、これ、絶対口から出まかせな奴だ。


 どうやらロバーツは出来もしない事を並び立てて時間を稼ごうとしている様だ。レアにとっては奴が何か企んでいる事は想定内、ただ、今はそんな事に構っている場合ではない。それよりもレアが気になるのは、たった今検知魔法に引っかかった高い生命力を持った奴である。そいつはこのサバンナの先にある鬱蒼とした森の中でゆっくりと移動している。距離はここから約50キロメートル先でレアの空間認識魔法が捉えられるギリギリの範囲だった。


 ざっと見た所生命力は約20万。


 こいつは不味まずいな……前に戦ったベヒモスなど目じゃない、第二相の奥に居る魔物の生命力はこれほどまでに高いという事か。それともこいつもロバーツが作った『黄魔おうま』だから生命力が高いのか……確かめる必要があるな。


 仮にロバーツが作った『黄魔おうま』だとすれば、生命力20万の魔物を使役することが出来るという事だ、もしそうだとすればこの星だけにとどまらず、ロバーツはかなり危険な存在だという事。


 レアは少し頭を悩ませた。


「……それに、秘術の混合魔法を放ち、プラズマを発生さえせた後に……」


 気になり、ロバーツの方に目をやると奴の説明はまだ続いていた。


 こいつ、まだしゃべっていたのか。命が掛かっているからとはいえ、口から出まかせがよく続くものだ。


「ああ、もういい、うだうだ言わずにその解除薬を早く作って貰おうか」


 レアが話を遮った事でロバーツは益々焦り、額から滝の様に汗が滴り落る。


「だ、だから素材が無いのでできないと……」


「自分がやった責任も取れないとは……役立たずだな、もういい、先に向かう、お前の力を見せてみろ」


 レアは敢えて辛辣しんらつな言葉を浴びせた。ロバーツもレアの言葉を聞いて唇を噛んでいる。


 怒りに任せて手の内を見せてくれば儲けものだ。うまくいけば『黄魔おうま』にするところを確認できるかもしれない。


 それと、レアにとって気になる所はロバーツが()()()呼ばわりしていた奴の事である。


 こいつは一件ソロで活動している様に見せかけてこの星にいる別の人物を知っている。そして口調から考えると、その人物はロバーツよりも優位に立っているのだろう。王になればそいつに勝てるとでも思っているのか?生命力8万よりも高い人物が居る……か。それもロバーツの攻撃が効かない奴。


 この計画の本来の目的はその()()()そいつが握っていると考えても良さそうだ。『黄魔おうま』の件が片付いたら問い詰めてみるか。


 レアは第二相の奥までロバーツを連れていくことにした。今回の目的は二つ、一つ目はあの生命力の高い魔物が『黄魔おうま』であるかどうかの確認。もう一つはそれが違った場合、ロバーツの放つ金縛り魔法が生命力20万の魔物に効くかどうかと、仮にあいつが『黄魔おうま』だった場合、それを操る事が可能かどうかも確認だ。


 ロバーツはこれ以上『黄魔おうま』は作れないと言っていたが、俺が気付かない様に『黄魔おうま』を作り襲い掛からせる可能性もある。気が抜けないな。


「あそこに向かう」


 レアはサバンナの先の高い生命力の魔物が居る方向を指さした。するとロバーツの表情が歪む、その事は奴がその魔物に関与している事を示唆するものだった。


 スピードには自信を持っているのだろうロバーツは、ここぞとばかりに浮空術を使い急いでレアの示した方向へ飛び出した。あわよくばレアからの脱出を試みたのだ。


 だが、レアは瞬時にロバーツを捕らえ、その首を締めあげた。


 残念だったな。浮空術は俺も習得済みだ、ロッシの技を見て覚えたからな。そして俺の方がお前よりも魔力は高い。つまり、いくらスピードに自信があったとしても、俺には適わないという事だ。


