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13 最適解

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土曜日

彼女と彼が付き合った日


朝起きたら、彼からDMが届いていた。


6時48分

「なんか、不快だったらごめんなさい」


昨晩の、私の返信が

いつもの ”るい” とあまりにも解離していたから

違和感を感じたのだろうか。


起きて最初のメッセージが、これとは。

筋金入りの不幸体質かも知れない、と笑いすらこみ上げて来る。


睡眠によって微かに正常に戻った私は

”るい”の仮面を被ることはせず、返信を打ち込む。


「彼女を泣かせる様なことがあれば、許しません。

 私は私としての最善を尽くします。」



私の本心であるとともに、決心でもあったこのメッセージ。


"彼女のことは私が守る"

その為だけに、私は考え、行動してきた。


私の代わりに彼が彼女の横に立つ。

" 彼女を泣かせるような事 "

それが彼が原因であろうと、その他の人が原因であろうと、

決して許さない。


覚悟と責任

彼が持つ訳もないそれら。

意味は無いが、書くことには意味がある。


"私は私としての最善を尽くす "


私は彼女を泣かせてしまうだろう。

私の理念に反する行為であることは、理解している。


だからこそ、

彼女になるべく心の傷を残さないように、

美しい記憶として残るように


私は、綺麗に、迅速に、彼女との縁を切る。



10時14分

彼からの返信が届く

「もちろん!泣かせたりしない。

 あと、昨日Maoには言ったんだけど

 るいちゃんとか誰かと遊んだりするのを邪魔したり、 変に束縛するようなことはしないから。」


彼は何もわかっていない。

でも、それでいい。


彼が私から遠い存在であればあるほど、私は自分の中で落とし込める。

彼女は、こんな彼を選んだのだ。

私が、愚かであった、ただそれだけ。


昼過ぎ、彼女の配信。

彼女の配信を見れるのも、あと数回だろう。

思い出を少しでも多く心に刻むために、

私は彼女の配信に参加した。


彼女の声を聞きながら、

どうやって縁を切ろうかと頭は考えを巡らせる。


明日、私は彼女と会う。

タイミングは、そこしかない。


直接話した方が誠実だろうか、

でも彼女に引き止められたら。

私はの決心など、崩れてしまうだろう。


なるべく誠実に、心残りなく、、、



彼女の声を聞きながら、"るい"としてコメントを打ちながら、思考は相反する方向に向かう。

滑稽、としか言い表せないだろう。



そんな中、ある一通のDMが届く。

あるリスナーさんからのもの。


比較的信頼を置いているリスナーさんからの連絡

すぐに目を通す。


チャット画面には

メッセージと共にイラストが送られてきていた。

数週間前にお願いしたそれが、偶然にもこの日に完成したようだ。


「デートを控えている、るいさんへ

遅くなったけどファンアートになります。いつもありがとう。」


メッセージと共に送られてきたイラストには


着物で笑い合う彼女と私、


そして

「これからも仲良く、、そして幸せに」


という文字が記されていた。



ごめんなさい

私は、貴方の想いに背こうとしています


視界が曇る

彼女の明るい声を聞きながら、そしてファンアートを眺めながら、

私は静かに涙を流した。



一通り泣いた私は、ある意味吹っ切れていた。

少し晴れた頭で考える。


この物語に終止符を打つのだ。


明日、私は彼女と縁を切る。


明日を、悲しい思い出にしたくはない。

むしろ、綺麗な思い出であってほしい。

彼女が思い出した時に、頭に浮かぶ私の顔は、笑顔であってほしい。

そして、私も同様に。




なるべく誠実かつ、美しい結末として、

私は"手紙"を選んだ。


私の想いを綴った手紙

それを渡した瞬間が縁の切れ目


物語は幕を閉じる。


私はその日を最後に彼女に会うことも、連絡を返すこともない。


ただ、彼女がどうしても助けが欲しいと願った、その時だけは、助けになろう。

彼女を完全に見捨てることは、できなかった。


彼女に送る最後の手紙

所々、彼女を悲しませないための嘘を。

そして最後にこう締めくくった。


今までありがとう。

次会える日のAちゃんが、笑顔でありますように。

                    

      

所々文字のにじむそれを、封筒にしまう。



もう、後戻りはできない。


明日は、いつもの私でいよう。

彼女と会える最後の日を、全力で楽しもう。

そして、最高の笑顔で手渡そう。


それが、不器用な私にとっての最適解だから。


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