壱話
作者が夢で見た話
触れた柔らかい唇。とっさに振り返る。目に入ったのははにかんだように笑う彼。
普段は「えー、先輩こんなこともできないんですか?」「うっさい!お前嫌い!」と軽口をたたき合う仲だ。
「なんで?」と言おうとしたが、それだけじゃ足りない気がした。
やり返した。甘い味がすると思っていたけど、彼が飲んだのだろうコーヒーの味がした。
「同じ思いってことでいいすか?」
私が頷くと彼は嬉しそうに笑った。
付き合っていることを隠す日々が始まった。私はうまく隠せていたと思う。問題は彼だ。
「先輩!」「海行きません?」「ねぇ新しいシャーペン買おうよ~おそろいにしましょ!」
部活でもとにかく絡んでくる。絡むだけならばいいのだ。顔が近い。隙あればキスをしてこようとする。
「ねぇ隠すって言ったよね⁈隠す気ないじゃん」
「え?だって好きだから。そもそも俺は隠したくないんすよ」
隠すと決めたのは私だ。部でばれたらいろんな人にからかわれること間違いなしだから。
「俺は寂しいんだよ先輩、今ならだれもいないよ?」
周りを見る。確かに誰もいない。
勇気を出した。自分から彼に抱き着いてみる。身長差はほとんどない。目を見る。彼も照れているのだろう。顔が少し赤い。
「好き。大好き」
「俺もです。でももうちょっと欲しいっす」
私は彼の口に顔近づける。今日の彼の唇はすごく甘かった。私の柔らかいキスでは彼は満足しなかったらしい。舌で唇をなぞられた。
「んんんっ!」
離せない。彼の熱を失いたくない。彼は舌を少し私の口に入れた。私も負けじと舌を絡めようとしたが、むせてしまった。
「げほっげほ」
「また一緒に頑張りましょ、先輩」
「ほんとに嫌い!」
咄嗟に言うと、少しショックを受けた顔をされた。
「嘘だよ。好き」
「俺も。ねぇ先輩、みんな見てるよ?」
あたりを見回す。部のみんながいた。
「てことで皆さん見ましたよね?この人俺の彼女です」
「えっ!あぁぁぁぁ!」
次の日から散々からかわれました。
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