第5話 よし、やってやろうというテンションに持っていくまでがやってやろうの本体
「よし、こんなもんかな」
異世界転移二日目にして生活環境が超高水準で整ってから、さらに二日後。
今は引っ越しのためにアパートの片付けと荷物運びをやってる。
冷蔵庫なんかも上がったレベルのお陰か軽々運べるからな。
まあ引っ越しっつっても、魔法の部屋も今はアパートの中にあるんだけど。
あの手紙を読んで目から汗を流した後、とりあえず風呂に入って、飯を炊いて塩鮭を焼いて、お茶漬けの素でお茶漬けを食って、猫のバスで迷子見つけ出すとこ見て、カリオス○ロ伯爵が時計の針に潰されるところを見て、ぐっすり寝て、起きて、朝にご飯と納豆と味噌汁と目玉焼きとカリカリベーコンとお新香を食って。鹿の神様が首取り返すやいなや朝日とともに消えるとこ見て、魔女の少女が宅急便やるとこ見て。
さらに数時間ソファで体と心が溶ける位まったりしてたら。
「…………やってやろうじゃねえか、堪能してやろうじゃねえか、異世界ってやつをよおお‼」
って宣言が自然と出たので色々活動しだした。
今はアパートの掃除と引っ越しの最中だ。
よっぽどのゴミはこのまま置いてこう。
でも他は一応全部持っていく。割れた皿すらも持っていく、地球産の100均の品ですらこの世界的には高品質らしいからな。
ウルトラ鑑定で調べたら、結構高値だったのだ。
100均で買った割れた皿すら何故か銀貨一枚するのだ。
田中くんの部屋の壁に貼ってある美少女アニメポスターも一応回収した。
あとこの二日で引っ越しの合間合間にブーメランスキルとゴーレム出せる杖を使ってみた。
ゲームのようにロックオンと書かれたカーソル出た時はほんとにびびった。ちなみにカタカナでロックオンと書いてある。ダサい。
敵に緑のカーソルが出て赤になったら発射だ。攻撃、て意識すると緑のカーソルは瞬時に赤になる。
ちなみにこのカーソルは、手に十字ブーメラン持ってるだけで、視界の届く範囲内に敵が居れば出てくる。
その後、段ボール切って作った十字型のブーメランが掌の上でヘリコプターのプロペラのように回りだして、絶対あり得ない(直角に曲がったり敵との間の障害物を回り込んだり)動きで銀色のプラモデルを追いかけ回して爆散させたのには、度肝を抜かれた。
素材段ボールなのに威力も異常に高い。
でもこのブーメランは、1000兆の敵に一辺に攻撃できるが一体の敵に1000兆回攻撃することは出来ないらしい。
まあ当たり前か。
その時わかったんだが、どうやら田中くんがここに放したらしいプラチナソウルは、2000年の間に尋常じゃないほど増えているらしい。
初日は夜だったし、次の日はすぐに魔法の部屋に入っちまったから気づかなかったが、少なくとも200匹以上はいるだろう。
あとゴーレムの杖はゴーレム5体まで出せて、命令すると動く感じのやつだった。
多少知能あるらしく、結構アドリブ効く動きをするのでかなり使える。
ウルトラ鑑定だとこんな感じ。
アイテム名 ゴーレム召喚の銀杖
分類 武具
レア度 A+
攻撃力 38
価格相場 60000000G~80000000G
効果及び説明
ミスリルゴーレムを魔力粒子に変換し格納している杖。
レベル35のミスリルゴーレムを最大5体まで召喚できる。
