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エリーが結婚することになった

 前回のあらすじ エリーが結婚することになった。


 「結婚ですか?でも私は結婚なんてする気は・・・」


 「だめだ!これは決定事項だ」


 「何でですか?納得できません!」


 エリーは納得いかない様子でその場に立った。でもなんで?いきなりすぎるだろ。


 するとお后様がエリーをなだめるように話始めた。


 「今、わが国アレイスター王国と、聖キリシュタリア教国、ガルガンダ帝国とが冷戦状態にあるのは知っていますね?」


 「はい。それは知っています」


 「ですがガルガンダ帝国は軍事に力を入れている国です。それに「超越者」が5人もいます。このままでは我が国と、聖キリシュタリア教国は力の均衡を保てません。そこで二か国とで同盟を結ぶことにしたのです」


 ガルガンダ帝国は軍事大国というのは聞いたことがあるが、「超越者」が5人も。ダンジョンを攻略したものには女神からオリジナルの魔法を授けられる。そのオリジナルの魔法は強力で魔術師100人に匹敵するとか。その栄誉と畏怖から人々から「超越者」と呼ばれている。


 「それでなんで私が結婚することになるの?!」


 エリーは取り乱して声を荒げている。でもお后様はまったく動じていない。


 「あなたには聖キリシュタリア教国の第一王子と結婚してもらいます。そして聖キリシュタリア教国で過ごすことになります。」


 「な?!」


 結婚相手が第一王子だと?!それに聖キリシュタリア教国で過ごすってそれはまさか・・・。


 「そんなの人質じゃない!」


 エリーは唇を噛みしめている。


 「はい。そうなります」


 お后様は正直に答える。


 「でも!私じゃなくても姉さまたち・・」


 エリーは途中まで言いかけてやめる。エリーのいいたいことはすごく分かる。なぜ第三皇女のエリーなんだ?


 「ごめんね。エリー。出来ることなら変わってあげたいけど、向こうの第一王子がエリーを指名してきたみたいなの」


 第一皇女のバイオレット様が申し訳なさそうに答える。くそ!なんでよりによってエリーを!


 「それでもいやですよ!だって私は・・・」


 エリーがこちらを見る。エリー・・、僕だってエリーと。僕は唇を噛みしめることしか出来ない。僕はなんて無力なんだ。


 「エリザベス。分かってくれ。儂だってかわいい娘を敵国に送りたくはない。だが王族には国のため果たさなければならない責任がある」


 王様が悲しそうに言った。その言い方はずるいだろ。エリーは今日国のために尽くすと誓ったばかりなんだぞ!


 「っつ!!」


 エリーはこの部屋から飛び出してしまった。


 「エリー!待って!」


 僕も慌てて追いかける。何が何だかわからない。エリーが結婚?人質?なんでこんなことに!


 頭の中でいろいろ考えているとエリーを見失ってしまった。


 「エリー」


 くそ!どこに行った。とりあえずエリーの自室に行こう。僕は走った。


 自室について扉を開ける。


 「くそ!いない」


 じゃあどこに?王宮内にいるはずそれなら。あそこだ。


 僕は庭の大きな木を目指す。あの幼いころ、エリーに初めて魔法を使ったあの場所だ。


 僕は階段を駆け下りて城から出ると一直線に大きな木を目指した。とにかく今はエリーを見つけないと。


 「エリー!」


 良かった。見つかった。エリーは木に寄りかかりながらうずくまっていた。


 「エリー」


 優しく呼びかける。僕自身どうしたらいいのか分からない。エリーは黙って俯いたままだ。僕はそっとエリーの傍に座ってエリーの手を握る。


 直後、エリーが僕に抱き着いてきた。


 「どうして!なんで私なの!なんで!・・私にはルークがいるのに!・・」


 エリーは泣きながら僕に訴えかける。


 「エリー・・・僕だってエリーと・・」


 言葉がでない。ここで言葉の先を言えない自分がとても不甲斐なくて泣きそうになる。自分は無力なのだ。


 僕たちは抱きしめあう。ただ抱きしめることしか出来なかった。するとエリーが小さい声で話はじめる。


 「ねえ。ルークこのまま二人で逃げない?」


 エリーは僕の胸に顔をうづめながら言う。


 「それは・・・」


 僕は答えることができない。二人で逃げきれるか?国の兵士たちがどこまでも追ってくるだろう。国外に逃げる?国外には魔物もいる。僕ではエリーを守りきれない。くそ!どうする!


 「何で答えてくれないの?!ルーク?!私はあなたとしか生きたくない!」


 エリーはそう言って僕にキスをした。僕もエリーをより強く抱きしめる。僕だってそうだ。エリーとしか生きたくない!ずっと一緒にいたい!思わず涙がこぼれる。


 その後僕たちはひとしきり泣いた後、部屋に戻った。


 その日の事はよく覚えていない。

 



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