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14 彼女の問い

日曜日


今日は彼女と会う日

と同時に彼女との最後の日


なるべく笑顔で、泣くことなく、一日を終えよう


前日までの影響で腫れた目をメイクで誤魔化す。

私は、今日も仮面を被るのだ。



集合場所であるカラオケの前で彼女を待つ。


彼女と会うのが怖い

そう思ってしまう事が辛くて、

涙が溢れそうになるのを唇をかんで必死に耐えた。


「るいちゃん!!」

小走りで駆け寄ってくる彼女

彼女は私が贈ったワンピースを着ていた。


彼女の姿を見ると、私の決意なんて崩れ落ちそうになる。


だから、私はいつも通り仮面をつける

笑顔で、そして朗らかに


「Maoちゃん!やっほ〜! .......」


この時の私は確かに笑顔だったはずだ。

少なくとも彼女の目にはそう映っていただろう



カラオケに入る


相変わらず上手な彼女の歌唱を聞きながら、曲を選ぶ。

いつもなら何も考えずにする選曲も、どうにも別れの歌に偏っていく。


“このままでは、仮面が外れてしまう”


そう感じた私は、彼女にカラオケ配信を開くように提案した。

忌まわしき彼がくる事は分かっていた

それでも、私は自分を保つことを優先した。


何を歌ったのか、何を話したのか、いまいち記憶に残っていない

“彼女は可愛かった”

思い出だけ残せれば、私は十分だった


お手洗いに行く、と部屋を出る彼女


1人になると、緊張が解けるからだろうか

異様に泣きたくなって来る

その衝動を抑えながら、

“今の私って、愚かで誰よりも人間らしいな”

そんなことボンヤリと考えていた。



カラオケを出た後、ファミレスに入った。

お昼時

混雑する店内で、必然的に私は彼女と向かい合って座った。

注文をし終わり、料理の到着を待つ。


その場を繋ごうと、話題を出そうとしたその時。

おもむろに、彼女は気まずそうな顔をしながらこう切り出す。


「あの、Syoくんと私が付き合ったのって聞いてるよね?

ちょっとるいちゃんの意見が聞きたくて...。」


この時、私はどんな顔をしていたのだろうか。


想定していなかった状況

この状況でスルーできる程の心の余裕を、私は持ち合わせていなかった。


もう誤魔化せない、

そう悟った私は、正直に伝える。


「色々、思っている事はあるんだ。

Maoちゃんにとって嫌なことも、沢山言うことになると思う。

今話したら、お昼どころじゃなくなっちゃうから、食べ終わって落ち着いてから色々話すね。」


料理が届き、食べながら他愛もない話をする。

無理にでも話をしていないと、今にも感情の波に呑まれそうだった。


昼食を終え、一息ついた私は

彼女に全てを話した。

正確には、殆どすべてを。


“私は、Syoさんのことが信用できない。

感情論だけでなく情報収集による裏付けから、そう感じている。

二人の交際自体に否定的であり、今までのように見守る事はできない。

私はMaoちゃんとの縁を切るつもりで手紙を書き、今日を迎えている。“


話している間にも、涙がとめどなく溢れてくる。


彼女の顔を見たら、更に泣いてしまいそうで

下を向きタオルで涙を拭きながら、ひたすらに思いの丈を伝える。

彼女は、黙って私の話を聞いていた。


「泣くつもりなんてなかったのにな。いい歳して、情けないよね。ごめん。」


一通り話し終えた私は、顔をあげ、彼女見る。

目の前に座る彼女は、静かに涙を流していた。


一度止めたはずの涙が再び溢れてくる。


ざわざわと騒がしい店内で、ひたすらに泣く私たち。


お互いが泣き止むまでの数分間、

その異質な光景が展開され続けていた。


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