ミスリルゴーレムは使用者の思念を感じ取って自律行動する。
ミスリルゴーレムが破壊されても、魔力粒子に変換されて杖に格納されるだけなので、杖が破壊され無い限り召喚し続けることが可能。
しかし破壊され格納したゴーレムは、魔力粒子が乱れるために再度召喚するのに24時間のクールタイムが必要
余談
ミスリルゴーレムは擬似的な知能を持っている。
例えば、使用者が首にナイフを突きつけられた状態で何か命令されても、命令を聞かずに持ち主の生命維持のために適した行動を自発的に行う。
持ち主が感じ取っていない危機をミスリルゴーレムが感じ取った場合も同様に使用者の生命維持に適した行動をとる。
ちなみに同じ系統の杖でも、ミスリルゴーレムより下位であるアイアンゴーレム以下にはこのような機能は無い。
ちなみにちなみにスキル行使者ヤスダがミスリルゴーレム5体を召喚した場合消費されるHPは10。
こんな感じだ。
……攻撃力38ってなんなんだろうか……何基準で数値化してんだろう。
ちなみにこのアイテムのレア度が最高ランクなんだそうだ。
お決まりのSランクとかあると思ってたら無かった。
A+が最高E-が最低の15段階評価らしい。
召喚した独特なフォルムのゴーレムも鑑定してみた。
召喚個体名 ミスリルゴーレム
レベル 35
HP 300/300
MP 50/50
STR 150
AGI 150
VIT 180
INT 50
MND 50
DEX 100
装備
ミスリルの片手剣
ミスリルの盾
所持スキル
片手剣術レベル4
縦斬り、横斬り、即突き、兜割り、瞬速連弾、岩盤断ち、真空波剣
盾術レベル4
受け流し、吹き飛ばし、鉄壁、光の盾
体術レベル4
精密、瞬速、剛力、鉄拳
全状態異常無効
魔法攻撃耐性・弱
…………そして俺のステータスはこうだ。
名前 ヤスダ ♂
年齢 26才
職業 腕っぷしのある教師
称号 プラチナハンター
レベル 32
HP 209/209
MP 0/0
ちから 82
はやさ 89
みのまもり 80+100
ちりょく 158
せいしん 162
きんりょく 82
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
ウルトラ鑑定
装備
大防御のペンダント
ゴーレム召喚の銀杖
山程いるプラチナソウル狩りでレベル上がってウキウキしながら、そういやこいつもステータスあんのかな?と思って鑑定したら度肝を抜かれた。
俺のステータスと全然違う。
俺のと違って手抜き感がない。
バイタリティーが、VITとかなってる。
俺のステータスは、VITにあたる箇所は平仮名でみのまもりと書いてある。
何これ、と思ってウルトラ鑑定で調べた所、どうやらステータスはたまに違う記述だったりするヤツがいるらしい。
このゴーレムのステータスが一般的なステータスで、転移してきた地球人は100パー普通とは違うステータスだそうだ。
なんで俺のは昭和のゲーム仕様?
あと俺のステータスの「きんりょく」の項目は「ちから」と全く同じだった。
ちからを鑑定すると、きんりょくのこと。と鑑定結果が出て。
きんりょくを鑑定すると、ちからのこと。と鑑定結果が出る。
いやどっちか要らねえじゃん。
俺の器用さを表すであろうDEXにあたる項目はどこ消えたんだ?
