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第32話 ムツキボコボコ作戦。

 ムツキがぶちきれて魔力がほとばしってる。

 王様やら他の王子達が目を見開いてこれ以上まぶた開かないよって位びびったり、周りにいた貴族達は腰抜かして尻餅をついたりしている。

 姫さんはアズマ君の後ろに隠れて震えてるわ。


「おや、ムツキ王子は病弱だって聞いてたんですがね。すごい魔力ですね~」


「やかましいっ!!貴様全てを知ってるんだろうっ何の知識系スキルだ!?」


 ああ、なぜか鑑定的なスキルあんのバレてるわ。

 ああ、だから魔力ハッスルして内面ぶっちゃけたのか。


「さあ?」


 ムツキがものすごいこっち睨み付けてくる。お~こわ。


「ムツキ、なんだお前、その魔力は……一体……」

「兄上」

「兄さん」


「……黙っていろ」


 ムツキが王様や王子を睨み付けると彼らは黙って動かなくなった。

 あ、これ威圧スキルか。

 凍える眼差しとか言うヤツだわ。

 レベル高いからか、俺には効かなかったんだろうな。


「答えろっ何のスキルだ!?」


「……」


「何のスキルだヤスダっ!!」


「……」


「貴様何のスキルを持っているんだ!?」


「……」


「なんでこのタイミングで無視だ貴様ああぁっ!!!!」


 お~こわ。怒った怒った。

 ……あ、よし、スズキさんが任務完了したわ。

 ピンタさんもうなずいてる。

 他も準備完了したらしい。

 アズマ君もうなずいてる。


「いやあ、あんた賢いから話したら全部ばれそうだったんでね。別に無視したわけじゃないよ。あえて無言になっただけ」


「それは無視だろうがっ!!」


 ムツキの激昂と共にムツキの周りの地面に魔法陣が出てきて光りだした。

 あら!?魔法?詠唱無いじゃねえか。


 あ、あいつの杖、詠唱省略みたいなことできるやつか。


アイテム名 光溜の杖

分類    武具

レア度   A-

攻撃力   52

価格相場  20000000G~25000000G


効果及び説明


10回まで魔法をストックできる杖。

ストックしてある魔法は今一つ使ったので残り9回、中級召喚魔法4回、無言の呪い3回、深淵の黒炎2回


余談


今ムツキが使ったのは中級召喚魔法、呼び出した魔物はレベル20の灰炎狼八匹。



「レベル20の灰炎狼八匹呼び出したぞ、ピンタさん気をつけてそいつら火い吹くよ」


「はいっ」


「!?」


 ピンタさんの返事と共にムツキが驚いてからこっち睨み付けてくる。鑑定系ってばれたな。


 魔法陣からでっかい狼がずずずって這い出てくる。

 あれ?まんじゅうの召喚魔法と全然違うな。


「キャアアアアっ!!」

「魔物だっ」

「ひいいいっ」

「に、逃げろっ」


 パーティー会場が阿鼻叫喚って感じになった。


 お、ムツキの部下であろう貴族も同時に暴れだそうとしてたらしいが、気づかれないようにマークしてた騎士達に捕まえられたみたいだ。

 あ、犬に噛まれてる奴らも居るわ。パンナさん達も居たんだな。

 よしよし。




「王族をお守りせよっ!!」


「「「はっ」」」


 カワウソ宰相さんの号令で騎士達が一斉に動き出す。

 動きに淀みがない。話通ってる仲間だ。

 おお、狼が色んな方向に飛び出そうとするが、騎士っぽい人達が上手いこと押さえ込んでる。その隙に他の騎士が威圧スキルくらって動けなくなった王族を運んでいく。


「フヅキ姫様、後ろへ」


 アズマ君パーティーが姫さんを守るように動き出す。


「ぬうんっ!!」


 気合いの雄叫びみたいのと同時に狼が一匹真っ二つになった。

 あ、ダンジョン都市のムキムキ領主さんだ。

 もうパーティー会場に居たらしい。

 接触しないようにしてたからな。


「ヤスダ様っ我らの後ろへ」

「ここはお任せください」


 あ、俺を守ろうと二人の兄ちゃんが出てきたと思ったら、ダンジョン都市の盗賊団壊滅させた金髪と坊主の二人組だ。

 ムキムキ領主さんが連れて来てたらしい。

 守ってくれるのはありがたいんだけど、そろそろ……お、来たな。


「大丈夫だよ。俺の仲間の一番頼りになるヤツ来たから」


 ドドドドドドオォォォォォォっ!!

 ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコっ!!!!!!!


 すごい破壊音と共にパーティー会場の壁が粉々になって砕ける。

 壁を壊すと同時に山程の丸っこいビジュアルの拳が壁壊した勢いそのままで狼たちをめった撃ちにする。

 狼達が一瞬で煙になる。

 おお、ダーク百烈拳だ。

 ダークバンドが100本出てきて100個の拳でボッコボコにどつき回すだけっていう魔法だ。

 まさかあの魔法が日の目を見ることになるとは。

 

「まんじゅう、最高にかっこいい登場だが、壁壊したらいかんよ」


 リンリンリンっ。


 壁の穴から、やさしそうな顔した太ったおじさんことスズキさんも見えた。

 こっち見て頷いてる。

 うん、鑑定で結果知ってるが、上手いこといったようだ。


「さて、どうする暗闇卿ことムツキ・サイカ、ことネクラヒキコモリポンコツ人間失格よ」


「暗闇卿!?」

「なんだと」

「そんな」


 ポーションで治してもらった王族達や仲間じゃないその他の貴族達が目玉見開いてビックリしてる。

 ムツキはなにやらブチキレモードが終わったのか冷静な顔になってる。


「……」


 ムツキが服の内ポケットに手を入れようとしてる。


「先に言っとくけど、お前が城中に仕掛けた爆弾石は迷彩の魔法で姿消して城中駆け回ったふくよかなおじさんが全部回収してるからな」


「な!?」


 お、ムツキがわかりやすい台詞でビックリしてるわ。

 やっぱ起爆させようとしやがったな。


「あと、お前の部下の貴族の伯爵家一つと子爵家二つは今頃カワウソだの兵隊だのカプセル魔物だのに襲撃されてお縄になってるから」


「――!?」


 おうおう、またまたビックリしてるな。


「その時にバインバ、……シラールさんの旦那も確保したからな」


 ムツキが睨み付けてくる。


「……どこまで知っている?」


「お前が知られたくないと思うことは大概知ってんじゃねえの?」


「……俺は始めから貴様の手のひらの上か」


「そうね。手のひらの上でコロコロしてたね」


 おとなしくなったが、まだまだなにかやるつもりだろうなこいつ。


「ぶっちゃけ王都に俺達が到着した時点で勝ちは確定だった。後は60の勝ち、80の勝ち、90の勝ちになるか、100の勝ちになるかだけ」


「……」


「飛行船が調子悪くて遅れるって嘘の情報で、飛行船が夜に到着したのをお前が怪しまなかった時点で60の勝ち、そこそこ犠牲は出るだろうが勝ちは確定だ」


「……」


「飛行船が到着してお前がすぐさまシラールを呼び出さなかった時点で80の勝ち、犠牲がもっと少なくなる」


「……」


「今朝にダンガンポートの領主が冒険者と兵士達を連れて王都に入った時点で90の勝ち」


「……」


「迷彩の魔法と仲間のスキル使って城中にある爆弾石処理できた時点で100の勝ち、犠牲者0の完勝だ」


 便利だわスズキさんのバリア。

 バリアの板で何があっても壊れない箱作れるからな。


「……わざわざ夜に飛行船で到着したのも意味があったのか?」


「そう、お前が今シラールを呼びだすのは面倒だ明日でいいだろう、て思う時間帯に狙って到着したんだよ」


「……あの女が裏切ったのか?」


「いや裏切ってない、双子水晶の登録を解除してる。お前がシラールだと思って通信してたのはカワウソ族の子持ちのお母さんだ。シラールことバインバイン姉ちゃんは眠りの呪いでぐっすり寝っぱなしだ」


