表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/252

お風呂です

 ミリアさんを確保……もとい抱っこした私は、サッカーで付いた汚れを落とすため、ヴィエラさんに許可を得てからお風呂場へと向かいました。


「はいミリアさん。服を脱いでくださいねー」


「うむっ!」


 ミリアさんは元気に返事して服を脱ぎます。

 ……元気なのは良いことですけど、服を放り投げるのはやめてほしいです。


『リーフィア。洗濯はうちはやるから、二人でお風呂入っちゃって』


「でも、良いのですか?」


『うちは汚れないし、すぐに乾かすことも出来るから……それに、たまにはお手伝いくらいさせて?』


 ……ここまで言われてしまっては、断ることも出来ませんね。

 洗濯するのも新しい服を持ってくるのも面倒なので、ここはウンディーネの言葉に甘えるとしましょう。


「では、頼みました」


 服を脱ぎ、ウンディーネに渡します。


 私は回復魔法の『浄化』で汚れを落とせるのですが、流石にミリアさん一人でお風呂に行かせるのは心配です。

 ここのお風呂場は魔王城ということもあり、とても広く設計されています。溺れてしまったら大変なので、誰かは必ず見張っておくようにと、ヴィエラさんが言っていました。


「ほら、早く行くぞ!」


「風呂場で走るのは危ないですよー」


「んびゃ──!?」


 ミリアさんは足を滑らせ、頭から地面にダイブしました。

 めちゃくちゃ痛そうな音がしました。実際に我らが君主は涙目です。


 ……いや、よく考えたら風呂場で転んで泣く魔王って何?


「……ああ、もう。言わんこっちゃない」


 私はミリアさんに歩み寄り、回復魔法を掛けます。

 顎は……割れていないようですが、強く強打したせいで赤くなっていますね。


「大丈夫ですか?」


「痛い……けれど、痛みが和らいできたぞ」


「そりゃぁ回復魔法を掛けていますからね」


 私の回復魔法はカンストしています。

 死んでいなければ、どんな負傷も治すことが可能です。


「うぅ……ありがとう。リーフィア。ヴィエラは回復魔法使えないから、いつも痛かったのだ」


「いや、待ってください。いつも転んでいるのですか? そろそろ反省するか学習するかしてくださいよ。それでもあなたは魔王ですか」


 今回は特別にお風呂に入っていますが、本来私はお風呂に浸かることをしません。その必要がありませんし、ベッドから動くのが面倒です。

 もうミリアさんとお風呂に入ることは無いでしょうから、ここで反省をしていただけなければ、また顎を強打することになります。


 自分で「余はお子様ではない!」と言っていますが、これでは誰も信じません。


「……これからは走らないようにする」


「はい、そうしてください」


 でも、今回のことでミリアさんは反省してくれたようです。


 私は「それで良し」と言い、ミリアさんと体を洗いっをこしました。


「リーフィアの肌……綺麗だな。とてもすべすべだ」


「そうですか? 自分の体には興味ないので、あまり気にしたことはないですね」


 主に胸以外は、ですけれど。


「余は何十年も生きているが、体は小さいままだ。大人の体が羨ましいと思える」


 ミリアさんのそれは、いわゆる幼児体型というものですね。

 でも、幼児のお肌はもちもちしていて、一部の女性はそれに憧れているようです。私はどちらかと言えば眠っていられれば全てオールオッケーなので、そういう『〇〇肌』というのは詳しく知りませんけれど。


「ミリアさんだって健康体ではないですか。それは他人からしたら、本当に羨ましいものです。……少しでも自分に自信を持っては?」


「……うーむ。そう、だな……。うむ! リーフィアの言う通りにしてみよう!」


「そんな簡単に決めて良いのですか?」


「リーフィアのことは信用しているからな!」


「…………そうですか」


 どうしてそこまで私のことを信用するのか不思議ですが、それを質問するのは野暮というものでしょう。

 今は我らが魔王に信用してもらっている。それだけで十分。……そう思うことにします。


「だが……眠ってばかりで健康も何も無いお前が、ここまで綺麗な肌をしているというのは……やはり気に食わぬな」


「痛いです。摘まないでください」


 確かに私は、健康とは程遠い堕落生活を送っています。それでも私の肌はすべすべで、綺麗な肌をしていました。


 ……これも、神様が用意してくれた体のおかげなのでしょうか?