ちなみに剣術レベル~のあたりは、そのまま剣使うのが上手くなるスキルでレベル5が最高レベル。
剣術レベルの後の色々は、剣術レベルが上がったら覚えるまんま必殺技らしい。
まあつまりこいつは、えらく強いゴーレムってことだ。
この二日間にあったことはこんなもんだ。
さて、引っ越しも完全に終わったし、本格的にレベル上げいくかな。気を失った痛みがトラウマで一気にレベル上げるのに腰が引けてたのだ。
つってもほとんど作業なんだよなこれ。
ドアから外に出てゴーレムを5体召喚してそれぞれ散開してプラチナソウルを倒して、ドロップアイテムを拾って来るように命令する。
これだけだ。昨日まではゴーレム一体だけでやってた。
あいつらは格上相手だと絶対逃げるから、多少レベルが上がった今はもはや森のど真ん中で寝ていても襲ってこない。
……おっ体がむずむずする。ゴーレムがプラチナソウル倒したらしい。
一気に大幅なレベルアップじゃなければ全然痛くない。よしよし。
じゃあ俺はあの白い実をもいでこよう。
霊樹スノウホワイトになるホワイトシャインベリーは、なんと朝になるともりもり実って収穫できるのだ。
とんでもない回復アイテムのはずなんだが、あまりありがたみがない。
引っ越し終わったし、魔法の部屋も霊樹の目の前に持って来とこう。
ちなみにあの木は、田中くんが用意してくれたものじゃないらしい。この島の回りをぐるっと回ってる聖なる力を宿した小川と約2000年って時間が生んだ奇跡らしい。
まあ、聖なる力を宿した木が聖なる小川の近くに生えるのも当たり前っちゃ当たり前なのかな。
そりゃ2000年も経ってたら生えるかなってことなんだろうか。
奇跡の木になる奇跡の実がもう135個もあるよ。
……はい、木になってる実を全部もいで、今日の日課終わり。
おっまた体むずむずする、木をもいでる間も何回かあったから結構レベル上がってる。
霊樹の木の根本に座ってぼうっとする。魔法の部屋の中だと魔物を倒した時に流れてくる力、俗に言うとこの経験値が流れてこないからだ。
……そういやこの魔法の部屋外から閉めれば扉消えてドアノブだけになるが、俺が中に入ってる時は扉どうなってるんだ?扉だけ外に残ってるんだろうか?
ああ、そういや魔法の部屋入ってたミスリルの箱は鑑定したけど魔法の部屋の鑑定は多分してねえや。
よし、ウルトラ鑑定
アイテム名 魔法の部屋
分類 拠点
レア度 ?
価格相場 5000000000G~6000000000G
効果及び説明
平均100平米ほどの広さの部屋を魔力粒子で異空間に構築する。
部屋を開かなければ魔法の部屋はドアノブだけの状態で持ち運びができる。
間取はランダム。
中に知能を持った生命体が居らずドアが閉まっている場合室内の時間は止まる。
持ち主が部屋の中にいると、外の世界ではドアは完全に消えるので拠点として完璧。
馬車などの移動できる構造物に接続すれば、部屋に入りながら移動することも可能、ただしドアが常時存在するので、安全性は多少下がることに注意が必要。
なお持ち主は登録制
ドアは持ち主及び持ち主が認可した人物しか開けない。
持ち主の継承も可能。
余談
スキル行使者ヤスダの魔法の部屋にある家具は、先見勇者タナカが揃えたもの。
ただ下水システムや換気システムは初期設定で付属している。
ちなみにレア度が?なのは、現在リリパットグラウンドにこのアイテムの存在を知る者が存在しないため。
おお、扉も消えてるらしい。異空間とか、もうすごいなあ。
馬車とかあったら移動しながら部屋入れんのか。
はあ、すごいわあ異世界。
ああ、もうワケわかんなすぎて眠くなってきちった。
……そんな他人が見ていたらぶん殴りたくなる日常を送って数日後……
名前 ヤスダ ♂
年齢 26才
職業 最強の教師
称号 プラチナハンター
レベル 82
HP 879/879
MP 0/0
ちから 192
はやさ 220
みのまもり 213+100
ちりょく 255
せいしん 255
きんりょく 192
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
