エリーの悪評を取り除いた
スカーレット様の寝室につくと僕は改めて息を整えた。目の前には豪華な扉がある。隣のジョッシュは毒のせいかおとなしく従っている、本当は毒なんて針にぬってないんだけどね。
「よし入るぞ開けろ」
僕はジョッシュに扉を開けさせ。中に入った。室内は綺麗に整えられており中央の大きなベットの周りにはカーテンがかかっている。
「音を立てるな」
僕はそうジョッシュに命令してそのままスカーレット様のベットに向かった。スカーレット様はぐうぐう眠っている。
「おい。これからスカーレット様を起こす。もし騒いだらスカーレット様の口を塞げ」
ジョッシュは一瞬驚いた顔をしたがすぐに頷いた。よしいくぞ。
「スカーレット様。スカーレット様。起きてください」
「ん。誰よこんな時間に」
スカーレット様はゆっくりと起き上がる。まだ寝ぼけているみたいだ。
「スカーレット様、お話があります」
僕はそう言ってつけているマスクを取った。
「な!あなたはエリザベスの!誰か!!だれか来て!!だれ・・・」
スカーレット様が大声で助けを呼び出したのでジョッシュに合図して口を塞がせる。
「静かにしてください。僕はスカーレット様に危害を加えるつもりはありません。ただちょっとお話したいだけです」
僕はスカーレット様を落ち着かせるようにやさしく言う。スカーレット様は酷く怯えた様子で話を聞いていたが、ゆっくりと頷いた。寝室に知らない男がきたらそれは怖いだろう。もっと取り乱すだろうと思ったがさすが王族だ。
「おい。放してやれ」
ジョッシュにスカーレット様を放させる。
「まず。この男にエリーを雪山に置いていくように指示しましたね」
僕は少し圧をかけるように言った。
「・・・そんなの知らないわ」
スカーレット様は白を切るつもりだ。これは想定内だ。そのためにジョッシュを連れてきたのだ。
「そうですか。それでも明日ジョッシュにはスカーレット様の命令でエリザベス様を雪山に置いて行ったと王様に証言してもらいます」
「ちょ。そんなの聞いてないっすよ!」
「黙れ!スカーレット様が認めてくれればその必要もなくなる」
ジョッシュは取り乱したがすぐに静止させる。そんなことを王様に言えばどちらにしろ死ぬだろう。毒で死ぬか処刑されて死ぬかの二択だ。と本人は思っているだろう。
「スカーレット様。ジョッシュは命がかかっています。何をするかわかりませんよ」
少々手荒だが脅してみよう。するとスカーレット様は酷くジョッシュに怯えているようでなんとか距離を取ろうとしている。
「スカーレット様大丈夫です。あなたが認めてさえくれればすべて収まるのです」
一つだけ逃げ道を用意してやる。それが自白させる最も有効な手段だと父がいってたっけ。スカーレット様は俯いた後、話始めた。
「ええそうよ。私が命令したのよ」
「他にもエリザベス様の悪評を流しているのもあなたですね」
「ええそうよ!悪い?」
スカーレット様は投げやりに自白した。ここまでくればなんでも答えてくれるだろう。
「なぜエリザベス様の悪評を流したりしたんですか?」
「最初はただかわいいあの子が気に入らなかっただけで少しちょっかいを出していただけなの。そしたら徐々に母様と父様もあの子ばかり見るようになって、だから段々嫌がらせがエスカレートしてきて」
スカーレット様は俯きながらそう言った
「それで雪山に置いていくよう命令したんですね」
「ちょっとした嫌がらせのつもりだったのよ!その後吹雪いて遭難するなんて思わなかったの!」
スカーレット様は必至に僕に向かって弁明している。遭難するなんて思わなかった?エリーは死にかけたんだぞ!僕は怒りを必死に抑える。
「お前のその嫌がらせのせいでエリーがどれほど傷ついているか知っているか?町の人々に暴君だと言われ怯えられて。あの子がどれだけ辛い思いをしたか!」
思わず大声を出してしまう。くそ!冷静にだ。エリーにために。スカーレット様は怯えた表情でこちらを見ている。
「あなたには償いの機会を与えます。これから徐々にエリーの悪評は嘘だったと噂を流してください。やらないと言うなら。ジョッシュを王様に突き出します」
スカーレット様は苦虫を噛み潰したような顔で
「分かったわよ。やるわよ」
と言った。ふーー。次はジョッシュだ。
「ほら。解毒剤だ」
僕はそう言ってビンを渡した。
「あ、ありがとうございます!」
ジョッシュは嬉しそうだ。良かったなジョッシュ。
「じゃあもう一本」
僕はジョッシュに向かってもう一度針を刺した。
「いた!え?何で?!」
「お前が逃げるかもしれないからな。これから定期的に毒を打つ。解毒剤はそのときと交換だ」
「そんなー!そりゃないっすよ!」
ジョッシュは懇願するが聞き入れるつもりはない。
「後お前には万が一殺されたときのために遺書を書いてもらう。これはお前を守るためでもある」
スカーレット様がジョッシュを消しにくるかもしれないからな遺書は必要だ。
「スカーレット様。紙とペンはありますか?」
「そこにあるわよ」
スカーレット様が机を指さした。そこにあった紙とペンでジョッシュに遺書を書かせた。これで大丈夫だろう。
「今からこのことは3人だけの秘密です。スカーレット様がエリーの悪評を取り除いてくれればジョッシュも開放します。いいですね?」
「わかったわ」
「分かりましたっす」
二人は頷いた。ふーー。こんなところだな。
後日。エリーと街中に行ってみるとなんか前よりも怯える人が減った気がする。スカーレット様が噂を流してくれたようだ。だが一度ついてしまった悪いイメージはそうそう変わらない。これからもスカーレット様には頑張ってもらわないと。
「なんか町の人が私を怯えなくなったんだけど。これルークのおかげ?」
エリーは不思議そうに僕を見つめてくる。
「さあ。分かりません」
僕はそう言ってとぼける。ちょっとスカーレット様を脅したりとかしたからな。なるべく黙っておこう。
「そう。ならいいけど」
エリーはそう言って歩き出した。良かった。エリーが幸せならそれでいい。するとエリーが走って戻ってきた。なんだ?
僕の下に来た後エリーがそのまま抱き着いて突然キスをしてきた。2度目のキス。やっぱりエリーの唇は柔らかかった。
「なんか知らないけど、突然キスしたくなったの!よかったわね!」
エリーは顔を赤くしながらそう言い残して走って行ってしまった。エリーはすべて分かっているみたいだ。エリーに隠し事はできないな。
「ちょっと待ってよ!エリー!」
僕も顔を赤くしながらエリーを追いかけた。




