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第4章|サクラマス化学株式会社 東京本社 <4>女性の健康サポート その2

<4>



 今度は、岩名さんが話す番だった。



「弊社では、生理休暇があり、毎月1日、女性社員は有給で休みをとることができます。それに、産休育休制度も法律に従い設定していて、女性社員では既に複数、利用している者がいます。それから、にゅうがんや子宮(けい)がんといった、女性特有のがんに関する検診は、年一回、自己負担金額ゼロで受けられますし、ほとんどの女性社員が、補助制度を使って検査を受けています」



「……じゃあ、もうカンペキでは……」言いかけた私に、さらに岩名さんが続けた。



「ただ……。『生理休暇』という制度は、女性にとって、意外と使いづらいんじゃないかと思うのです。『生理休暇』を取らせてほしい、と言うと、イコール、”自分は今、生理中です”と男性上司に伝えることになり、言い出しにくい、という声がありました。それに、生理だけでなくて、『更年期障害』がつらい場合もある、という意見もありまして……」




――――確かに、そうだ。生理は恥ずかしいことじゃないんだから、と言われても、なんとなく言いづらいのは、私もよくわかる。




「ですから、『生理休暇』を廃止して、『女性の健康支援休暇』という、新しい社内制度を、作ってはどうかなと思っています。年に12回、生理関連でも、更年期関連でも、それから不妊治療関連でも使っていい、理由を申告せずに取れる、有給の特別休暇です。鈴木先生、どう思われますか?」



「それは、とても良い試みだと思いますよ。そういえば、他社でもちょうど、似たような制度を作るとお聞きしたことがあります。ただ、その際には確か、『突発的に休みが発生した時のフォロー体制をどう考えるか』や『半日単位、時間単位で使えるようにするか』……ということが、議論になっていましたね。それから近年は、『男性の更年期』というのも広く知られるようになって、女性だけが更年期障害で休暇をとれるのでは不平等にならないか、という意見もありました」



「なるほど、確かにその点は、検討しておいたほうがよさそうですね」

岩名さんが納得したようにうなずき、手元のノートにメモを取った。




「また、社員さんの健康をサポートする、という目的でしたら……、弊社『株式会社E・M・A』の健康相談窓口サービスも是非ご活用ください。ご契約頂く場合、別途月額料金は発生しますが、ご契約いただければ、社員さんは完全無料で、男女それぞれの医療スタッフに直接健康相談をすることができます。相談方法も、メールや電話など、社員さんがお使いになりやすいツールを選択できます」



(……鈴木先生って、こんなに良く喋るんだ……。

さりげなく『株式会社E・M・A』の有料オプションサービスの売り込みアピールもしてるし……。すごい……)




「鈴木先生、大変参考になりました。ありがとうございます。そうですね……じゃあ次は、職場巡視に行きましょうか」


岩名さんがノートを閉じ、立ち上がる。





(結局、『働く女性の健康サポート策』について、私が議論に参加することは、ほとんどなかった……。)



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