 肌荒れを気にせずに生活出来るというのは、女性からしたらとても魅力的な体なのでしょう。

 だからって嫉妬で肌を摘むのは、やめていただきたいです。しかもミリアさんは力加減を知らないお馬鹿ちゃんなので、マジで痛いです。


「ほら、体を洗ったら湯船に浸かりますよ」


 今も肌を摘むミリアさんをひょいっと持ち上げ、私は湯船に運びます。


「……はーい」


 流石に抵抗する気はないのか、おとなしく私に運ばれるミリアさん。


「あ゛ぁ〜……生き返るぅ……」


 いや、おっさんか。


「女の子がはしたないですよ」


「別に構わないだろう。ここには余とリーフィアしかいないのだし」


「……まぁ、そうですけれど」


 それでも魔王がおっさん臭くなるのは回避したいところです。

 主君が子供というのも問題はありますが、幼児体型のおっさんというのはもっとヤバいです。まずヴィエラさん(お母さん)アカネさん(おばあちゃん)が黙っていないでしょう。


 勿論、私も嫌です。


 ──私の主君は幼児体型のおっさんです。


 いやいや、何のジョークですかって。

 この世界でも元の世界でも、そんなことを言えば笑われますよ。普通の笑いではありません。鼻で笑うような嘲笑です。……絶対に嫌ですね。


「ほんと、人前ではやめてくださいよ。一応魔王なのですから」


「わかっている。これを晒すのは部下の前でだけだ」


 ……うぅむ。本当はその『おっさん化』をやめてほしいのですが、まだ人前でやらないだけマシなのでしょうか。


「…………」


「……なんです?」


 そのように考えていると、ふと胸元の方に視線を感じました。

 それを向けているのはミリアさんです。


「お前のそれ、良いな」


 指差すのは私の胸。


「良いなと言われても……普通ですよ?」


「余のものを見てそれを言うか?」


「ああ……御愁傷様です」


「手を合わせるな!」


 幼児体型の痛いところが露見しましたね。

 所詮幼女は『つる&ぺったーん』だけが武器ですか……。


「まぁ、世の中にはミリアさんのような方だが大好きな人も居ますので、ワンチャンありますよ」


「それ絶対危ない奴だろ! 余は嫌だぞ!」


「嫌だぞと言われても……それでは将来が……」


「ほんと酷いなお前!?」


 でも、それ以外で貰い手がいないのも事実。

 このまま魔王が子供なのは確定でしょうし、もう望みはロリコンの皆様だけでしょう。

 ミリアさんは嫌がっていますが……時には諦めも肝心だということを教えるべきでしょうか?


「このっ! 酷いことを言うのはこれか、このっ……!」


 ミリアさんは私に近寄り、涙目で胸を揉みしだきます。


 私はそれを平然と見下ろし、一言。


「楽しいですか?」


「──ちくしょう!」


「ぶふっ……」


 ミリアさんが腕を振り、その飛沫が顔面に掛かりました。

 正直なことを言いましょう。首が持って行かれたかと思いました。


 ……どれだけ馬鹿力なのですか、うちの魔王様は。


「はっはっはっ! どうだ余の攻撃ぶはぁ!?」


 私はお返しとばかりに手で水鉄砲の形を作り、ミリアさんの顔面にぶつけました。


「何をする!?」


「何って……お返しです」


「このっ、またお返しだ!」


「ぶっ、っ、この……!」


 私はまた水鉄砲をミリアさんの顔面に撃ちました。


 そうしたらミリアさんが腕を振るい、私はそのお返しに水鉄砲を撃ちます。

 これを繰り返しているうちに私達は白熱し、周りを顧みずに激闘を繰り広げました。




 その後、騒ぎを聞きつけたヴィエラさんに怒られ、二人して正座させられたのはまた別の話です。

いつもありがとうございます

良ければブクマや評価をしていただけると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