ウルトラ鑑定
装備
大防御のペンダント
ゴーレム召喚の銀杖
調子こきすぎた。最強の教師になっちった。でもスキルは何も増えない。ゲームで言えば完全に将来性ない地雷キャラだな。
プラチナソウル100匹以上爆散させちゃったし。まあまだ結構残ってるが。
もうホワイトシャインベリーも300個以上たまったしな。
これはもう旅立ちの時来たれりだな。
今や気持ち悪い位早く走れるし、全然疲れないからなあ。
どれ、じゃあ早速行くかね。ドアノブ入った魔法の袋1つ持つだけで準備すむからな。
一応回復アイテムの田中くんがくれた魔法薬もすぐ出せるように入れとこう。ホワイトシャインベリーはどうするかな。
貴重らしいからな。変に騒ぎとかになったら大変だから、これは部屋にしまっとくか。
まあ、騒ぎも何もまだこの世界の文明に全く触れてないんだけどね。
でも不思議な地図を見て一番近い白点に目星はつけてたんだ。
この不思議な地図は、通った場所は細かく記されていって行ったこと無い場所は国名位しか記されないわくわく仕様なのだ。
たくさんある白点は町なんだそうだ。
その一番近い白点に向かって進もう。目指すは西北。
ちなみに方角と自分の位置も地図に出てる。絶対迷わないやさしすぎ仕様の地図だ。
よしっ、さらば奇跡の霊樹スノウホワイトよ。
小走りなのに、異様なスピードを出してそのまま小川を飛び越える。10メート位ある川なのに地図持ちながらでも軽くぴょんですよ。
あ、そう言えばこの水も聖なる水とか言ってたから貴重なのかもな。
ウルトラ鑑定
アイテム名 純聖水
分類 素材
レア度 B-
価格相場 1500000~2000000(1リットル)
効果及び説明
聖なる力が宿った水
人工的に作られた聖水ではなく湧いてきた聖水。
教会で作られた人工的な聖水よりも聖なる力が遥かに強い。
聖なる力が満ちている土地に稀に湧くことがある。
様々な魔導アイテムの素材になる。
そのまま撒くだけでも強力な魔物避けになる。
アンデット系の魔物なら、雫かかるだけですぐさま浄化される。
ちなみにここの川の水はちゃんと飲める。
聖水とか関係なく湧水だから飲める。
おお、やっぱ貴重らしい。
魔法の袋にパンパンに入れとこう。
普通に飲めるらしいから結構持ってこうかな。何あるかわからんからな。飲料水は大事だ。
……10袋分くらい持ってこう。
5000リットル、5トン分パンパンにしてやった。
……気持ち水位減ったような?
まあいいか、よし冒険再開だ。
おっ、地図にこの森の名前が出てきてた。
ここは、魔宮の森と呼ばれてるらしい。
よし、またちょっと止まって。
ウルトラ鑑定
場所名 魔宮の森
説明
タナカ平原南東部に広がる8万平方キロメートルほどの森。
魔宮と呼ばれるのは、入ると何らかの力で方向感覚を失い迷うから。
2000年以上前の勇者ですら、長期滞在し挑んだにも関わらず攻略できず戻って来たとの言い伝えがある。
事実、森に入ると高レベルの冒険者ですら抗えない方向感覚の乱れがあり、その上魔物もありふれたものしかいないので、周辺国家では誰も入るものがいない。
余談
スキル行使者ヤスダの推測通り魔宮と呼ばれる方向感覚の乱れは先見勇者タナカによるもの。
2000年前はただの大きな森だった。
ちなみにタナカ平原という名前は、2000年以上前に先見勇者タナカが長期滞在した頃には貧しい村しかなかったが、タナカが発見した野生の稲により急速な発展を遂げ、平原にある町がサイカ国有数の拠点になったことから、タナカに感謝の意味を込めて名付けられた。
ちなみにちなみにスキル行使者ヤスダが方向感覚が狂わないのは、この世界特有の魔力がないため。
……おう、タナカ平原?、ていうか8万平方キロメートル!?
北海道位広いじゃねえか!?
ああ、ホントだ地図の縮尺わかりずらいな。
もう、やさしすぎ仕様じゃなかった。アウトドア能力0の俺には小難しい仕様だった。
あれ?じゃあ一番近いと思ってた町もめっちゃ遠いんじゃねえか?
マジかよ、もう走るのやめよ、やってられん。
――――――むっ!?
