三年が経った
あの日から3年が経った。今日はエリーの13歳の誕生日だ。エリーの悪評もすっかり取り除けたようで、国を挙げた誕生日パーティーが行われる。
街中はお祭り騒ぎだ。エリザベス生誕祭とか誰かが言い出して町には食べ物やエリーを模したアクセサリーなどが売られているらしい。
僕がプレゼントしたあのシンプルなデザインの指輪も人気だとか。ちょっと恥ずかしい。僕は今エリーの着替えを待っている。今日は一段と気合の入ったドレスにするそうでメイドの人たちがエリーの着替えを手伝っている。
しばらく待っているとエリーが扉から出てきた。赤を基調としたドレスに胸には黄色い花の刺繍が施してある。あれから3年経ったのでエリーは少し大人の女性になった。胸が少し成長して目のやり場に困る。正直すごい綺麗だ。
「綺麗だよ。エリー」
まっすぐエリーを見ながら言うと、エリーは嬉しそうにほほ笑んだ。
「ありがとう。まあ分かってたけどね」
エリーは照れながら言う。本当にかわいいやつめ。これからエリーは国民の前で挨拶をすることになっている。今までは王様が気を使ってやらせていなかったようだが、今年からはやるそうだ。今ではエリーを「暴君」などと言う人はいないだろう。
エリーは初めての大勢の人の前での挨拶に緊張しているようだ。肩を震わせている。
「エリー頑張ってね!」
僕は応援することしかできないがエリーならきっと大丈夫だろう。
「うん。頑張るわ」
そして
「皆の者ちゅうもーーく!只今よりフランソワーズ・ヴォン・エリザベス様が挨拶してくださる!皆心して聞くように!」
兵士の人が大声で言うと、見に来ていた観客が一斉に騒ぎ出した。
「わあああーー!エリザベス様ーー!」「こっち見てーーー!!」
ものすごい声援だ。やばい泣きそう。3年前はあれほど恐れていた国民がエリーの誕生日を祝っている。自分の事のようにうれしい。
エリーが城から現れるとより歓声が大きくなった。
「きゃああーー!エリザベス様ーー!!」「かわいいいーーー!!」
「皆の者しずまれーーーい!!」
兵士の人がすごい声で叫ぶと城内がしんと静まり返った。
エリーは緊張していたさっきとは違い堂々としていて、気品あふれる皇女様だ。
「今日は私の誕生日にこれほど多くの人が集まってくれたことをとてもうれしく思う!私はこの国の第三皇女として守るべき民のために尽力することをここに宣言する!」
「わああーーー!!」「エリザベス様バンザーイ!!」
城内は熱気に包まれている。それにしても立派だったなエリー。なんか少しエリーが遠い存在になった気がして少し寂しくなった。
「お疲れエリー。すごかったよ!」
「ありがとう。でもすごい緊張したわ。皆からひどいこと言われたらどうしようと思った」
エリーは胸を撫でおろしている。
「いや。だれがみても立派な皇女様だったよ」
本当にすごかったと思う。
それから少しだけ王宮を抜け出して城下町に遊びに行った。
「楽しいわね!ルーク」
「うん!」
僕たちは子供のように遊んだ。今日の事は絶対に忘れない。
王宮に戻ると、兵士の人にすごい怒られた。でも楽しかったからいいや。
今日は家族でエリーの誕生日を祝う晩餐会が行われるらしい。僕は風呂に入り、執事として晩餐会の準備に取り掛かった。おいしそうなたくさんの料理を運ぶ。一度でいいから食べてみたいな。
しばらくして家族の人が続々とやってきた。王様、お后様、バイオレット様、スカーレット様、そしてエリー。先ほどとは違うドレスを着ている。城下町に遊びに行って汚れてしまったからな。
皆が席につくと王様が喋り始めた。
「今日は我が娘エリザベスの13歳の誕生日だ。とてもうれしく思う。今日はおめでとうエリザベス」
「おめでとうエリー」
「おめでとうエリー」
「おめでとうエリザベス」
お后様とバイオレット様、スカーレット様もそれぞれ祝っている。スカーレット様も丸くなったようで良かった。
「ありがとうお父様、お母様、お姉さま。うれしいです!」
エリーはとても嬉しそうに笑った。良かったねエリー。
そして皆が食事を楽しんでいると突然王様が手に持っていたナイフとフォークを置いた。
「エリーお前に大事な話がある」
王様は真剣な表情でエリーを見ている。大事な話?
「何ですか?お父様」
エリーも突然のことで驚きを隠せないようだ。すると王様はとんでもないことを言い始めた。
「3年後お前が成人したときの結婚相手が決まった」
「え?」
「な?」
思わず声が出てしまう。え?結婚?でもまだエリーは13歳だぞ。エリーも困惑した様子だ。
エリーが一瞬こっちを見て助けを求めた気がしたがただの執事にはどうすることも出来なかった。




