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人類最強の異世界ゴリマッチョおじさん、奴隷商から三姉妹を救ったらオタ趣味が捗った件  作者: 浅見朝志


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第9話 解決!

「俺が……キキョウさんのことで勘違いをしている?」

「うん」


 三姉妹の次女のセリは俺の耳元、小声で頷いた。


「お姉ちゃん……キキョウお姉ちゃんはね、きっとゴリウス様がお人形好きなことを変に思ったりはしてないですよ?」

「えっ……?」

「ゴリウス様は、自分が男なのに女の子が好きになる物が好きだっていうのを気にしてるんですよね?」

「あ、ああ。そうだ」


 まったくもってオブラートにも何にも包まれないむき出しの言葉に、正直面食らってしまうが事実は事実。俺は戸惑いながらも頷いた。

 

「お姉ちゃんはですね、本当に本当にホント~~~にっ! 優しいの!」


 セリは誇らしげに言う。


「お姉ちゃんは絶対に人を傷つけるようなことは言わないですから。それに人が気にしてることにズケズケと踏み込んだりもしないんです……あっ、私の方はけっこうそういうことしちゃうんですけど」

「そ、そうなんだな」

「はいっ。さっきのも、どうせ『なんて返事をすればゴリウス様に気を遣わせないで済むか』っていうのを考え過ぎちゃっただけですよ」

「えっ」

「それに、少なくともお姉ちゃんや、私や、それにスズも、趣味くらいで恩人の見方を変えるような薄情者じゃありません」


 セリは耳元で話すのをやめると、それから俺の手を両手でぎゅっと握った。

 

「なので、大丈夫です! ゴリウス様が心配してることなんてきっと何もないです。だから、帰りましょう!」


 ぐいぐいとセリが引っ張ってくれる。でも俺は呆然としてしまっていて、そこから動けないでいた。

 

 ……そう、だったのか。ぜんぶ俺の考えすぎ、だったのか?

 

「ちょいと、ゴリウスの旦那ぁっ? ボールがあと2つ残ってますよ?」

「え。あ、ああ」


 ボール当ての露店商の男の急かす声に、そういえばボール当ての途中だったことを思い出す。


「……セリちゃん、他に何か欲しいのはあるかい?」

「えっ、いいんですか?」

「ああ。感謝の気持ちだ。ありがとう。セリちゃんが来てくれなかったら、きっと俺は長い時間ウジウジしたままだった」

「えへ、どういたしましてです。じゃあお言葉に甘えて……あそこにあるのと、あともうひとつはあれを」

「わかった」


 セリの指さす景品へと向けて俺は正確無比なコントロールでふたつのボールを投げ、立て続けにゲットする。

 

「ゴリウス様、すごっ! ありがとうございます」

「まあ、この程度のことならな」


 セリは手渡されたふたつの景品の髪油とキャンディーの詰め合わせを嬉しそうに眺めて、「えへへ」と笑みをこぼした。


「ふたりとも、喜ぶだろうなぁ」

「え?」

「お姉ちゃん、最近は特に自分のことは全然ほったらかしだったから髪も傷んじゃってて。あとスズは甘いの好きですし」


 ……セリ自身の分じゃなかったのか。最初からふたりのために……。

 

「セリちゃん。よかったらこれを」

「はいっ?」

「だって、その景品がふたりのものならセリちゃんの分がないだろう?」


 先ほど取った着せ替え人形の入った箱を差し出す俺に、セリは目を丸くしていた。

 

「え、でも……」

「いいんだ。俺はたくさん持っているから。知ってるだろう?」


 ……あ、でももしかしてセリくらいの年頃になるともう女の子も着せ替え人形では遊ばないのか? だとしたら無理に押し付けるのも……。

 

 なんて考えていたが、

 

「ありがとうございます……っ」

 

 しかしセリは静かではあったが、なんだか喜びを噛み締めるような表情をしていた。


「わぁっ……!」


 俺がセリの手荷物を持ち、代わりにセリへとお人形を手渡した。セリはそれを大切そうに腕の中に抱える。

 