何か音がする。急いで木の影に隠れて様子を伺う。
どこだ?遠くからなんか固いものぶつけ合ってる音がする。
忍者のように木の枝から枝に飛び進み音の方に近付く。
……かっこいいかと思ってやってみたがこれ逆に目立つんじゃね?
あ、なんかいる、二メートル位の人っぽいのが何かを棍棒で殴ってる。
形は人っぽいが完全に人ではない。何せ紫色だ。しかも頭に角が生えてるし、下顎から牙が収まらずにはみ出てる。
そいつが上半身裸でこしみのつけて、棍棒振り回して何かにガンガン叩きつけている。
……こいつはもう多分、有名なあれだろうな。
転移系物語で、主人公が運悪く序盤で出会って殺されかけることで有名なあれだろうな。
ウルトラ鑑定
種族名 オーガ ♂
名前 無し
年齢 8才
レベル 24
HP 223/258
MP 13/13
STR 108+8
AGI 58
VIT 121
INT 28
MND 39
DEX 23
装備
力の棍棒
所持スキル
棍棒術レベル2
兜砕き、岩盤割り
体術レベル2
ぶちかまし、剛力
余談
小指をぶつけて怒っているただのオーガ。
……やっぱな、予想通りオーガでした。
小指をぶつけて怒ってるらしい。
ん?でもこいつは……。
あ、目があった。
やっぱ木の枝に立ってるのって目立つよなあ。忍者っぽくカッコつけたのが失敗だわ。
あ、叩くの止めたから殴ってんのがなにか見えた、なんだあれ?
ぼろぼろだけど宝箱ってやつじゃね?
宝箱に足の小指ぶつけて怒ってんのか?
なにそのファンタジーあるある。
あ、オーガがこっちに走って来た。
「あぶねっ」
登っている木にオーガの体当たりが炸裂する前に飛び降りる。
ドドオォォォン!!
飛び降りた途端に、とんでもない衝突音についで体当たりされた木が根本から折れるのが視界の端に映る。
もくもくと上がる大量の土煙の中にすら隠れ切れていない巨体がこっちを向く。
おお、すごい迫力だ。
でもまあステータス的には楽勝のはずだからな。なんとなくだがいける気がする。まあ、怖いわ怖いけども。
よし、さあこい。
オーガがまたこちらに向かって勢いよく走り出してくる。
それを俺は……ど正面から受け止めるっ!!
ドドオォォォンッ
オーガの巨体が出す衝撃が体に響くが、なんてことない。
そして俺はオーガのこしみのを掴んで……。
「よいっしょーっ!!」
ぶん投げる。
ゴロゴロゴロゴロとオーガが勢いよく地面を転がる。
倒れたオーガは上半身だけ起き上がり、こちらを見て呆然としている。
そして、状況が掴めてきたのか、めっちゃ怒った顔でこちらをにらめつけたあと、またこっちにダッシュしてきた。
ドドオォォォンッ!!
俺はまたそれを正面から受け止めて……。
「よいっしょうっ!!」
またオーガをぶん投げる。
オーガが地面を転がっていく。また突っ込んでくる。投げる。突っ込んでくる。投げる。突っ込んでくる……。
さながら相撲部屋の稽古のようだ。
まあようだっていうか、まんまそれをやろうとしてるんだけど。
しばらくそれを繰返したら、オーガは息も絶え絶えで起き上がらなくなる。
そして、また少し時間が経つと起き上がり、地面に落ちていた棍棒を拾う。
来るか?どうすっかな、逃げるか?
逃げようか悩んでいると、オーガはなんか清々しい顔で俺の前に棍棒を置いてどっか行った。
おお、帰ったか、良かった。
なんか最後親指立てて笑ってなかったか?
