王宮に連れていかれた
前回のあらすじ 女の子を助けたら第3皇女様でした。
「私はフランソワーズ・ヴォン・エリザベス3世、この国の第3皇女よ!」
金髪の少女は腕を組みながらどや顔でそう言った。でも確かに雰囲気からは偉い人特有のオーラがある。
「えっと。本当に皇女様?」
僕は現実を受け止められない。とんでもない人を助けてしまったらしい。彼女は相変わらず僕を見下している。
「ふん。この第3皇女様を誘拐するなんていい度胸ね!速攻で死刑確定よ!」
少女は僕を指さしながら死刑を求刑してくる。まずいこれは誤解を解かなければ。
「皇女様。昨日は雪の中倒れているあなた様を見つけてここに連れてきたのですやましいことなどありません」
僕は敬語を使い必死い弁明する。文字通り命がかかっているのだ。
「昨日?そういえば私雪の中倒れて・・・」
皇女様は思い出したようで一瞬悲しい顔になったがすぐ元の顔に戻った。
「そう。それでその後裸にして楽しんでいたわけね」
少女は汚物を見る目でこちらを見てくる。
「違うよ!服が濡れていたから脱がして乾かしていただけだよ!」
思わずため口で弁解してしまった。断じて違うのだ。
「ふーん。どうだか」
少女は信じてくれてない様子だ。僕の命もここまでかもしれない。だがなぜ女の子があんな場所に一人で。
「それで皇女様はなぜあんなところに?」
僕は正座のまま少女に聞いてみる。皇女様は苦虫を噛み潰したような顔で
「くそ!あの兵士ども!きっと姉さまたちの差し金だわ!」
と地面を踏みつけて怒りをあらわにしている。姉さま?第一皇女と第二皇女のことだろうか。
そういえば第三皇女といえばとにかくわがままで巷では暴君と呼ばれて恐れられているんだったっけ。気に入らない料理人を速攻でクビにしたり、メイドをいじめて辞めさせたりしたとか。
僕はとんでもない人を助けてしまったのでは?でもこれからどうしよう。
「えっとこれから僕はどうすればいいんですか?」
皇女様は地面を踏みつけるのを辞めこちらを見た。
「そうね。とにかく私を王宮へ連れて行きなさい!これは命令よ!」
皇女様は指を指して命令してきた。王宮に?いやでもいつまでもここに置いておくわけにはいかないし。しかたない。
「分かりました。とにかく芋を食べて下さい。王宮まで持ちませんよ」
僕は芋を皇女様に手渡す。
「はあ?何で私がこんな芋を」
「王宮に帰るためですよ。嫌ならここで一生芋生活です」
それを聞いた皇女様は嫌そうな顔をしてとてもまずそうに芋を食べた。僕たちはこれを毎日食べて生活しているんだぞ。
皇女様が芋を半分だけ食べたところで早速出発することにした。外の吹雪は止んでいて、太陽がとても暖かく感じる。王宮まで歩いて2時間と言ったところだ。
意外にも皇女様は文句を言わずについてくる。昨日相当つらい思いをしたのだろう。雪山で凍死寸前だったんだ無理もない。途中まで暇なのであの噂について聞いてみることにした。
「皇女様。気に入らない料理人を速攻でクビにしたり、メイドをいじめて辞めさせたりしたって本当ですか?」
後ろをおとなしくついてくる少女に尋ねる。少女は少し疲れた声で
「本当よ」
とだけ答えた。噂は本当だったみたいだ。でも僕にはこの少女が人をいじめるような人間には思えない。
「本当ですか?」
「本当よ」
「本当の本当ですか?」
「あーもう。うるさいわね!本当よ!」
少女はかたくなに認めようとする。こうなったら
「本当のことを話さないならまた家に帰りますよ?」
それを聞いた皇女様はぐぎぎと言って小さな声で喋り始めた。
「その料理人とメイドは姉さまとか同僚にいじめられていたのよ。だから辞めさせてやったの」
少女は悲しい表情をしている。本当は助けたかったのかもしれない。やっぱりこの皇女様はいい人だ。僕は彼女を無事に送り届けることを誓った。
1時間ほど歩くと城下町についた。この国は3国ある大国のうちの一つで3国はお互いに牽制しあっている。まだ大きな戦争が起こっていないのが幸いだ。
その3国の中でも最も平和なのがこの国アレイスターだ。城下町は賑わっており、人々の顔には笑顔が見られる。
だれも皇女様がこんなところを護衛もつけずに歩いているとは思わないだろうな。
「ちょっと。おなか空いたわ。なんか買いなさい」
少女は腕を引っ張って命令する。
「でも。僕奴隷だからお金なんてあんまり」
本当にあまりない。城下町で買う余裕など僕にはない。
「そう。あなた奴隷だったの。通りであのぼろ小屋に住んでたわけね」
少女は腕を離して先に進もうとする。本当にいい人だ。
そしてついに王宮前についた。
「ふーー。無事につきましたね」
「案内よくやったわ!褒美はいずれあげるから待ってなさい!」
そう言って少女は門番の下に行き大きな扉の中に消えていった。
褒美ってなんだ?でもまさか皇女様を助けるなんて。母親が言っていたことは正しかったのかもしれない。いずれ僕の人生を変えてくれるかも。まさかね。
僕は家に向かって歩く。帰ったら僕がいないことに気づいて主人が殴ってくるだろうな。まあもう殴られるのは慣れてしまったが。
帰ったら案の定殴られた、いたい。
数日後僕がいつも通り畑仕事をしていると甲冑を着た兵士が僕に向かって歩いてきた。誰だこの人は?
「お前が先日第3皇女様を助けたやつか?」
どすの聞いた声で尋ねてくる。
「えっと。そうですけど」
たぶん王宮専属の兵士のひとだ。なんの用だろう。
「第3皇女の命により貴様を今から王宮に連れていく」
そう言って僕の腕を掴み強引に引っ張ってくる。
「ええええーーー!!たすけてーーー!!」
僕は引っ張られるようにして連れていかれた。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!
めちゃくちゃうれしいです!
これからもよろしくお願いいたします!




