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ベントを誘ってみた

 ドラゴンの卵を取りにいくことになり、僕はナーシャとベントを誘うことにした。これを機会に二人と仲良くなりたい。


 とにかくナーシャだ。僕は部屋に戻った後、ベットで横いなっているナーシャに声をかけた。


 「ねえ。今度休みの日にドラゴンの卵を取りにいかない?」


 「死ね」


 「そ、そうだよね」


 いきなりそんなこと言われても無理だよね。はあ。プリンができたら彼女にも分けてあげよう。よし、次だ。次の日僕は授業を受けた後、一人で椅子に座っているベントを誘ってみた。


 「ねえ。今度の休みにドラゴンの卵を取りに行かない?」


 「え?・・いいけど」


 「いいの?!本当に?!」


 「うん」


 自分で言うのもなんだけどいいんだ。もしかして戦闘が好きだったりするのかな。


 「もしかして戦うのが好きとか?」


 「いやむしろ好きじゃないかな」


 好きじゃないのかよ。


 「じゃあなんでオッケーしてくれたの?」


 「僕あんまり友達いないから・・喋りかけてくれたのが嬉しくて・・」


 ベントは俯きながら小声でこう言った。髪が長いせいで余計に表情が見えない。でもたしかに授業中とか一人だったかも。


 「えっと。なんでか聞いていい?」


 自分でもデリカシーないとは思うけど仲良くなりたいし聞こう。


 「・・・僕のお父さんがガルガンダ帝国の軍に入ったんだ。もともとお父さんは闇魔法が使えてこの国の軍でも強かったみたいなんだけど。あるとき急に僕を置いてガルガンダ帝国に行ったんだ」


 「そうだったんだ・・」


 ベントは悲しそうな声で言った。自分の父親がいきなり敵国に寝返ったなんて辛かっただろう。それに周りからも白い目で見られていたはずだ。僕はベントを見てまだ暴君と言われていたころのエリーを思いだした。なんとかしてあげたい。


 「もしかしてお父さんに会いたい?」


 「・・うん。お父さんはとてもやさしい人だった。そんなお父さんが裏切るなんて思えない。きっと理由があるんだと思う。だからお父さんにあってそれを確かめたいんだ」


 ベントの声にはいつもより力があった。


 「それなら今度会いにいこうよ。僕も協力するよ」


 「・・え?でもどうやって?」


 「君も超越者にならないか?」

 

 なんかかっこつけて言ってみた。


 「超越者?!あのダンジョンを攻略した人たちのこと?!」


 「そう!僕の目標は超越者になって今の冷戦状態を終わらせることなんだ!」


 「・・そうなんだ。でも僕は別に・・」


 当然ベントは乗り気ではなさそうだ。


 「もし冷戦状態が終わったら、ガルガンダ帝国にも入れるようになるしきっとお父さんに会えるよ!僕と一緒にダンジョンを攻略しない?」


 ベントは考え込んで黙ってしまった。


 「・・・うーん。まあ考えておくよ」


 まだ良い返事はもらえなかったか。でも闇魔法のベントはぜひ仲間にほしいからな。あとで学長先生にもベントのお父さんについて聞いてみよう。


 「分かった。とりあえず、ドラゴンの卵一緒に取りに行こうね」


 「うん」


 そして次の休みの日までベントと一緒に授業を受けていろいろな話をした。ベントのお母さんはとてもやさしくて強い人で今まで裏切りものの妻として嫌がらせなども受けたようだが、気にせずにベントをここまで育ててくれたらしい。


 父親が急にいなくなったのは5年前のことらしい。そしてガルガンダ帝国との小競り合いのときに自国の魔法使いがガルガンダ帝国の魔法使いの中にベントの父親がいるのを発見したそうだ。


 ベントがダンジョン攻略を手伝ってくれたら心強いのだけど。なんとか説得したいな。


 そしてドラゴンの卵を取りに行く日になった。


 僕とベントはケート先生にもらった結界つきのローブを身に纏っている。なんだかんだで優しい人だ。そして念のための食糧とアズール森の地図を持っていざ出発だ。


 アズール森へは馬車で行く。近くの村まで片道2時間でつくので頑張れば日帰りで帰れるはず。最悪野宿だな。


 「それじゃあ行こうか」


 「うん」


 僕とベントは馬車に乗り、アズール森へ向かった。馬車に乗るのは2度目だが案外快適だな。奴隷生活に比べたらこのくらい平気だ。ベントを見ると、少し気分が悪そうだ。


 「大丈夫?ベント」


 「・・・うん。大丈夫」


 明らかに大丈夫ではないけど。まあ本人が言うなら平気か。僕はローズ学長に言われたことを思い出した。


 「まずドラゴンにあったら逃げることいいですね?」


 「分かりました。でもどのくらい強いんですか?」


 「そうですね。軍の魔法使い5人でようやく勝てるくらいでしょうか。」


 軍の魔法使い5人いないと勝てないのか。僕たちはまだ学生だしさすがに無理か。言われた通りドラゴンにあったら逃げよう


 「今回は卵を盗むだけですので、隠密行動が大事です。ドラゴンがいないときを狙って即奪取、即離脱です」


 「分かりました」


 学長に言われたことを思いだしていると目的地についた。村は閑散としていて人の姿が見当たらない。どうかしたのだろうか。いやな予感がするが大丈夫だろう。僕たちは馬車を運転してくれた人にお礼を言って別れた。


 「・・・人があまりいないね」


 「そうだね。まあ気にせず行こう」


 僕たちはアズール森に入っていった。遠くで何かが叫ぶ音がした。


 

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