わざわざ相撲をとったのは、鑑定で魔物名オーガじゃなく種族名オーガと出たからだ。
田中くんの話だと魔物は煙になるって話だったが、種族名オーガ、名前無しとか出るなら魔物じゃあ無いんだろう。
地球で屈指の平和な国日本で生きてきた俺には、あんな人っぽいの殺すとか絶対リームーだよ。
さて、なんか棍棒くれたけど。
アイテム名 力の棍棒
分類 武具
攻撃力 48
レア度 C+
価格相場 750000G~800000G
効果及び説明
力が増す効果があるオーガ族の戦士が持つ棍棒、持ち主のオーガ族から力ずく又は殺して奪うと、ただの棍棒になるため入手するのが困難。
装備するとSTR+8される。
「おお、なんか良いのくれたな」
この世界来て始めてのちゃんと手に入れたアイテムだ。地味に嬉しい。
「あ、宝箱もあったな」
壊れかけの宝箱を見に行く。
おう、木で出来てて枠組みは金属製のまさに宝箱って感じだ。
縦横40センチ位のでかさ。
うわーぼろぼろだな、っていうか……。
なんか、血が出ててねえか?
この世界の宝箱は生き物なのか?いやいや。
「ウルトラ鑑定」
魔物名 宝箱ミミック
危険度 D-
レベル 1
HP 8/47
MP 20/20
STR 8
AGI 5
VIT 40
INT 8
MND 13
DEX 9
装備
無し
所持スキル
無し
ドロップ
木の板
金属の板
説明
宝箱にそっくりな姿で近づいて来る者を捕食しようとする魔物。
不便な体のため、生まれた場所からほとんど動くことができない食虫植物のような魔物。
鑑定スキルを持っていたり、そもそも近づかなければ危険は無いがこの姿のために低レベル冒険者には犠牲者がそこそこ出る。
余談
36分前に生まれたばかりの固体、運悪くオーガの足に引っ掛かった。
まさかのミミックだ。
死にかけもいいとこだな。
鑑定でもHPの項目黄色になってる。
木の板か金属の板を落とすらしい。すごく要らない。
「うーん」
大ケガしてこの血を流してる感じがなあ……。
おかしいな、あの銀のプラモとなんか全然違う。
「まあ、ここ人間来ないらしいからな。」
魔法の袋から魔法薬を取り出して。宝箱にかける。
よし、HP満タンになったな。
「まあ、元気でやれよ」
よし、行くかね。あ、棍棒しまっとかないと。
と、まさに棍棒を持っているときに変なことが起きた。
テテレテテテテ、
テテレテテテテ、
テテテテテテテテテーンテーン♪
「なんだ!?」
急に辺りに妙な音楽が響き渡った。
あっなんだっけこれ、なんか聞いたことある……。
……あっそうだ、なんかのゲームの仲間増えた時の効果音だ。
記憶から答えを引っ張り出した途端に、ステータス板が飛び出してきた。
名前 ヤスダ ♂
年齢 26才
職業 最強の教師
称号 手を差し伸べてしまうアホ
レベル 82
HP 879/879
MP 0/0
ちから 192
はやさ 220
みのまもり 213+100
ちりょく 255
せいしん 255
きんりょく 192
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
ウルトラ鑑定
パーティーメンバーステータス確認
装備
大防御のペンダント
ゴーレム召喚の銀杖
称号が変わっとる、手を差し伸べてしまうアホ……。
なんじゃアホって、前も思ったが誰がいってんだよ!?
……スキルにパーティーメンバーステータス確認という項目が。
とりあえずクリックしてみる。
名前 無し
年齢 0才
種類 宝箱ミミック
称号 無し
レベル 1
HP 47/47
MP 20/20
STR 8
AGI 5
VIT 40
INT 8
MND 13
DEX 9
装備
無し
所持スキル
プレゼントボックス
………………マジか。
この世界、魔物仲間になる制度あんの?
おお、なんか嬉しいかも。
まあ箱と意思疏通できるのか知らんが。
でも、この無機質感が始めの仲間としてはちょうどいいのかもしれん。手がかからなそうだし。
てことはだ、魔物仲間になったならまずは、お約束のレベル上げだな。
こうして俺は出発して一時間後に、またスタート地点に戻ることになった。