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第5章|サクラマス化学株式会社 南アルプス工場 <20>新宿駅に着いたふたり

<20>


産業保健師 里菜の勉強ノート⑦ 【長時間労働】/【過労死】



【長時間労働】

「時間外労働の上限規制」法律改正により、大企業では2019年4月より、中小企業では2020年4月より、時間外労働のルールが大きく変わり、『1か月の時間外労働は原則45時間以下、1年間の時間外労働は原則360時間が上限』となった。

もし臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、

①時間外労働は年720時間以内

②時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

③時間外労働と休日労働の合計について「2~6か月平均」が全て1か月あたり80時間以内

➃時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは年6か月が限度

と定められている。

ただし「建設業、自動車運転の業務、医師、新技術・新商品等の研究開発業務」など、適応を猶予、または除外されている職種もある。

➣関連ワード「働き方改革」


【過労死】

働き過ぎによる過労のため死亡すること。仕事による過労・ストレスが原因の一つとなって、脳・心臓疾患、呼吸器疾患、精神疾患等を発病し、死亡に至ることや、過労自殺などが含まれる。

該当する英単語がないため、国際的にも「KAROSHI」と呼ばれている。

月80時間の時間外労働時間は一般的に『過労死ライン』と呼ばれている。その理由は、このラインを超えた長時間労働が認められる場合に、労働者が何らかの脳血管や心血管の疾病を発症すると、労働時間と発病との因果関係が認めやすくなるとされているため。

➣関連ワード「ワークライフバランス」




******************


「すっかり、遅くなってしまいましたね……」鈴木先生が腕時計を見た。



「やっと、新宿駅まで来ましたね……」私も答える。


 南アルプス工場の最寄り駅から甲府駅に。甲府駅から新宿駅に。


晩御飯は駅弁を買って電車内で済ませたのに、乗り継ぎの都合などもあって、私と鈴木先生が新宿駅に辿り着いた時には、21時を回っていた。



この時間でも、新宿駅は人だらけだ。

それぞれが自分の目的地に向かって歩き、交差していく。


うっかり見知らぬ人と身体がぶつかる。あ、すみません、と謝った。


今日は工場内も動き回ったし、電車の中で報告書作成の指導も受けたし。


さすがに疲れが隠せない。



「ところで、足立さん、ご自宅はどちらですか」鈴木先生が訊く。



「あっ、えっと……、×××です。」私は最寄り駅の名前を告げた。



「どのルートでも、ここからだと路線乗り換えが必要ですね……。よし、タクシーに乗りましょう」



「えっ、ええっ!? 」



 新宿駅から私の家までタクシーに乗ったら、凄い金額がかかってしまう。待って待って。そんなお金、どこにもない。



「鈴木先生……私、お金、ないんです。タクシー、無理ですッ」


 さっさと先に歩きだした鈴木先生を追って、小走りになりながら、私は激しく首を振った。



敷金、礼金、イイトリで買ったインテリア類、プリンター……。

頭の中を、レシートの請求金額が駆け回る。



「いいんですよ。遅くまで仕事に付き合わせてしまいましたから。あなたには一切お支払頂く必要はありません」



「で、でもっ」



******************


 …………結局、鈴木先生の勢いに負けて、タクシーに乗ってしまった。



「足立さん、ご自宅の近く、どこかわかりやすい目印ありますか」



「あ、えっと……×××の、・ ・ ・あたりって、わかりますか」運転手さんに尋ねると、慣れた様子で運転手さんはうなずき、車は走り出した。



 夜の東京は、なんだか切なく、胸を締め付けられる。


 タクシーの窓の外には、車のテールランプや、街の光がキラキラ光っている。



 私は黙って、景色を眺めた。



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