ナーシャの誘拐
あれから2日後。ローズ学長に治してもらったのですぐに遺跡にきました。気持ち的にはもう少し休みたかった気もするけど、僕にはエリーと結婚するという使命があるため一日も無駄にできません。二人も心よくついてきてくれました。
ナーシャはゴーレムにリベンジしないと気が済まない様子で、ベントは心境の変化があったようで昨日ダンジョン攻略を手伝うと言ってくれました。この前のゴーレム戦で何かあったのかな。とにかく本当にうれしい。はじめは闇魔法目当てだったけど、今では大切な仲間です。あとはナーシャと仲良くなりたいのだけど何かきっかけがあればなー。
そう考えていると、遺跡にたどりついた。今回で二度目のチャレンジになる。
「よし。とりあえず地下に行こうか」
僕が先導して中に入り中央の階段を下りる。するといつも通り壁いっぱいに通路がある。しかし昨日倒したはずのゴーレムが跡形もなく消えていた。
「・・あれ?昨日のゴーレムがないね」
「たぶんこの遺跡が取り込んだんじゃないかな。そもそも地面の穴から出てきたし」
ゴーレムの素材は遺跡の壁と同じなので、もしかしたら何体もゴーレムがいるかもしれない。そうなったらここの遺跡は諦めよう。
「ほら早速正解の道を探すわよ」
ナーシャが先に行こうとする。
「待って!僕に考えがあるから。それにまたゴーレムがでてきちゃうよ!」
慌ててナーシャに声をかける。
「別にいいじゃない。私はあのゴーレムを倒しにきたんだから」
ナーシャはやる気満々だ。でもそれは困る。
「だめだよ!今は遺跡の攻略優先で行こう。昨日はベントがいてなんとか勝てたんだから」
「うるさいわね!私はあのゴーレムを倒すって決めたのよ!邪魔しないで!」
ナーシャは聞く耳を持たずにそのまま行ってしまった。ああもう。本当にわがままなんだから。子供のころのエリーみたいだ。隣にいたベントが僕の袖を引っ張る。
「・・どうするルーク?」
「うーん。とりあえず万が一、ナーシャが正解の道にたどり着いたら何があるか分からないから一緒にいよう。昨日数えてたんだけど、たぶん10回不正解の道に行ったらゴーレムが現れる仕組みだと思う」
「すごいねルーク。そんなこと数えてるなんて」
「たまたま数えていただけだよ。だからゴーレムと戦闘になると思うけど。ナーシャが満足するまで戦ってもらって、危なくなったら僕たちで回収しようか」
「・・分かった。ナーシャの安全第一でいこう」
そしてナーシャが10回道を間違ったとき案の上ゴーレムが出てきた。
「今度こそ倒してあげるわ!ファイアボール!」
ナーシャはゴーレムに走っていった。僕たちはナーシャに思う存分戦ってもらうため見守ることにした。初めは互角に戦っていたが、徐々にナーシャのスタミナが尽きてきて攻撃を食らってしまうようになった。しかもゴーレムはやっぱり頑丈でナーシャでも少し傷がつく程度だ。
「ナーシャそろそろ一回遺跡を出ようよ。そしたらゴーレムもいなくなっているはずだから」
「いやよ。私がゴーレムを倒すまでは出ないわ!」
もう体はぼろぼろなのにまだまだ戦いたりないみたいだ。本当に頑固だなー。そういえばこの前のベントの魔法について聞いてなかったな。
「そう言えばこの前のの変身する魔法って制御できる?」
「うーん。多分まだ厳しそう。部分的にだったら出来るかもしれないけど」
「そっか。でも今使うのは危険かもね。もし暴走したら僕だと止められないかもだから。今度先生がいるときに練習しよっか」
「うん」
ドーン!大きな音がした方をみると、ナーシャが壁に打ち付けられていた。まだ意識はあるみたいだ。そろそろ助けないと。
「ベント!ゴーレムを引き付けといて。僕がナーシャを回収するから」
「分かった!シャドウボール!」
ベントが魔法を打ってくれている隙にナーシャの下へ走る。そしてナーシャをそのまま抱きかかえた。
「ちょっと!放しなさいよ!まだいけるわ!」
「暴れないで!もうこれ以上は危ないから帰るよ!」
暴れるナーシャを抑えながらどうにかして階段を上って一階についた。ベントも後から無事に合流できた。
「良かった。ベント無事で」
「・・うん。あいつ足はそんな速くないから魔法さえ注意しておけば大丈夫だったよ」
さすがベントだ。頼りになる。腕にいるぼろぼろのナーシャを見る。
「もうぼろぼろじゃん。もうゴーレムと戦ったらだめだよ」
「ふん。なんであんたに指図されなきゃいけないのよ」
不満そうな顔でこっちを見てくる。まったくこの戦闘狂は。幸い傷を深くないし近くの町に行って傷を手当してもらおう。
僕たちが遺跡を出ようとしたとき、何者かが遺跡に入ってきた。数は3人。見るからに裏社会の人間だ。盗賊か?腰にはナイフがぶら下がっている。ナーシャを見ると顔が青ざめて尋常じゃなく震えている。知り合いだろうか?とにかくやばい相手には違いない。
「ベント。警戒して」
「うん。分かった」
僕はナーシャをそっと地面に置いて、相手を見る。とにかく目的を聞かなければ。
「何か用ですか?」
僕が話かけると、先頭にいる男が前に出てきた。歳は30代くらいの男性で、見るからにボスっぽい雰囲気だ。
「おい。そこの獣人族の嬢ちゃんを置いて行ったら命は見逃してやる。さっさとその女を置いて失せな」
ナイフをちらつかせて脅してくる。やっぱりナーシャ目当てか。しかも多分ナーシャはこの男を知っている。そう言えば初めてナーシャに会った時、ナーシャ目当てにたくさんの人が襲い掛かってきて両親もそのときに殺されたって聞いたな。こいつもそのうちの一人か?
「いやです!ナーシャは俺の仲間です。渡すつもりはありません」
「へー。そういいつつお前も仲よくなったふりをしていづれ裏切るつもりなんだろ?その女の価値をしっているか?そいつを売れば一生遊んで暮らせる金が手に入るんだぜ」
男は嬉しそうに語る。すると足に何かの感触を感じたので見てみると、ナーシャが僕の足のすそを握りしめていた。その手がひどく震えている。いったい何があったのだろうか?とにかく今はナーシャを守らないと。
「ベントは後ろの二人をやって。僕は正面のやつをやるから」
「うん。分かった」
僕たちは戦闘態勢を整えた。