「バカなっ、登録を解除だと、そもそも暗号は……」


「……そんなんお察しだろ?」


 ムツキがうつむいて顔が見えなくなる。


「……クハハハ」


 急に笑いだした。こわ。


「俺は本当に手のひらの上か」


「そうね」


「……よかろう。俺の負けだ。好きにすればいい」


 ムツキが座り込んで観念する。

 ……と見せかけてる。


 ムツキの台詞を聞いて一斉に捕まえようと動いた騎士達を俺は右手を挙げて静止する。


「……降伏すると見せかけて、近づいた騎士達を何人かぶっとばしてから、アイテム使って王都の地下のダンジョンに転移する気なんだろ?」


「……!?」


 またまたまたビックリだな。

 ハッハッハ、どこまでいっても手のひらの上なのだよ。


「王都の地下にわけわからんダンジョンなんて作りやがって、それさえなけりゃこんな下準備なんて要らなくてもっと簡単だったんだよ。お前の部下の貴族の家に隠してあるダンジョンの入り口の場所ももう押さえてあっからな」


 そう、こんなわけわからんラストダンジョンもどきなんて作りやがって、日本人が残したアイテムで作ったらしい。

 無駄に高いレベル43もそのダンジョンでなんとかしやがったらしいからな。

 王都に散らばってる部下の貴族の家からダンジョンの魔物を溢れさせて、クーデター起こそうとしやがったからこんなに面倒な段取り踏むはめになったんだよ、このポンコツめ。


「……」


 あ、ムツキがもう驚かずに顔真っ赤になった。激オコぷんぷん丸だな。


「レベル43だろうが関係ないからな。そこのまんじゅうのレベルは70で俺のレベルは86だ。お前に勝ち目なんか始めからねえよ」


「……ギギギギギギ」


 ムツキが歯を食い縛りすぎて変な音出しながら顔真っ赤で怒ってる。


「転移でもなんでも好きにしたらいいよ。ポンコツ王子」


「…………チキショウっ!!!!」


 ムツキが飛び出しておもむろに料理の皿をぶん投げ出した。

 チキショウって……。


「チキショウがあぁっ!!」


挿絵(By みてみん)


 あっ、キング鰤が!?

 ドパーンッ!!

 ……ああ、投げつけられたキング鰤が粉々になってしまった。


「チキショウっ」


 顔真っ赤のムツキが地面に妙な玉を投げつけようとしてる。

 転移玉とか言うアイテムだ。

 あの玉が地面で割れて魔法陣出てきて転移発動だ。


「まんじゅうっ」


 まんじゅうの手が一本尋常じゃない早さで伸びて、地面に叩きつけられる前に玉をキャッチした。


「チキショウおおぉぉぉぉっ!!!!俺は、俺は神に加護をいただいてるんだっ、こんな、こんなぺぷっ」


 あ、ムツキの慟哭の途中でまんじゅうのビンタが炸裂した。

 ムツキ気絶。

 さすがレベル70だ。一発KO。

 ていうか、そりゃ神頼みしてもダメだよ。その神様逮捕されてんだもん。

 すかさず騎士達がムツキ捕縛に動き出す。今度は止めない。





 うん、ミッションコンプリート。






「……犠牲者キング鰤一匹か」


 食べてみたかった。


「いやヤスダさん、キング鰤始めから丸焼きにされて死んでましたよ」


 アズマ君の無情な一言が響く。


 さて、貴族の家制圧しにいった仲間達を鑑定でちゃんと調べる。

 よし、犠牲者0で無事に制圧も完了してるようだ。

 まあ、レベル30近いカワウソ達が複数要る上にゴーレムやらまんじゅうのカプセル魔物までいるからな。


「ピンタさん、みんな上手いこといったみたいだよ」


「そうですか。よかった」


 カワウソと仲間達はみんなホッとしてる。まあ俺もだが。


「一体なんなのだ!?誰か説明せよ」

「そうだ、これは一体」


 王族やら今回の出来事に関係ない貴族の人達が騒ぎ出した。

 おうおうおう。大騒ぎだ。まあそりゃそうだべ。


「……よし、じゃあ俺はもう寝るから、アズマ君説明とかもろもろ、あとヨロ」


「ええ!?自分ですか?」


 王都に浸透してるアズマ君のカリスマでなんとかしてくれ。


 こうしてムツキボコボコ作戦は無事に終了した。

 じゃあ俺はもう寝ます。徹夜は大嫌いだ。

次で最終話です。

短いので夕方に更新しますね。

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