第6章|産業保健師 ~初めての出動を終えて~ <1>お留守番保健師・再び
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「ふふ。里菜ちゃん、凄く熱心に教科書、読んでる。偉い! 頑張ってね」
先輩保健師の福島さんが、オフィスチェアを揺らしながら、今日も愛嬌のある子犬系の笑顔で私をイジってくる。
……そう。
鈴木先生と『サクラマス化学株式会社』に同行させてもらったあの日から、私はまた、『株式会社E・M・A』の、お留守番保健師に戻ってしまった。
でも、私の心意気、前とはちょっと違う。
実体験があると、保健師としての勉強への意欲も盛り上がるもんね。
……と、思っているんだけれど。
けど。
けど。
「あ~……やっぱり、現場にも行きたいなぁ……」
天井を見上げて、身の上を嘆く。非常勤の産業医の先生でもいいから、保健師同行を引き受けてくれる先生とか、いないのかな。
「あ、黒木先生、そろそろ時間ですよ」福島さんがスマホの画面で時間を確認する。
「ほんとだ。福島君、ありがとう。じゃ、出かけよっか」黒木先生が笑顔で答えた。
「じゃあね、足立さん」「行ってくるね、里菜ちゃん」
黒木先生と福島さんが手を振る。
「あ、黒木先生、福島さん、いってらっしゃ~い!お気をつけて………ご、ご安全に~!」
今日は、荒巻先生と持野さんは朝から出かけている。
私は、ぽつんと事務所に1人、取り残された。
また、お留守番か……。手元の教科書に目を落とす。
その時、ドアが開いて、「足立さん、ちょっと来て」と声がした。
顔を上げると、緒方先生が立っていた。




