ケート先生との修行3
訓練場で二人の魔法使いが向かい合っている。一人は大人の女性。黒髪で目はキリっとしているのにどこか抜けた表情だ。もう一人は少年。白い髪をたなびかせその表情はやる気に満ちている。
「行きますよ!ファイアボール+ウォーターボール」
少年は訓練場全体に霧を発生させた。まずは目くらましか。でも
「ウィンドカッター」
私は風魔法で一瞬で霧を晴らす。私の属性は風魔法だからそれは悪手じゃないか。前を見ると少年の姿が見えない。
「いない?少年はどこに」
すると視界の右端から水の矢が飛んでくる。
「ポケット」
私はそれをポケットでそのまま跳ね返した。ドン。という音と共に地面がえぐれるが少年の姿はない。少年はおそらく「サンズ」で地面をもぐらのように移動している。だから地面が動いている先を狙えば
「ウィンドカッター」
風の刃が地面を切り裂いた。これで終わりかな。そう思ったが少年は未だにこちらに向かってくる。なんだ?魔法が当たると同時に相殺している?いや向こうからこちらの姿をうかがうことは不可能だ。そんなにタイミングよく魔法は打てない。
まあいい出てきたところを狙い打てばいいだけだ。私は右手を構える。穴まで一メートルというところで穴は動かなくなった。どうした出てこないのか?そう思ったとき
「ファイアアロー!」
背後の地面から少年が出てきて火の矢を放った。なぜ反対側に!
「ポケット」
私はそれをすぐに跳ね返す。少年も呼んでいたようで躱してこちらに向かってくる。どうする気だ?まあいい
「ウィンドカッター」
「ファイアアロー+ウォーターアロー」
私の風の刃を火の矢で相殺した後、水の矢を私のはるか頭上目掛けて放った。いったいどこを狙って。とにかく今は
「ウィンドカッター+ウィンドカッター」
風の刃同士を合わせてより貫通力を増した刃をルークに向けて飛ばす。死なないよな。少し焦ったが
「サンズ+ファイアボール+ウォーターボール」
ルークは土壁を作った後、火で熱した後一気に冷やすことで固い土壁を作りだした。バコーンという音と共に土壁が壊れ、横からルークが向かってくる。まずい彼との距離は3メートルだ。もう一度魔法を打とうとしたとき
「いった!」
背後から水の矢が飛んできた背中に直撃した。どうして。そうかあの頭上に放った矢か。理屈は分からんが。やられた。
「これで終わりです先生!ファイアボール!」
ルークは至近距離で私に魔法を放った。ルークまで一メートルというところだこれではルークとの間に空間をつなぐ穴は作れない。私のポケットは生物には使えない。これは負け・・ではないな。
「ポケット」
「え?うわああああーー!」
ルークは突然上から降ってきた何かに押しつぶされた。いったい何が起こって・・
「勝負ありだな」
先生はどや顔で見下ろしてくる。いきなり降ってきたこれは?机?何でいきなり。先生はどこからこの机を持ってきた?
「まあまあおしかったな。一撃入れられたのは初めてだし。ちょっと驚いたわ」
ちょっとなのかよ。まだまだ余裕があるみたいだ。この先生は
「というかこの机は何ですか?重いんですけど」
「今どかすよ。私の「ポケット」は空間を繋げる能力じゃない。今まで魔法を受けたらそのまま跳ね返すことしかしてこなかったから勘違いしただろうが、本当の能力は異空間への物体の収納だ」
先生は机をもう一度空間の穴に入れた。
「異空間への物体の収納?どういう事ですか?」
「私は生物以外の物体を異空間に収納して好きな時に取り出すことができる。一度に一つの物体しか取り出すことはできないけど。それと運動エネルギーは保存されるから。穴に収納した速度で取り出すときには出てくる。つまり思いっきり投げ入れたら、出てくるときも思いっきり出てくるって感じかな」
妙にわかりにくいけど。そうだったのか。まんまと騙された。今までは僕の魔法を収納してはすぐに取り出していたから空間を繋げる魔法だと思っていた。そうか。収納したままでも良かったのか。
「当然数に限りはあるけどね。数で10個しか収納できない。他にはナイフとかやばめの武器とかを収納してる」
机で良かった。やばめの武器だったら死んでいたかも。
「で?私の背後を取ったのどうやったの?」
「あれは霧を作った後、ウォーターボールとサンズを発動させて地面を潜りながらウォーターアローを作ってその後はウィンドカッターで地面を掘って先生に僕が向かっていると勘違いさせた隙に僕は穴を戻って反対側に向かってサンズで穴を掘ったんです」
「ん?つまり一つはウィンドカッターで地面を掘っていて、その隙にサンズで自分は地面を掘って移動していたということ?」
「そんな感じです。まあ陽動作戦ですね」
「じゃああの水の矢が戻ってきたのは?」
「あれはフロウも同時に使ってたんですよ。先生に土壁を作るときに3つ魔法を同時に使ったのでフロウがきれちゃったんですけど、矢の勢いが残っててなんとか当たって良かったです」
「なるほどな。まあ今回は惜しかったな。次も頑張れー。ポケット」
先生はそう言って異空間からお菓子を取り出した。なんて贅沢な使い方だ。でも今回は惜しかった。やっぱり魔法使い同士の戦いは発想と相手を騙すことだ。
今日で何かを掴んだきがする。次はケート先生に勝つぞ!僕は寮に戻った。




