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エグジスタンス  作者: 柿村きづき
1/5

神の世界へ

目を数度擦るが、景色は変わらない。

それどころかはっきりしていく。

上には雲一つない晴天。

僕は草原に寝ていた。


「あれ...ど、どこだよ!ここはー!?」


記憶を振り返るために僕は目を閉じる。

カリムシア王国首都パルディナ。

昨日は、1999年終わりの日。

今日は記念式典の行われる2000年の初めの日だ。

そして昨日は寒い中外に出て...


「あの子のせいか?」


ふと思い出したのは、昨日歩いている時に腰ほどまである白髪の少女に出会った。

その子は僕を見て


「キリ...なの?」


と聞いてきた。

すごく綺麗な声だった。


だが、僕はキリではないし、ましてや知りもしない名前だった。


僕の名前はレン。レン・ヒュナリだ。

僕は髪が黒く、目が緑というこの国では、かなり普通の17歳の青年だ。

だが、人と違うところがひとつだけある。僕は赤の雫の形をした封印用のネックレスを首から下げている。

僕は昔から不思議な力を持っている。

どんな昔のことでも正確に思い出せるし、透視ができるし、思考も戦闘能力も常人より遥か上だ。

その力は、人から見れば気味が悪いと思われていたようでネックレスによって封印を施されていた...


そこからは思い出したくなくて目を開け我に返る。

そこには、あの少女が立っていた。

金の装飾が施された純白で短めのワンピースを着こなし光を反射させているように見えた。

変わらない何もかも見通すような蒼い目で僕を見ていた。

その子は浮いていた。


「君は...誰だ?ここはどこなんだ?」


「そうね、先に名前を教えておきましょう。名前はアビス。アビス・リターンよ。アビスとよんで。私はアテナ、知恵と戦略の神を司っているわ。神の存在くらいはあなたも知っているわよね?ここはそういう世界なのよ。」


一方的で口早で簡略な自己紹介を終える彼女を前に、レンはなんとも言えない気分を味わう。

名前と訳の分からないことを頭の中で復習しながら、歩き出したアビスをレンは追いかける。

だが、まだふたりは知らなかった。

この時レンが元の世界に帰っておけばあんなことにはならなかった____。

何も無い。


一面が丘のようで自然が溢れている。


「ここは...」


無論初めて来る場所だ。

しかしなぜか懐かしい感じがした。


「飛ぶわよ。レン。」


「なんで僕の名前を?それに飛ぶ?人間が?」


「細かいことは後で説明するからとりあえず飛んで。」


レンは突っ込みどころしかないと心の中で呟きながらも、隣でアビスが何かを念じてるような光景を見て、真似をした。

すると、自分の体の中になにか別の力が流れ込んでくるような不思議な感覚に苛まれる。


「心の中で"飛行"と念じて。」


「わ、わかった。」


「"飛行"」


"魔法発動 飛行"


体内にあった力が放出されるかのように、レンの体が浮かんだ。


「え、う、うわぁぁぁ!」


「うるさいわ。静かに気持ちを落ち着かせて飛ぶのよ。」


レンが慌てていながらも、他人事のように話を進めていくアビスを内心嫌だなとか思いながらも、レンは言う通りにするしかなかった。

精神を集中させてコントロールしようとするとやっと落ち着いてきた。

それでもまだふらついている。


「しょうがないわね。」


アビスが寄ってきて手を差し出す。


「え?」


何がしたいのか全くわからないレンは途方に暮れる。


「いいから!手を出しなさいっていってるの!そんなものじゃ魔力が勿体ないわ。早くして。」


「う、うん。」


怖々レンが捕まると少し上昇してから飛び始めた。

思っているより怖くなくてアビスに色々と質問をしていた。

さっき言っていた魔力についても知らなかった為、詳しく聞いていた。

魔法というものには大きく分けると三種類あって、一つ目が飛行、転移のような日常的な魔法で自分の持っている魔力を使って魔法を発動させる、魔力系魔法。

魔力系魔法には位があり、下位魔法、中位魔法、上位魔法となっている。

その上に特大魔法と、超特大魔法というものがあるが、それを使えるものは極一部だという。

また、ひとつの位魔法にも何位か分かれていて、通常は三位ずつになっている。

二つ目は、魔法を収めたアイテム、魔法アイテムを使った魔法。

魔力を使う事がないため、兵器としても使われる武器系魔法。

だが、魔法で行える事を封じているものもあるため、魔法が強力な者はあまり使用しない。

最後の三つ目は禁忌とよばれる、この世界では使用することを唯一認められていない魔法だ。

人や悪魔、神など全ての種族を対象として殺める為に作られた魔法であり、禁忌系魔法とよばれているが、その存在を知るものはあまりいないという。

また、神は魔法ではなく自分が元々持っている力を使っているため、発動の為の魔力も使わない。


そんな話をしながら飛んでいるとやがて、街の端が見えてきた。

それは進むにつれて次第に大きくなっていき、それにつれ降下していっているのがわかる。

1番大きな建物に向かって降りていく。


「この建物は?」


「そうね。見たことがないわよね。これは神殿とよばれるものよ。ここは、神殿の中心地でパルテノン神殿というものよ。神を拝めるために作られたものね。」


少しの説明を交えた後に、神殿の中へ入っていく。

神殿の中は外とは対照的に暗く、誰もいなかった。

いや、いないと思ったの方が正しい。

暗闇の中から奇妙な仮面をつけた人が10人ほど出てきた。

その仮面は炎が燃え盛るようなデザインに人間が苦しんでいるような感じを思わせた。


「誰だ?」

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