「私、お人形を抱いたのって初めてです」

「そう、なのか?」

「はい。他の子が持ってるのは見たことがあるけど、買えなかったから」


 それはなんでもないような言葉の調子だったが、それだけでセリたち三姉妹のこれまでの生活がどれほど苦しかったかを察せるひと言だった。

 

「……可愛いですね」

「そうだな」


 俺たちはその後ふたりで食べ物の露店を回り、家で待っているキキョウやスズシロの分も含めて大量のご飯を買い込んで帰路に就いた。




 * * *




「ゴリウス様っ、本当に申し訳ありませんでしたっ!」

「うぇっ⁉」


 家に帰りドアを開けるなりキキョウが深々と頭を下げてくるので、俺は驚いて両手に持っていた大量の露店の食べ物を落としそうになってしまった。

 

「先ほどはなんてお答えすればいいのか悩んでしまっていて、それがゴリウス様にきっと不快感を……」

「いや、いやいやいや、ちょっと待ってほしい!」


 俺はそのまま謝り倒そうとするキキョウを制止し、慌ててリビングのテーブルへと買ってきた食べ物を置く。

 

「うわぁ~~~! ごーうすたん、これぜーんぶ食べていいのっ⁉」

「ちょ、ちょっとそれも待ってくれスズちゃん」

 

 ヨダレを垂らしているスズへと「スズのことは任せて~!」とセリが駆け寄っていくのを尻目に、俺はキキョウに向かって全力で頭を下げる。

 

「謝るのは俺の方なんだ。先ほどは大変申し訳なかったッ!!!」

「えっ⁉︎」

「俺の精神が未熟なばかりに、キキョウさんの思いやりを悪い方へと受け止めてしまった。俺が悪かったんだ……振り回してしまい申し訳なかった」

「い、いえ、そんな!」


 キキョウは慌てた様子で首を横に振った。


「やっぱり私の方こそ、もっと誤解を与えないような発言をすべきで……」

「いや、全面的に俺がよくなかった。俺の中に、自分の趣味に対して負い目を感じてしまう意識があったからこそだ」

「……!」


 キキョウの顔が再び悩ましげなものになる。


 ……先ほどまでの俺なら、きっとそれを冷ややかな視線に受け止めてしまっていただろう。でもセリから事情を聞いた今は、違う。


「俺が、勝手にキキョウさんが俺のことをどう思っているかを自分の考えの中だけで決めつけてしまったんだ」

「ゴリウス様……」

「なにより俺自身が、俺みたいな外見の男があのような趣味を持っていることが……おかしいことだと分かっていたから」

「……わ、私は、それは違うと思います!」

「えっ」


 キキョウがずいっと下から俺の顔を見上げてくる。思いのほか強い口調に、少々俺は後ずさりした。


「おかしくなんてありません。ゴリウス様が何を好きだろうと、ゴリウス様の自由じゃありませんか」

「う、うむ。まあ自由ではあるが……」

「私も可愛いものは好きです。ゴリウス様のお部屋を見て、そういったものひとつひとつをとても大切に飾っているのを見て……私は、素敵な趣味だなと思いましたよ」

「……!」


 キキョウのそのとてもまっすぐな目に、なぜだか胸の内から込み上げてきた不思議なモノによって俺の喉が詰まった。


「……素敵、か」

「ゴリウス様?」

「あぁ、すまん。なんでもないんだ」

「そうですか……? なんだか深く考え込まれていらっしゃったような……」

「いや、本当に大丈夫」


 ただ、姉以外の人に初めて趣味を受け入れてもらえたことに少し驚いて、そしてとても嬉しかっただけだ。


「……ありがとう」

「えっ?」


 俺の感謝の言葉に、キキョウは首を傾けていた。


「お姉ちゃん、ゴリウス様! 早く食べないとせっかくのご飯が冷めちゃうよー!」

「ねぇねー! ごーうすたん! はやく!」


 セリとスズがもう椅子に座って食べる準備万全といった様子で俺たちを急かしてくる。


「そうだな、食べよう。このまま謝りあっていても決着はつかなさそうだ」

「……そうかもしれませんね」


 俺とキキョウは互いにクスりと笑うと、セリたちの待つテーブルへと向かった。




【NEXT >> 第10話 姪ってことで】

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