表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/429

第4章|サクラマス化学株式会社 東京本社 <8>人事課長 岩名鮎子の回想

<8>


【岩名鮎子の回想】


――――私が社会に出るって頃は、ちょうど、就職するのが凄く難しい時代だったんです。



日本全体がひどい不景気になって、

企業が一気に採用枠を減らしている時でした。


就職試験を受けようと、何十枚も手書きの履歴書を書いて、

会社の人事部宛にせっせと送りましたが、

ほとんどは、書類審査の段階でボツになりました。


今となって思い返すと、必死に書いたあの履歴書、

担当者にまともに読まれていたのは、何割くらいだったか。

一瞥して捨てられたものも、多かったかもしれませんね。


採用面接まで呼んでもらえる割合は、本当にごくわずかでした。



やっとの思いで面接をしてもらえても、

待っていたのは、いわゆる『圧迫面接』でした。

面接官にさんざん厳しいことを言われたり、

難しい口頭試問にその場で答えるよう求められたり。


今は、採用面接で聞いていいことや、

聞いてはいけないことが細かく定められていますが、

当時はそんなもの、ありませんでしたからね。


今の時代なら、セクハラ、って言われちゃうような質問も、

普通にありました。


「結婚の予定はあるか」


「子供が生まれたら仕事はどうするか」は、必ず聞かれた。



「どうせ女性は、腰掛けのつもりでしょう」なーんて、

飽きるほど何度も言われました。




でも、厳しい面接に耐えても、届くのは“不採用”の通知ばかり。


特に女性の新卒は悲惨で、私も結局、どこにも就職が決まりませんでした。

なので、最初は、派遣社員になりました。



とはいえ、今とは少し違って、

当時は派遣社員のほうが正社員より時給が高くて。


結構楽しく働けていた面もあるんです。

休みには、長時間残業している正社員を横目に、

堂々と海外旅行に行ったりもしましたよ(笑)。



 ……だけど……、

やっぱり、正社員に比べて、安定していない働き方が嫌で。


その頃は、正社員と派遣社員では、同じ仕事をしていても、

受けられる福利厚生が全然違いました。



だから景気が良くなったタイミングを見計らって、転職活動をして。



『サクラマス化学株式会社』は、

そうして転職活動を繰り返して入った会社です。


待遇は正社員だし、事務職なので体力的にきつくない。

これなら定年まで働き続けられる、と思いました……。



でも、入社したばかりの頃はまだ、ちょっと男性優位の会社というか、

女性は下に見られる風土がありました。



だから、少しずつ、会社の雰囲気を変えようと努力してきました。


今は、上層部の男女差別やハラスメントに対する意識が

だいぶ変わり、色々と、働きやすくなりました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