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14 バーナードの相手(2)

「どういうこと? 王都の社交界になんて連れて行きたく無いんだけど、、、」

「何度か顔出しするだけだ」


 使用人であったエラと婚姻を済ませ、二人でイルネラの街にいたバーナードと話をする。


「エラを使用人だと見下す者がいるだろう?」

「彼女が、ゼネルト家の者であれば問題ない」

「その方が、もっと嫌だよ」


「バード、二重籍の場合、余程の事がない限り、最初の籍が無効になる事はない」

「でもホスロが、エラを自分の娘では無いって書かれた書類にサインもあったのに、、、」


 バーナードがエラに婚約を断られたとあまりに煩いので、書類に紛れ込ませて、ホスロのサインを手に入れておいた書状を見せている。


「家の状況が悪くなった時に混乱していた、その後も探していた等と理由を付けるのは簡単だ」

「それはそうだけど、、、」


「それにエラが嫌で無ければ、ゼネルト家の縁を完全に切っておきたい」

「どうしてさ」

「ホスロは只の“のんびり屋”だが、ダメルと縁を持っていると面倒な事になる」

「それで、代替えしなかったの?」


 約定を破棄する場合、当主を変えてそれを回避する事も出来る。

 だが息子のダメルを当主にとは考えられず、結局、ウエストリア家はゼネルト家との約定を破棄することになっている。


「じゃぁ、どうすればいいのさ」

「エラが王都の社交界にいたのに、彼女と連絡も取っていなければ、その言い訳も出来なくなる」

「でも社交界に出席すれば、彼らだって気付くだろ?」


「それは出席する場所を選べばいい」

「そんなこと、、、出来るの?」


「義姉上が上手くやってくれるさ」

「フレリア様が?」

「俺には貴族達の縦の繋がりは分かっても、横の繋がりは分からないからな」


「エラが嫌な思いをしないならいいけど、、、」

「義姉上なら大丈夫さ」


「まぁ、フレリア様が近くにいてくれるなら、、、」

「お前も出ろよ」

「えっ?」


「自分の妻を一人で王都に放り出すつもりか?」

「王都には行くよ、、、社交界には、、、出なくてもいいだろ?」


「ダメだ。噂を広げたい時に、顔が知られているのと、いないのとでは広がり方が違って来る」

「そんなぁ」


「諦めろ、面倒かも知れないが、エラも王都が始めてなら楽しいだろう」

「そうかな」


「お前に付き合って、イルネラでも忙しくしているなら、王都でゆっくりさせてやればいい」

「う~ん、確かに。社交界に出るならドレスも着てくれるかな?」


「お前が一緒ならドレスも着るさ、彼女だけだと気を遣うだろ?」

「そうだね、それならちょっと楽しそうだ」


 その後、王都の社交界に参加し、エラがゼネルト家の娘であったことを周囲に知らせておく。

 二重の籍を持ったのは家の援助が無かった為で、それを全て話した上で、カストリア家に嫁いだなどの状況を浸透させておく。


 人の噂と言うものは伝わり方次第で、良くも悪くもなる。


 彼女が落ちぶれた家を捨て、カストリア家に取り入ったと思われればそうなるし、使用人のように扱われ、放置された娘が、必死に生きてきたと周囲に思われれば、今の幸運も素直に受け入れて貰えるだろう。


 一度広がった噂を変える事は難しい。


 バーナードは少し変わり者であっても、敵を作るような男ではない。

 その夫が妻を大切にしている様子を見ていれば、後々妻を(おとし)める嫌な噂が流れても、それが多くの人に肯定される事は無い。


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