10 リア凸
今日はAちゃんの誕生日。
そして、Aちゃんと"Syo"のリア凸の日。
日付が変わった頃、私は彼女にメッセージを送った。
綴った内容は、
誕生祝いと「幸せになって欲しい」という私の願い。
今日という日が最悪なものにならないように、という1種の願掛け。
彼女からは、「ありがとう」と共に、「ちょっとだけ通話できない ?? 」と送られてきた。
彼女と通話を繋ぐ。
何を話した訳でもない。
ただ、"羨ましい" "なんかあったら私がすぐ飛んでいくから"
そんな事を話していた様に思う。
彼女が自分の守れる範囲から出ていってしまう
最悪の事態が頭に浮かぶ。
通話を切ったら、彼女との縁ごと切れてしまうかのように思えてくる
不安と、不甲斐なさと、彼女に縋りたい、
そんな感情がうずまき
私は通話をなかなか切る事が出来なかった。
しかし、私の感情など関係なく睡魔は襲って来るわけで。
結局、寝落ちた私が気づかない間に通話は途切れ
そして朝を迎えていた。
何かあった時に対処できるように。
彼女と繋がる全てのアプリの通知をONにする。
わたしにできることは、それしか無いから。
"Maoと合流した(ノ*>∀<)ノ"
彼のXの投稿によって、その始まりが伝えられた。
昼過ぎ、
通知の音に携帯を開くと、
リア凸コラボ カラオケ配信が開始されていた。
すぐに参加する。
勿論、2人の絡みを見ていたくは無い。
ただ、カラオケという個室で、人の目がない状況を少しでも作りたくなかった。
正直、見るに堪えない配信だった。
彼が彼女にベタベタとボディータッチをしていることが伺える発言
イチャイチャしているとしか思えない絡み
彼が彼女に接するそれは、どうしてもホストの営業を彷彿とさせる。
照れる彼女に、「横においで」と余裕を見せる彼
彼の声色には、確実に好意と下心が混ざっている。
私にはそうとしか思えない。
"私にとっては地獄"の配信が終わり、
投稿にも情報が上がらない数時間
「今日は6時には解散するんだ!終わったら配信する!」
彼女の言葉を信じて、ただ無事に時間が経つことを祈る。
たった数時間が途方もなく長く感じられる。
日が落ちる頃、彼女の配信が開かれた。
ひとまず彼女は無事だった。その事に安堵する。
一日乗り切ったほんの少しの達成感と、
最悪の未来が現実的になってきた事への危機感と焦り
今日は疲れた
それでも、変わらず配信に参加する。
それだけが私に唯一出来る"抵抗"だから。
しかし、現実というものは残酷で
この配信で彼が打ったコメントは今でもはっきりと記憶に刻まれている。
「るいちゃんがいつも直央の事、可愛いって言う理由がわかったよ。」
「Maoは、本当に可愛かった。」
2人で撮ったというプリクラの画像と共に。
私の心に暗い影を落とした。