「なぜ逃げようとする、無駄な事はするな、お前を犯罪者として何時でも処分することは出来るんだぞ」


「グゲゲゲ……」


 苦しそうな声を出しながら涙を浮かべて必死に頷くロバーツ。締めあげていた首を解き放つと何度も「ゴホンゴホン」と咳ばらいをして、ロバーツ黙って生命力の高い魔物の方角へとゆっくり移動を始めた。


◇ ◇ ◇


 サバンナを越え、徐々に植物が増えているなと思えば、第二相に入ると周りの雰囲気は一変した。まるでジャングルだ、魔素も濃いのが判る。生えている植物も魔素の影響か、ここまでには見なかったものばかりだ。レアは空から見下ろすが生い茂った植物に阻まれ、地上の様子は一切わからない。


「よし、この辺りで地上に降りるぞ」


 高い生命力の持ち主から約1キロメートル程離れた場所でレアはそう言った。するとロバーツの表情がやや険しくなる。だがその裏で何かいやらしい不敵な笑みを浮かべていそうなそんな雰囲気も感じさせる。


 地面に降り立つと、湿度が高く、何処を歩いてもぬかるんでいる。時折第四層に居るサーベルウルフやアーススパイダーが大急ぎで駆け抜けて行くのが見える。レア達が近くいる事には気付いているはずだが特に襲い掛かって来ることも無く、どうやら自分たちの安全圏内に急いで逃げようとしているのだ。


 このエリアでも第四層の魔物が居るという事は、時空のひずみより全ての魔物が発生しているのは間違いない。この情報はこれはレアにとって一つの収穫だった。


 大急ぎで外のエリアに向かって移動していく魔物達を見ていると、ロバーツがレアを横目で見ながら何やら僅かに唇を動かしている。辺りを警戒しながらロバーツに気付かれぬよう観察していると、バキバキっと木々がなぎ倒される音が響いた。


 驚いてそちらの方に目をやるとそこには5、6メートルはあるだろう一つ目の巨人がその手に持った棍棒をむらみやたらに振り回していたのだ。


 あれはサイクロプスだ。幻の魔物としてこの星の百科事典に載っていた。生命力は20万、俺が感知していたのは間違いなくこいつだ。


 よく考えると最近幻の魔物が多いな、つまりあれだな、第二相に来られる程の実力を持った冒険者ワーカーがほとんどいない為、このエリアの魔物はまだろくに調査されていないという事か。基本的にはこいつらは第二相から出ないので、第二相以上に住む魔物は全て幻になっちまうって事だな。


 成程なと、身の前に迫りくるサイクロプスを眺めているとその身体には黄色のブチ模様が混ざっている。百科事典に載っているサイクロプスの情報が少なく、元々こういう柄なのか、若しくはロバーツの作った『黄魔おうま』であるかの区別がつかない。


「おい、このデカい魔物はお前が使役している魔物か?」


 ロバーツは棍棒を振り回しながら近寄るサイクロプスに怯えもせず、レアの方へと向き直った。


(ククク、危ういが一応こいつを支配できる事もある。こいつの生命力は確か10万だったはずだ。このサイクロプスの生命力は20万位ある。こいつを利用してこの男を倒せばもう怖いものはない)


「こ、こいつは使役しようと思っても出来なかった魔物です。出来れば今後の為に消去して頂ければと、レクサス様なら倒せますので……」


 こいつは『黄魔おうま』だったのか。だが、何故……


 意味が分からなかった。使役できていないのなら、サイクロプスよりも生命力の低いロバーツは早々に逃げ出す必要がある。だが、この余裕。どう見ても裏があるとしか思えない。


 このサイクロプスを倒せという依頼にレアがいささか疑問を感じたその時である。ロバーツの話はまだ途中であったが、グシャッと音を立てて目の前のその顔が消え去ったのだ。


「なんてことだ……」


 ロバーツの野望があっけなく終わった瞬間だった。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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