ドラゴンの卵
僕たちは慎重に森を進んでいく。ケート先生にドラゴンって森のどこら辺にいるんですか?と聞いてみたが、知らんの一言だけ頂いた。
要するに手探りで探すしかないのだけど、
「とりあえず、あの一番高いところにある大きな木を目指そうか」
僕はひと際大きな木を指さした。高いところからだったらドラゴンも見つけやすいだろう。学長先生によればドラゴンは20メートルほどの大きさで口から火を吐くらしい。それに翼もあってとかげのような見た目をしているとか。
正直勝てる気がしないけど、ダンジョンにはドラゴンのような生物も存在するのだろうか。いつかドラゴンにも勝てるようにならないと。
「・・なんか思ったより平和だね。もっと魔物とかもでると思ったけど」
「そうだね。なんでだろう?」
この世界には魔物が存在するらしい。まあ王国内の魔物はほぼ討伐されているので国外にでれば見ることもあるかもしれない。
このドラゴンは最近この森にやってきたようでまだ討伐されていない。ドラゴンは人を食べないので人を襲うことはめったにないため後回しにされているって先生が言っていた。
周りは木でいっぱいだ。だがリスなどの小動物も見当たらない。これもドラゴンの影響なのだろうか。
そんなことを考えていると一番高いところにある木についた。近くで見ると本当に大きい。
「この木本当に大きいね」
「・・・うん。こんな大きな木初めてみたよ」
「じゃあここからあたりを見回してみようか」
「・・・うん」
あたりを見回してみたが、ただ森が広がっているだけだった、しばらく探してみても特に不審な場所はない。
見当たらないなー。でもドラゴンって卵をどこに生むんだろう。簡単に見つかるところにはないよなー。洞窟とかか?それとも・・もしかして!
「ベントここで待ってて!」
「・・・分かった」
僕は大きな木をよじ登り始めた。逆に一番高いところのほうが安全なんじゃないか?もしかしたらこの木の一番上に、
僕は必死によじ登る。なんか魔法で浮いたりとかできないかなー。するといつのまにか一番高いところについた。頂上は幹のところがくぼみになっていて、学園の訓練場くらいの大きさがある。
「ふー。やっとついた。それにしても広いなー。ん?あれは」
真ん中に葉っぱや木の枝が集められている場所がある。あれは巣か?僕は巣に向けて走った。そこには鶏の卵の5倍くらいの大きさの卵があった。
「あった!間違いない!ドラゴンの卵だ!」
僕はドラゴンの卵を先生からもらった予備のローブでくるみ両手で持ち上げた。
「思ったよりも軽いな。とにかく割らないようにしないと」
僕は大事に抱えながら登ってきた方へ向かう。そして下にいるベントに合図してみた。
「おーーい!!あったよーー!!」
叫んでみたが聞こえてないみたいだ。ベントを見るとなんか焦っている様子で身振り手振りしている。なんだ?ベントは声小さいから、聞こえないなー。
「ん?上?」
上を見てみると、何かが上空から迫ってきている。近づくにつれ凶悪な体が見えてくる。あれはまさか。
「ぐるわああああああああああああああ」
「うわあーー!!!」
大きな咆哮と共にドラゴンが姿を現した。近くで見ると迫力がすごい。自分の何倍の大きさがあるんだ?考えるのも馬鹿らしい。
あれ?なんか口から火がもれでてるような。そんな怖い顔してどうしたの?口を大きく開けてこちらに迫ってくる。
「おいおいおい!ダメだってーーー!!」
ドラゴンの火がどんどん向かってくる。後ろは道ないし、正面は火だし。もう落ちるしかない!僕は卵をかかえたまま木から飛び降りた。
「うわああああーーー!死ぬーーー!!」
その時走馬灯のように子供のころ木から落ちるエリーを助けた日のことを思いだした。そうだ!
「フロウ!」
自分自身にフロウをかける。すると体が浮き上がってなんとか着地することができた。
「あっぶなー。死ぬかと思った」
するとベントが駆け寄ってきてくれた。
「・・大丈夫?でも空を飛べるなんてすごいよ」
「自分もびっくりしたよ。まだちょっとの時間しか無理みたい。それより早く逃げないと!」
僕たちは来た道を走る。振り返るとさっきまでいたところが火に包まれている。はやく逃げなければ死んでいた。でもここは木がいっぱいあるし上空から僕たちを見つけるのは不可能だろう。
「ふーー。ここまでくれば大丈夫だよね」
「・・そうだね。・・あぶない!シャドウカーテン!うわああああーーー!
「ベント!」
突如後ろから来た激しい炎をベントがシャドウカーテンで守ってくれた。しかしベントが風圧で吹き飛んでしまう。慌ててベントに駆け寄ったが意識を失っていた。
「ベント!大丈夫!ベント!」
息はあるし気を失っただけみたいだ。ベントのローブが弾けた。先生のローブがないと死んでいたかもしれない。どうする?ベントを担いで逃げるか?いや追いつかれる。あいつは卵ごと僕を燃やそうとしてきた。たぶん卵を返したところで僕たちを許してくれないだろう。
僕たちの居場所が分かったのはたぶん嗅覚が優れているんだ。だから上空からでも僕たちの居場所が分かったんだ。
「それなら。隠れていても無駄だ。このままだと二人ともやられる」
そのときベントが僕の腕を掴んだ。
「・・僕を置いて逃げて・・」
ベントがかすれた声で僕に言った。そんなこと出来るわけないだろう。ここで見捨てたらエリーに顔向けできない。それにここで逃げるようではダンジョン攻略なんて夢のまた夢だ。
「よし!ベントここで待ってて。サンズ」
僕はサンズで土の中にベントと卵を隠した。多分これでベントは見つからないだろう。僕がヘイトをかっていればベントは安心だ。
「死ぬかもな今日。いやまだ死ねない。エリーと約束したんだ!」
僕はドラゴンに向かって走り出した。




