産業保健師 里菜の勉強ノート⑯ 【心理的安全性】/【医療職のメンタルヘルス】
【心理的安全性】
心理的安全性とは、「アイデア、質問、懸念、または間違いを率直に述べても、チームメンバーから罰せられたり屈辱を与えられたりしない、という感覚を持てること」。つまり、相手の視線や思惑などを気にせずに率直に何でも言い合えるチームの人間関係が醸成されていることを指す。
逆に、「提案をすれば懐疑的な意見で否定される」、「報告をすれば仕事を増やされる」、「ミスが分かると犯人探しで吊し上げ」、「意見が対立すると人間関係に修復不能なヒビが入る」……という雰囲気の組織は、心理的に安全とは言えない。このような「心理的に不安全」な状態だと、チームのために本当は必要だと思っても、「発言・アイディア・挑戦=リスク」となるため、メンバーは次第に消極的な態度を取るようになってしまう。
また、“心理的安全性が高い職場”は、“ぬるま湯のような馴れ合い組織”や“一体感至上主義チーム”とは大きく異なる。“心理的安全性が高い職場”では「率直に言い合える」からこそ意見が対立することもあるが、職場の前向きなコミュニケーションが活発になり、メンバーの意欲が高まりやすい。一方で“ぬるま湯組織”や“一体感至上主義組織”では、目標達成や学習・変革への意識が低くなり、生産性が上がりにくい。
【医療職のメンタルヘルス】
肉体的負荷の高さ、慢性的な人員不足、責任の重さ、対患者関係の難しさ、感染リスクなどがあり、医療職(看護師や医師など)の職業性ストレス値は一般的に高い傾向にあることが知られている。
厚生労働省が公表している「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を見ると、医療・福祉(医療業)は、全業種の中でみても【精神障害の労災支給決定件数】の多さにおいて際立っているのがわかる。毎年結果が公表されているこのランキングで、令和3年度(2021年度)の1位は医療・福祉(社会福祉・介護事業)であり、2位が医療・福祉(医療業)である。この「『社会福祉・介護事業』と『医療業』で精神障害労災認定数ランキングの1位・2位を独占」という状況は、平成28年度(西暦2016年度)から令和3年度(西暦2021年度)まで一貫して続いている。
つまり残念ながら、医師や看護師などの医療職は精神障害労災のハイリスクグループで、仕事に関連して心を病む人が多い業種、といえる……。




