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人類最強の異世界ゴリマッチョおじさん、奴隷商から三姉妹を救ったらオタ趣味が捗った件  作者: 浅見朝志


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第14話 コンセプトカフェって知ってる?

 ──キキョウの面接から数日後のことだった。

 

 俺は里長の誘いもあり、再び【コン喫茶】へと今度は客として訪れていた。ちなみにコン喫茶と書いて【コンカフェ】と読むらしい。

 

「ちょうどいいじゃろ? ワシの名前のコンを取って付けたんじゃが、極東の島に棲むオータックの者たちの間ではのぅ、コンカフェというと別の意味があるらしく──」

「ああ、そこらへんにしてくれ。里長のうんちく語りは長いからな」


 俺が遮ると、向かいの席に座って得意げに話していたコンはぷくーっと頬を膨らした。

 

「お前ひとりじゃ恥ずかしくて入れないだろうと思うてワシがいっしょに居てやっておるんじゃろうが、ちょっとくらい気を遣え!」

「俺は別に外から覗くだけでもよかったんだ。キキョウが無理せず働けているかを確認できればな」


 俺の視力と聴力があれば、少し離れた場所からでも中の出来事を把握することは容易い。覗きになるので、犯罪スレスレになるのが難点ではあるところだが。


 ……まあ、しかし。どうやらキキョウの心配は必要なかったらしい。

 

「ゴリウスさん、ようこそいらっしゃいませ」


 キキョウが俺のテーブルへとクリームやら粉砂糖やらで可愛らしく彩られた焼き菓子(このお店ではパンケーキという名前らしい)を運んでくる。俺の作った衣装に身をまとったキキョウは、他の客の視線を一身に集めているようだった。

 

「な、なんだかゴリウスさんに見られていると思うと……いつも以上に照れてしまいますね」


 ──先日の面接でキキョウは無事、このコン喫茶(コンカフェ)で働くことができるようになっていた。


 なんでもコンの言っていた適正というのは、この喫茶店に訪れたお客に【可愛いを提供する覚悟があるかどうか】ということだったのだそうだ。キキョウはスズシロとの会話でそれを悟ったらしい。

 

『コン店長の可愛らしい服装と、店内のスタッフの通れる道が多い間取りを見て、もしかしたらこの喫茶店に来るお客さんの目的は【可愛い衣装に身を包んだスタッフを見ること】なんじゃないかなって思ったんです』


 面接に合格した夜、キキョウは少し恥ずかしそうに顔を赤らめながらも俺にそう教えてくれた。だから俺がひとり徹夜で衣装を作っているのを見つけたとき、キキョウは驚きつつも引かないでいてくれたわけだ。キキョウからしてみれば、俺がキキョウのために隠れて面接用の衣装を作っていたように思えたのだろう。……それは勘違いなわけではあるが。 

 

 ……今回は結果オーライでよかったが、勘違いが無ければドン引きされていてもおかしくなかったな。これに懲りたら、ちょっとは趣味に熱中し過ぎるクセを直さねば。

 

 俺がひとり自分に対して安堵か呆れか分からないため息を吐いていると、

 

「さあ、パンケーキに【まじない】をかけるのじゃ、キキョウ!」

「え、えぇっ⁉」


 唐突に飛んだコンの指示に、キキョウはのけ反った。


「ゴ、ゴリウスさんにもしないといけませんか……?」

「あたりまえじゃ。いちおうは客だ、しっかりと務めを果たすのじゃ」


 ……まじない? なんのことだ?

 

「別に……無理してやらなくてもいいぞ?」

 

 なんのことは分からないがいちおうそう言っておく。キキョウは一瞬迷うような素振りをしたものの、しかしブンブンとかぶりを振った。

 

「いえっ。やりますっ! しっかりとお仕事はしなきゃですからっ!」

「そ、そうか?」

「い、いきますよ……!」


 深くひとつ息を吸う。

 

「──お客様、これからこのスイーツをもっともっと美味しくするおまじないをおかけします」

「う、うむ?」

「ぜひぜひ、お客様もごいっしょに!」

「俺もかっ?」

「はいっ!」


 キキョウはパンケーキに向かって両手を掲げ、


「ではっ!」


 両手の指でハートマークを作った。俺もそれにならって作る。

 

「おいしくなぁ~れ、おいしくなぁ~れ、萌え萌え、きゅ~~~んっ!」

「きゅーん……」


 そしてキキョウと俺は珍妙なダンスとセリフで、パンケーキに向かって何かを飛ばす。

 

 ……飛ばした、んだよな?


「はいっ、萌え萌えパワーが注入されましたっ!」

「もえもえぱわー」

「これでですね、このパンケーキが、その、もっと美味しくなりました……はずです……」

「……そう、なのか? その、ありがとう」

「……どう、いたしましてっ! うぅ~~~っ!」


 キキョウは顔を高熱を帯びた鉄のような赤さに染めて、背中を向けて走り去ってしまった。


「……どうじゃ?」

「いや、どうと訊かれても……」

「可愛かろう? まさかワシが追い返してからたったの数日であれほどの逸材に変貌(へんぼう)を遂げるとは、ワシも驚いたものじゃ」


 コンは感慨深そうに目を閉じた。


「本当はああやって追い返されてなお挫けない根性とこの店への理解があれば充分に合格ラインだったんじゃが……まさかメイド服まで着てくるとは! 気合いの入れ方にびっくらこいたわ」

「めいど服? あれは【みにすかめいど】という名の衣装ではなかったか?」

「バカ言え。どこをどう見たらあれが【ミニスカ】に見えるんじゃ。どう見てもロングスカートじゃろうが。それに加えあれは古式ゆかしいクラシックメイドスタイル! いったいどこで手に入れた衣装なのやら……キキョウに訊いてもぜんぜん教えてくれんのじゃが、ゴリウス、お前なにか知ってたりしないか?」

「さ、さあ……知らんな……? ところで【もえもえぱわー】とは?」

「あん? 萌え萌えパワーは極東の島国のオータックたちが崇める神が司る神聖な力じゃ」

「またそれか……」


 極東の島国なんて言われても、コン以外の口からはウワサすら聞いたことがない。話半分に聞いておかないとだ。

 

 ……まあいいか。とりあえず衣装の出自は誤魔化せたみたいだし。

 

 俺はホッとしつつ、【めいど】の起源とやらを語り始めたコンは放っておいて、さっそくキキョウの運んできてくれたパンケーキを食べることにした。


「おぉ、美味しいな……!」


 生地はとても上品な甘さをしていて、周りを囲うようなクリームは軽くてぜんぜん胃にもたれない。俺のとても好きな味だった。

 

 ……可愛い衣装もたくさん見られるし、パンケーキとやらも可愛くて美味しいし、キキョウが元気に働いている姿も見られるなら……また来ようかな。

 

 コンへと直接言うとつけ上がられそうだったので、俺は密かにこの店の常連になることを誓ったのだった。




【NEXT >> 第15話 クレープ屋さんへ行こう】

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