執事になった
前回のあらすじ 王宮に連れていかれた。
引っ張られるようにして王宮まで歩かされると僕は甲冑の人と一緒に巨大な門をくぐる。門だけで僕の小屋くらいの大きさはある。
僕の小屋が小さいのか扉が大きいのか考えようとしたが空しいのでやめた。
門をくぐると目の前には巨大な城がそびえたっていた。左右には小さな塔が建っており、中央にはひと際大きな塔が僕を見下ろしている。
普段遠くから眺めるだけだが、近くで見るとすごい迫力だ。今からこの中に入るんだよな。
「付いてこい」
兵士の人はどんどんと進んでいく。僕は必至についていくので精一杯だ。しばらく歩くと城の玄関らしきものが見えてきた。
兵士の人は玄関につくとドアについている取ってを二回コンコンと鳴らした。
すると内側からドアが開き、中には五人のメイドさんが横一列に並んで出迎えてくれた。あたりを見回すと中央には大きな階段があり、赤い絨毯、大きなシャンデリアが目に入った。
すごい。ここが王宮か。死ぬまでに入れるとは思わなかったな。
「おい。後はメイドたちについていけ」
そう言い残して兵士は城の外へ歩いて行ってしまった。
「ありがとうございます」
とりあえずお礼を言っておいた。聞こえていたらいいけど。
その後メイドたちについて行くとまずお風呂に入れられた。五人のメイドが僕の体を隅々まで洗っていく。母意外の女性と生まれて初めてお風呂に入った。なんか緊張した。
次に上等な服に着替えさせられていかにも執事っぽい白髪のおじいちゃんに会わせられた。背筋がピンとしていて優しそうだが同時に厳格さも感じる顔だ。
「いいですか?これから国王様の御前に向かいます。決して失礼のないように」
執事っぽい人は険しい表情をしながら僕にくぎをさした。
「王の御前についたら片膝をついて、いいと言われるまで顔はあげないでください。それさえ守っていれば殺されることはありません」
執事っぽい人はにっこりと笑っている。え?逆に守らなかったら殺されるの?やばい緊張してきた。
「それでは参りましょう」
執事の人は姿勢を全く崩さずに歩き出した。僕もできるだけ真似して良い姿勢で歩く。
しばらくして、ひと際豪華なドアについた。赤をベースにして、ところどころに金の装飾がしてある。執事の人が
「お連れしました」
と言うと、ドアがゆっくりと開いて執事は部屋の中に入っていった。僕も慌てて後を追う。真っ赤な絨毯の上を歩いていくと、大きな椅子に座った老人とその傍に4人の女性が控えていた。王様に一番近い女性は年齢的にも王妃様だろう。ということは残りは皇女様たちか?
ある程度近づいたところで執事がいきなり跪いたので僕も慌ててその場に跪く。執事に言われた通り顔を下げていると椅子に座った老人が
「楽にしてよい」
と言った。執事が顔を上げたので僕も続いて顔を上げる。老人を見てみると、白髪に白いひげ。頭には王冠を被っており、頬杖をついている。いかにも偉い人だ。この人がこのアレイスター王国の国王様だろう。
「まずは貴様の名を聞こうか」
王様の声は威厳で溢れている。思わずひれ伏してしまうような声だ。
「ルークです」
僕は失礼のないように顔しっかりと王様の顔を見て言った。
「そうか。ルークか。そなたが我が娘エリザベスを助けたというのは本当か?」
王様は傍にいる女性の一人に目を配った。視線の先には僕がこの前助けた女の子がいた。エリザベスもいたのか緊張で全然周りが見えてなかった。
エリザベスはニヤニヤしながらこちらを見ている。何で笑っているんだ。とにかく質問に答えなければ。
「はい。本当です」
僕は正直に答える。自分もまさか助けた女の子が皇女様だなんて思わなかった。
「そうか。まずは礼を言おう。それで褒美なのだがエリザベスたっての希望でエリザベス専属の執事にならないか?」
王様は真剣な顔で言った。え?エリザベス専属の執事?というか褒美ってもっとこうお金とか地位とかじゃないの?
エリザベスの方を見ると相変わらずニヤニヤしている。そういうことか。でも王様のお願いなんて断れる訳がない。
「はい。喜んでお受けいたします」
僕は思ってもないことを口にした瞬間4人の女性の内一人が口を挟んできた。
「私は反対です。奴隷の者を執事にするなんて!」
妙に化粧の濃い女性は怒った顔で王様を見ている。多分この人は第二皇女様だ。新聞で見たことがある。名前は確かスカーレット様だ。すると王様を挟んで反対側にいる女性が口を開いた。
「まあまあいいじゃない。エリーの命の恩人でしょ?」
おっとりとした雰囲気の女性は第二皇女様をなだめるようにそう言った。多分この人は第一皇女様だ。名前は確かバイオレット様。この中で一番大人っぽい雰囲気を醸し出している。
「もうこれは決まったことだ。スカーレット、口を挟むんじゃない」
王様はスカーレット様を叱っている。迫力がすごい。それを聞いたスカーレット様は苦虫を噛み潰したような顔でこちらを睨んできた。いや、こちらを睨まれても。
「これでいいな。エリザベス」
「はい。お父様。ありがとうございます」
僕が助けた少女エリザベスは嬉しそうに王様に感謝した。
「うむ。それではルーク。お前は今日からエリザベス専用の執事とする」
「はい。ありがとうございます!」
思ってもないことを口にして僕は心の中で泣いた。
こうして僕はこの国の第三皇女エリザベス様の専属の執事となった。
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