「暴君」エリザベス
前回のあらすじ 久々に魔法を使いました。
エリーと庭で遊んだ後、僕は夕食の準備や片付け、掃除をした後、お風呂に入っていた。夕食はこれからだ。そしてお風呂の中で改めてエリーの悪評を取り除く方法を考えていた。
「うーん。この前は第二皇女スカーレット様にエリーの悪い噂を否定してもらおうという結論に至ったんだよね。何かスカーレット様が関わっている証拠でも見つかればいいんだけど」
お風呂でぷかぷか浮いていると、兵士の人が風呂場に入ってきた。
「おーい、行儀悪いぞー」
「すいません!」
僕はすぐに浮くのを止めて湯舟にきちんと浸かる。
「危なー。ウェインさんだったら何て言われていたか」
僕は肝を冷やしながら安堵した。兵士の人で良かった。あれ?そう言えばエリーが雪山で遭難していた時、兵士の人は一緒じゃなかったのか?護衛はいたはずだよな?
「これは明日エリーに遭難していた時の状況を聞かなければ」
僕は風呂から上がって、自分の部屋に戻り、すぐに寝た。
次の日の午後。エリーはアフタヌーンティーを楽しんでいる。さすがに一緒に楽しむわけにはいかないので僕はエリーの傍で立ちながら談笑している。
「ルークも座って一緒に楽しみましょうよ」
エリーはクッキーを食べながら僕も誘ってくる。
「いや。さすがにまずいよ。僕は立ったままで大丈夫だから」
「別にいいのに」
エリーは不服そうだが、僕は執事だ。そこはちゃんとしないと。そうだ!エリーが遭難した時の話を聞かなければ。
「ねえ、エリー。僕たちが初めて会った時の事覚えてる?」
「もちろん覚えてるわ。あなたが私を裸にして楽しんでいたわよね」
「だから誤解だよ!楽しんではないよ!」
「ふふっ」
エリーは嬉しそうに笑う。まったくいたずらっ子め。
「そうじゃなくて、エリーが遭難していたときの話を聞きたいんだけど・・」
僕の声を聞いたエリーは黙ってしまった。だれも自分が遭難したときの話なんてしたくないだろう。でもエリーには話してもらわないと。
「ごめんよエリー。でもエリーの悪評を取り除くのに必要かもしれないんだ。あのとき約束したから」
僕は申し訳なさそうにエリーを見る。するとエリーがゆっくりと顔を上げた。
「え?あのときの言葉本気だったの?私を元気づけるために言ったと思ったけど」
「僕は本気だよ。エリーが悪く言われるのは嫌だからね」
僕はまっすぐにエリーを見つめる。エリーは照れたのか顔を伏せた後ゆっくりと話し始めた。
「あの日は珍しく兵士の人が外についてきてくれるって言いだして。外出なんて久しぶりだったからうれしかったの。そこで城下町を見て回った後、突然兵士の人が見せたいものがあるとか言って私を森に連れて行ったの。そしたらいつの間にかいなくなってて、吹雪も強くなってきて」
エリーはとても辛そうだ。くそ!その兵士許せない。おそらくわざとエリーを森に置いて行ったんだ。
「その兵士の名前は分かる?」
「たしか、ジョッシュって名前だったわ」
「分かった」
よし。そのジョッシュに話を聞く必要がありそうだ。少々痛い目を見てもらうか。
その日の夜。
ジョッシュはいつも通り風呂に入った後、宿舎に戻ろうとしていた。
「はあ。今日も疲れた。それにしても金欲しいなー。またスカーレット様のいう事でも聞いてお小遣いでも貰おうかね」
そんなことを口走りながら意気揚々と道を歩いている。その時、
「動くな」
幼い男の声と共に首元にはナイフが突きつけられている。な?何が起こっている?
「動いたら殺す。こっちを向いても殺す。今から言う質問に答えろ」
ナイフがさらに自分の首に近づく。くそ!状況がまったく飲み込めない。だが逆らったら殺されるのは分かる。
「わ、分かった」
かろうじて声を出す。こいつ俺から何を聞き出す気だ?
「以前エリザベス皇女を雪山におきざりにしたのはお前か?」
幼い声からは怒りが伝わってくる。まずい。俺だとばれたら殺される。
「ち、違う!俺じゃない!」
俺は必至に声を出して叫ぶ。すると背中に痛みが走った。
「いた!」
思わず声が出る。何だ?何をされた?
「今お前に毒を塗った針を刺した。このままではお前は3日以内に死ぬだろう。本当のことを言え」
な。3日以内に死ぬ?嘘だろ?嫌だ。まだ死にたくない
「わ、分かった。何でも話すから許してくれ」
「まずお前がエリザベス皇女を雪山に置き去りにしたんだな!」
「ああ。そうだ。でも命令されたんだ!」
「誰に?」
「スカーレット様だ!仕方なかったんだ!」
「今からスカーレット様のところに行く黙ってついてこい」
そして僕たちは王宮に向かった。途中兵士たちに止められたが。同じ兵士のジョッシュに話をつけてもらい、スカーレット様の部屋まで行くことができた。
よしここからが本番だ。僕は気合を入れ直した。




